35 / 48
後章
Side T 14
しおりを挟む
「入った…」と苦しそうな、けれども聞いたことないくらい熱い声で囁かれて、おれは無意識に止めていた息をようやく吐いて、打ち上げられた魚みたいにはくはくと酸素を求める。
酸欠で飛んでたのかもしれない。けど、その間に入ったらしい。
おもちゃやらなんやらいろいろと突っ込んだことがあるけれど、こんなに広がってるのは初めてかもと引きつる痛みを不安に思ったが顔を上げたら、いつきが心配そうにのぞき込んで汗でびっしゃびしゃの髪をすきながら大丈夫?と優しい声で尋ねてくるものだから、負の気持ちはすべてとけてどこかに行ってしまう。
「は、はあ…あつ、い…」
「ね…あついね…」
そうしてしばらくなじむまで待っていたようだが、やがて動いてもいいか聞かれてうんと頷く。
挿れるのはすごく困難だったのに、出て行くのは一瞬だ。
おれの体液でぬるぬると滑りながらすごい質量のそれがぞりりりと肉壁のあちらこちらを擦りながら出て行くのに全身に鳥肌を立てながらのけぞってしまう。
「はううううッ……!!っくう、うあっ…!!あっ…あああ…!!」
全て出て行く直前でゆるく抽出され、そしてまたゆっくりとおれのなかに戻っていく。
ここ一週間の苦しみがなんだったんだってくらい、たった一度の抽出で身体の中すべてが満たされる心地がした。
いつきの腰の動きが早くなっていく。
「あっ!!ああ!!ああああっ!!ひうっ!!!うああああ…ッ、やあぁッッ!!」
「は、あ…あっつ……」
「うっうう!! っく!!うううっ…あっああん!!ふかいぃ…!!!ああ、あああ…!!!」
信じられないくらい身体を深く折り曲げられてるせいで、内臓が変な方向に突かれるのがわかる。
前立腺がそぎ落とされてしまうんじゃないかってくらい強くこすられて、目を開いているはずなのに何も見えなくなった。
気持ちいいんだかなんだかわからない。苦しいのかもしれない。
けど怖さはなくて、何も言えない口のかわりにつないだ手にぎゅうと力を込める。
これ、奥まで届いてないか?
こないだ初めてつながったときよりずっと深い。
暴かれたことのない場所を突かれるたびに喜びと興奮で中がぐねぐねとうねってしまう。
「い、いつきっ…!!いつきぃ…!!!あっ!!奥、おくやだぁ…!!へんに、なるぅっああ!!」
「なか、すごい…っく…透さん…透さん…ッ」
「ううう…!!あっああっ!!」
ぱちゅぱちゅというかわいい音が次第にパンパンと激しく打ち付ける音に変わって、おれから出たなんだかわからない汁があちこちに飛び散るのが見えた。
全部わからなくなったおれの耳元で熱っぽい声で「気持ちい…」と呟く声がして、それだけで薄くなった精液がとろりとこぼれてぞくぞくした。
首に回していた腕はいつのまにかぽとりと落ちてシーツの上で跳ねるだけになっている。
すごい力で揺さぶられるからただでさえ神経がぶつ切りにされてるような身体の感覚のなかから腕の感覚を拾い上げるのも一苦労で、だけどなんとかたぐりよせると、いつきのふさふさの髪をかきあげてやる。
きもちいいか、よかった、と思いながら撫でてやる。
熱っぽい目がまあるく見開かれ、それからたまらないというふうにくしゃと歪んで、深く口づけられた。
ばか、そんなことされたらただでさえいっぱいいっぱいなのに息できないって。
そんな批難の声すら呑み込まされて、おれはただただ大きく深く揺さぶられる。
「は、はあっ…!!あああ…い、いくっいく…!!うっうあん…!!」
「俺、も…ッ!」
「あっ…ああっ…あああああああ!!!」
「っ…!!」
足先がぴんと伸びて背中がのけぞった。
長い長い絶頂から降りてこられない。
けれども体のなかに広がる生温かさだけがやたらとリアルに感じられて、ドクドクと脈打つそれが愛おしくて、一生懸命絞りあげた。
「かっ…はあ…!!あっ…ああぁ…」
硬くなっていた背筋が弛緩してシーツにべしゃりと落ちた。
すかさずいつきがおれの頭をでかい手でつかんで舌をむさぼる。
あまりにも気持ちがよくて、ぞくぞくと身体を震わせながら、射精するかわりにとろとろの液体を何度かに分けてこぼした。
いつきが腰を引くと、ぐぱっとすごい音がしてそれが抜かれ、開き切った穴に空気が触れてまた全身に鳥肌が立った。
「…は、はあ…っは……けほっ……」
「はあ…はあ…。すご…ほんとに入った…。透さん大丈夫…?苦しくない…?」
賢者タイムという言葉がある。
射精したのち一気に気持ちが冷めるというあの。
嘘みたいに突然収まった熱の奔流から解放されてクリアになった頭で最初に思ったのはやっぱりおれたちの身体も精神もホルモンバランスに左右されているのではないかという、…とてつもない悲しさだった。
「っく…」
「…透さん?」
生理的な涙や苦しさから来る涙ではないものがぼろりとこぼれた。
しゃくりあげるような声が止まらない。
今の今まで全身が痙攣していたが、今度は喉の奥だか胸の奥だかわからないところが震えて止まらない。
おれは体を丸めて横を向きいつきから目を反らす。顔を見られたくなかった。
「透さん、大丈夫?怖かった?もしかして嫌だった…?ごめんね、俺…」
とても心配そうにおろおろとした声。
触れていいのかどうかもわからずにただ身体を近づけて手をさまよわせているのが目を反らしていても蛍光灯でつくられた手の影が揺れることでわかる。
ああ、だめだ。眠い。へとへとだ。
ずっと苦しくて、熱くて、疲れた。
さっきまで白飛びしていた意識が、今度は眠気と共にブラックアウトしていく。
泣きながら眠りにつくなんて子どもみたいだ、と意識を手放す前にぼんやりと思った。
「…昨日、どこ行ってたの…」
「え?」
ぽつり、と尋ねた。
聞くつもりなんてなかったから口をついて出たそれにびっくりした。
それからすぐに怖くなって、返事から逃げるように、眠りについた。
酸欠で飛んでたのかもしれない。けど、その間に入ったらしい。
おもちゃやらなんやらいろいろと突っ込んだことがあるけれど、こんなに広がってるのは初めてかもと引きつる痛みを不安に思ったが顔を上げたら、いつきが心配そうにのぞき込んで汗でびっしゃびしゃの髪をすきながら大丈夫?と優しい声で尋ねてくるものだから、負の気持ちはすべてとけてどこかに行ってしまう。
「は、はあ…あつ、い…」
「ね…あついね…」
そうしてしばらくなじむまで待っていたようだが、やがて動いてもいいか聞かれてうんと頷く。
挿れるのはすごく困難だったのに、出て行くのは一瞬だ。
おれの体液でぬるぬると滑りながらすごい質量のそれがぞりりりと肉壁のあちらこちらを擦りながら出て行くのに全身に鳥肌を立てながらのけぞってしまう。
「はううううッ……!!っくう、うあっ…!!あっ…あああ…!!」
全て出て行く直前でゆるく抽出され、そしてまたゆっくりとおれのなかに戻っていく。
ここ一週間の苦しみがなんだったんだってくらい、たった一度の抽出で身体の中すべてが満たされる心地がした。
いつきの腰の動きが早くなっていく。
「あっ!!ああ!!ああああっ!!ひうっ!!!うああああ…ッ、やあぁッッ!!」
「は、あ…あっつ……」
「うっうう!! っく!!うううっ…あっああん!!ふかいぃ…!!!ああ、あああ…!!!」
信じられないくらい身体を深く折り曲げられてるせいで、内臓が変な方向に突かれるのがわかる。
前立腺がそぎ落とされてしまうんじゃないかってくらい強くこすられて、目を開いているはずなのに何も見えなくなった。
気持ちいいんだかなんだかわからない。苦しいのかもしれない。
けど怖さはなくて、何も言えない口のかわりにつないだ手にぎゅうと力を込める。
これ、奥まで届いてないか?
こないだ初めてつながったときよりずっと深い。
暴かれたことのない場所を突かれるたびに喜びと興奮で中がぐねぐねとうねってしまう。
「い、いつきっ…!!いつきぃ…!!!あっ!!奥、おくやだぁ…!!へんに、なるぅっああ!!」
「なか、すごい…っく…透さん…透さん…ッ」
「ううう…!!あっああっ!!」
ぱちゅぱちゅというかわいい音が次第にパンパンと激しく打ち付ける音に変わって、おれから出たなんだかわからない汁があちこちに飛び散るのが見えた。
全部わからなくなったおれの耳元で熱っぽい声で「気持ちい…」と呟く声がして、それだけで薄くなった精液がとろりとこぼれてぞくぞくした。
首に回していた腕はいつのまにかぽとりと落ちてシーツの上で跳ねるだけになっている。
すごい力で揺さぶられるからただでさえ神経がぶつ切りにされてるような身体の感覚のなかから腕の感覚を拾い上げるのも一苦労で、だけどなんとかたぐりよせると、いつきのふさふさの髪をかきあげてやる。
きもちいいか、よかった、と思いながら撫でてやる。
熱っぽい目がまあるく見開かれ、それからたまらないというふうにくしゃと歪んで、深く口づけられた。
ばか、そんなことされたらただでさえいっぱいいっぱいなのに息できないって。
そんな批難の声すら呑み込まされて、おれはただただ大きく深く揺さぶられる。
「は、はあっ…!!あああ…い、いくっいく…!!うっうあん…!!」
「俺、も…ッ!」
「あっ…ああっ…あああああああ!!!」
「っ…!!」
足先がぴんと伸びて背中がのけぞった。
長い長い絶頂から降りてこられない。
けれども体のなかに広がる生温かさだけがやたらとリアルに感じられて、ドクドクと脈打つそれが愛おしくて、一生懸命絞りあげた。
「かっ…はあ…!!あっ…ああぁ…」
硬くなっていた背筋が弛緩してシーツにべしゃりと落ちた。
すかさずいつきがおれの頭をでかい手でつかんで舌をむさぼる。
あまりにも気持ちがよくて、ぞくぞくと身体を震わせながら、射精するかわりにとろとろの液体を何度かに分けてこぼした。
いつきが腰を引くと、ぐぱっとすごい音がしてそれが抜かれ、開き切った穴に空気が触れてまた全身に鳥肌が立った。
「…は、はあ…っは……けほっ……」
「はあ…はあ…。すご…ほんとに入った…。透さん大丈夫…?苦しくない…?」
賢者タイムという言葉がある。
射精したのち一気に気持ちが冷めるというあの。
嘘みたいに突然収まった熱の奔流から解放されてクリアになった頭で最初に思ったのはやっぱりおれたちの身体も精神もホルモンバランスに左右されているのではないかという、…とてつもない悲しさだった。
「っく…」
「…透さん?」
生理的な涙や苦しさから来る涙ではないものがぼろりとこぼれた。
しゃくりあげるような声が止まらない。
今の今まで全身が痙攣していたが、今度は喉の奥だか胸の奥だかわからないところが震えて止まらない。
おれは体を丸めて横を向きいつきから目を反らす。顔を見られたくなかった。
「透さん、大丈夫?怖かった?もしかして嫌だった…?ごめんね、俺…」
とても心配そうにおろおろとした声。
触れていいのかどうかもわからずにただ身体を近づけて手をさまよわせているのが目を反らしていても蛍光灯でつくられた手の影が揺れることでわかる。
ああ、だめだ。眠い。へとへとだ。
ずっと苦しくて、熱くて、疲れた。
さっきまで白飛びしていた意識が、今度は眠気と共にブラックアウトしていく。
泣きながら眠りにつくなんて子どもみたいだ、と意識を手放す前にぼんやりと思った。
「…昨日、どこ行ってたの…」
「え?」
ぽつり、と尋ねた。
聞くつもりなんてなかったから口をついて出たそれにびっくりした。
それからすぐに怖くなって、返事から逃げるように、眠りについた。
4
あなたにおすすめの小説
隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。
下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。
文章がおかしな所があったので修正しました。
大国の第一王子・αのジスランは、小国の王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。
ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄をするから受け入れてほしいと言われる。
理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、
「必ず僕の国を滅ぼして」
それだけ言い、去っていった。
社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。
泡にはならない/泡にはさせない
玲
BL
――やっと見つけた、オレの『運命』……のはずなのに秒でフラれました。――
明るくてお調子者、だけど憎めない。そんなアルファの大学生・加原 夏樹(かはらなつき)が、ふとした瞬間に嗅いだ香り。今までに経験したことのない、心の奥底をかき乱す“それ”に導かれるまま、出会ったのは——まるで人魚のようなスイマーだった。白磁の肌、滴る水、鋭く澄んだ瞳、そしてフェロモンが、理性を吹き飛ばす。出会った瞬間、確信した。
「『運命だ』!オレと『番』になってくれ!」
衝動のままに告げた愛の言葉。けれど……。
「運命論者は、間に合ってますんで。」
返ってきたのは、冷たい拒絶……。
これは、『運命』に憧れる一途なアルファと、『運命』なんて信じない冷静なオメガの、正反対なふたりが織りなす、もどかしくて、熱くて、ちょっと切ない恋のはじまり。
オメガバースという世界の中で、「個」として「愛」を選び取るための物語。
彼が彼を選ぶまで。彼が彼を認めるまで。
——『運命』が、ただの言葉ではなくなるその日まで。
いい加減観念して結婚してください
彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話
元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。
2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。
作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。
【完結】番になれなくても
加賀ユカリ
BL
アルファに溺愛されるベータの話。
新木貴斗と天橋和樹は中学時代からの友人である。高校生となりアルファである貴斗とベータである和樹は、それぞれ別のクラスになったが、交流は続いていた。
和樹はこれまで貴斗から何度も告白されてきたが、その度に「自分はふさわしくない」と断ってきた。それでも貴斗からのアプローチは止まらなかった。
和樹が自分の気持ちに向き合おうとした時、二人の前に貴斗の運命の番が現れた──
新木貴斗(あらき たかと):アルファ。高校2年
天橋和樹(あまはし かずき):ベータ。高校2年
・オメガバースの独自設定があります
・ビッチング(ベータ→オメガ)はありません
・最終話まで執筆済みです(全12話)
・19時更新
※なろう、カクヨムにも掲載しています。
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる