50 / 86
第50話 小鳥さんが、ぼくを連れてく
しおりを挟む「ふぁぁ……これも……これも、ぜんぶ読んじゃったなぁ」
侍女さんは3人そろって用事に行っちゃった。絵本はぜーんぶ3回ずつ読んだし、まだおやつの時間じゃない。
「なぁにしようかなぁ……」
ソファから足をブラブラさせて、お外をながめてぼんやり。
「もー、窓の外もずーっと同じ! 雲の形しか同じじゃないとこないくらい」
昨日も一昨日も、雨がふりそぅってお外禁止になったし、ファランさまは忙しくてハロルドさまもお勉強があって会えないし、ちょっと退屈。
「あーん、今日はお散歩ダメかなぁ? お花さいてるの、見に行きたいなぁ。ちょうちょもいるかもぉ、だし」
じーーっと窓の向こうを見てると、何かが横切って――
「あっ、ことりさん……!!」
ぼくは思わず、ひた、とガラスに張り付く。
「うゎぁ、ふわふわ! ちいさい、かわいい!」
小鳥は、中庭の木の枝にちょこん。ふさふさの白い羽根、やわらかそぉぉ……!
「あーん、どんな羽根なのかなあ?」
羽根をぱたた、と動かしてなにか言ってる。
「ことりさん、なんて鳴くんだろぉ?」
ピピピ、かな。チロロ、かな。
「あーん、ちかくで見てみたいぃ」
でも、侍女さんたちは、すぐ戻りますから絵本の続き、読んでてくださいねって。
「絵本、読んでしまったから。ちがうことしてもいぃかなぁ?」
ちょっとだけ、ちょっとだけお外にでて、鳥さんをみてみたい。
「ちょっとなら……いいよね。すぐそこだし」
部屋から見える、すぐそこの庭だし。どこか行ったことにはならないよね!
「きまり!」
そう決めてしまえば、もうじっとはしてられない。
「えっとえっと……」
中庭に行くドアの開け方は……たぶんこう。
――えいっ!
「開いたっ!」
お散歩用の靴はないけど……ちょっとそこまでようの靴があるから、おっけー!
よいしょ、と靴をはいて、しずかーに足を進める。
「ことりさん、まだいるー?」
さっきの木の枝をみると、白いころんとしたふわふわが、羽根を閉じてピル、と頭をかしげた。
「かゎぃぃ……」
ことりさんビックリしないようにそーっっと、そーーっと、行かないとね。
「チチ……」
「きゃあ」
チチ、って鳴いたぁ!
「チチ、チロロ……」
チロロ、も言ったぁ! かわいぃぃ。ずっと頭、ピルピルしてる。
どんな顔なのかなぁ。もうちょっと近くでみたいなー。
ことりさん、どこにもいかないでねー? ちょっとだけ、ぼくにお顔見せてね。
そーっと、そーっと、そ――
「あっ!」
ぼくが2歩3歩あるいたところで、小鳥さんは羽根をぱたた、とていってしまう。
「ま、まってーー!」
「チロロ」
あれ! ことりさん聞こえたのかな?
近くの枝に止まってまた、鳴いてるぅ。
「よーし、今度こそ……」
そーーっと、そぉぉぉ……っと――
「――あっ!」
近づいたのに、またぱたた、と飛んで、ちょっと向こうの木に。
ちょっとも、じっとしててくれないぃぃ。
「あーん。追いかけっこは、ぼく負けちゃうよー。待ってー」
お庭の土は柔らかくて、歩くと少しふかふかしてる。これなら、追いかけっこしても、ぜんぜん疲れなさそう。
「あっ、向こうの木にいるー!」
あんまりびっくりさせないように、そっと近づいて……と。
「あれ? あそこ――」
なんか白くてキラキラしたのが落ちてるっ!
「なんだろー?」
しゃがんでよーく見てみると、なんかの白いフワフワだった。
「あっ! これ、もしかしてことりさんの羽根!?」
日にかざすと、もっときらきらしてて、なにもないみたいに軽い。
「たいへん! 持ってたらなくしちゃうかも!」
えーっと、しまうとこしまうとこ。……あった!
そーっと上着のポケットにしまって。
「あ、ことりさんは!?」
顔を上げると、もうことりさんはどこにもいない。
「えええ……どこぉぉ……」
きらきらでフワフワの白い羽根を見ちゃったら、さっきよりことりさんを見たくなっちゃう。
「えー、どっちかなぁ……」
ことりさんを探して、キョロキョロしてると――
――チチ、チロロ……
どこか遠くから聞こえてくる。
「……あっちだ!」
今度はそっとじゃなくて、急いで急いで。ことりさんが遠くに行っちゃう前に。
「――チチ、チロロ」
さっきより、少しだけはっきり聞こえてくる。
「こっち!」
どんどん進んで、石のかいだんをぴょん、ぴょん、とおりて。
――チチ、チロロロ
「あっちだ!」
お花のトンネルのなかをくぐって……
――チチ
「あっち、かな?」
そのさきの、小道。
「……あれ? どこかな?」
チチって、チロロって、もう聞こえない。
「ことりさーん?」
どこだろ? どこいっちゃったの?
「んんー、あっち? ううん、こっちかも」
白いフワフワの姿を探して、あちこちキョロキョロ。
「……あれ? なあにぃ?」
キョロキョロの眼の前に、なにかヒラッと落ちてくる。
「えい」
上手に捕まえたそれは――
203
あなたにおすすめの小説
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
過労死コンサル、貧乏貴族に転生す~現代農業知識と魔法で荒地を開拓していたら、いつの間にか世界を救う食糧大国になっていました~
黒崎隼人
ファンタジー
農業コンサルタントとして過労死した杉本健一は、異世界の貧乏貴族ローレンツ家の当主として目覚めた。
待っていたのは、荒れた土地、飢える領民、そして莫大な借金!
チートスキルも戦闘能力もない彼に残された武器は、前世で培った「農業知識」だけだった。
「貴族が土を耕すだと?」と笑われても構わない!
輪作、堆肥、品種改良! 現代知識と異世界の魔法を組み合わせた独自農法で、俺は自らクワを握る「耕作貴族」となる!
元Sランク冒険者のクールなメイドや、義理堅い元騎士を仲間に迎え、荒れ果てた領地を最強の農業大国へと変えていく、異色の領地経営ファンタジー!
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
【読切短編】婚約破棄された令嬢ですが、帳簿があれば辺境でも無双できます ~追い出した公爵家は、私がいないと破産するらしい~
Lihito
ファンタジー
公爵令嬢アイリスは、身に覚えのない罪で婚約破棄され、辺境へ追放された。
だが彼女には秘密がある。
前世は経理OL。そして今世では、物や土地の「価値」が数字で見える能力を持っていた。
公爵家の帳簿を一手に管理していたのは、実は彼女。
追い出した側は、それを知らない。
「三ヶ月で破産すると思うけど……まあ、私には関係ないわね」
荒れ果てた辺境領。誰も気づかなかった資源。無口な護衛騎士。
アイリスは数字を武器に、この土地を立て直すことを決意する。
これは、一人の令嬢が「価値」を証明する物語。
——追い出したこと、後悔させてあげる。
母を亡くした公爵令嬢は、虐げられないが、今日も願いが叶わない
春風由実
恋愛
「何故お前が生きた?」
それは怪我をして長く眠っていたエルリカが、目覚めた直後に父親である公爵から掛けられた言葉だった。
「お前こそが、女神の元に行くべきだった!」
父親から強い口調で詰られたエルリカ。
普通の令嬢は、ここで泣くか、その後立ち直れなくなるという。
けれどエルリカは違った。
「あなたこそ、何をのうのうと元気にしているのですか?」
そうしてこの日父娘は、それぞれに絶縁を宣言した。
以来、母方の祖父母に引き取られ、侯爵領で過ごしてきたエルリカ。
ところが公爵は、いつまでもエルリカを除籍する手続きを実行しなかった。
おかげで名ばかりの公爵令嬢のまま、エルリカが王都へと戻る日がやって来てしまう──。
【読切短編】転生したら辺境伯家の三男でした ~のんびり暮らしたいのに、なぜか領地が発展していく~
Lihito
ファンタジー
過労死したシステムエンジニアは、異世界の辺境伯家に転生した。
三男。継承権は遠い。期待もされない。
——最高じゃないか。
「今度こそ、のんびり生きよう」
兄たちの継承争いに巻き込まれないよう、誰も欲しがらない荒れ地を引き受けた。
静かに暮らすつもりだった。
だが、彼には「構造把握」という能力があった。
物事の問題点が、図解のように見える力。
井戸が枯れた。見て見ぬふりができなかった。
作物が育たない。見て見ぬふりができなかった。
気づけば——領地が勝手に発展していた。
「俺ののんびりライフ、どこ行った……」
これは、静かに暮らしたかった男が、なぜか成り上がっていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる