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Side I 9
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正直、断ろうかと思った。
だって、襲った、襲われた同士だろ?
どれだけ慰めてもらったとしてもそんな気にはならない。
それなのに容赦なくΩのフェロモンは俺を高ぶらせる。
強い匂い。それが、意志を持って俺を包み込むようだった。
それはどうしてか、性的な衝動もだが、ただ目の前の一生懸命なΩへの愛おしさを呼び起こさせた。
理屈じゃない。ただ、惹かれる。
…ぐしゃぐしゃの顔で必死に誘ってくるのが、愛おしかった。
透さんは涙を雑に手でぬぐいながら言う。
「はあ、誘っといてなんだけどちょっと待って。
ヒートじゃないから後ろたぶんかたいし、
お前がシャワー行ってる間にほぐすけど、普段しないから時間がかかる…」
「え」
とんだ爆弾発言にさすがに声が裏返った。
意識せず煽ってるならすごい才能だ。
「お、俺がやるよ…。透さんも緊張するだろうから、なるべく丁寧にやってこう…」
そう言うと、透さんはぱちぱちと瞬いて、それからじわぁと涙を浮かべた。
「え、なに、なんでそこで泣くの…」
「あほ。お前が、普通に、喋ってくれるから、安心したんだよ…。
待ってるから、早くシャワー行って来いって」
ぐすぐすと泣き出したのを見て、そうかそんなに心配かけてたのか、とそこで改めて思った。
ローズマリーの匂いが鼻をくすぐる。
…落ち込んでいた気持ちが浮上してきたのはΩのフェロモンのせいなのだろうか。
だとしたらものは使いようだ。
二つ返事で脱衣所に入ると一気に力が抜けた。
自分のしたことへのショックで気がそぞろになっていたが、透さんはよほど心配してくれていたらしい。
優しいな、自分を襲った相手に対して。
トラウマごと差し出すからと、透さんは言った。
たぶんそのトラウマは、本当に根深くて、彼の人生を暗くて辛いものにしたのだと推測できる。
それを差し置いてでも俺との関係を修復したいと言ってくれた。
怖がりで神経質で優しい彼が自分のためにあんなに必死に声を荒げてくれたことが
時間差で沁みて来てその場にしゃがみこんだ。
それならば、トラウマが克服できるように応えることで最大の罪滅ぼしをしたい。
だって、襲った、襲われた同士だろ?
どれだけ慰めてもらったとしてもそんな気にはならない。
それなのに容赦なくΩのフェロモンは俺を高ぶらせる。
強い匂い。それが、意志を持って俺を包み込むようだった。
それはどうしてか、性的な衝動もだが、ただ目の前の一生懸命なΩへの愛おしさを呼び起こさせた。
理屈じゃない。ただ、惹かれる。
…ぐしゃぐしゃの顔で必死に誘ってくるのが、愛おしかった。
透さんは涙を雑に手でぬぐいながら言う。
「はあ、誘っといてなんだけどちょっと待って。
ヒートじゃないから後ろたぶんかたいし、
お前がシャワー行ってる間にほぐすけど、普段しないから時間がかかる…」
「え」
とんだ爆弾発言にさすがに声が裏返った。
意識せず煽ってるならすごい才能だ。
「お、俺がやるよ…。透さんも緊張するだろうから、なるべく丁寧にやってこう…」
そう言うと、透さんはぱちぱちと瞬いて、それからじわぁと涙を浮かべた。
「え、なに、なんでそこで泣くの…」
「あほ。お前が、普通に、喋ってくれるから、安心したんだよ…。
待ってるから、早くシャワー行って来いって」
ぐすぐすと泣き出したのを見て、そうかそんなに心配かけてたのか、とそこで改めて思った。
ローズマリーの匂いが鼻をくすぐる。
…落ち込んでいた気持ちが浮上してきたのはΩのフェロモンのせいなのだろうか。
だとしたらものは使いようだ。
二つ返事で脱衣所に入ると一気に力が抜けた。
自分のしたことへのショックで気がそぞろになっていたが、透さんはよほど心配してくれていたらしい。
優しいな、自分を襲った相手に対して。
トラウマごと差し出すからと、透さんは言った。
たぶんそのトラウマは、本当に根深くて、彼の人生を暗くて辛いものにしたのだと推測できる。
それを差し置いてでも俺との関係を修復したいと言ってくれた。
怖がりで神経質で優しい彼が自分のためにあんなに必死に声を荒げてくれたことが
時間差で沁みて来てその場にしゃがみこんだ。
それならば、トラウマが克服できるように応えることで最大の罪滅ぼしをしたい。
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