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「えな、一緒に回ろ」
涼が可愛く誘ってきたのは、後夜祭という一般客が全員退出した後の生徒のみで楽しむ、文化祭最後の時間。
吹部のステージが終わり、それと同時に校内の企画も終了。ある程度片付けて、不要な物をグランドのど真ん中でキャンプファイヤーのようにして燃やす。
その火を囲むようにして、業者による屋台や有志による最終ステージがまったり行われる。
お疲れ様、と屋台の食べ物を食べながら仲のいいメンバーで、夜八時まで自由に過ごしていいとされている。
中には当然、カップルもいるわけで。ところどころ、手を繋いで談笑している二人組の男の子たち、というのも見受けられた。
「涼、何食べたい?」
さすがに白雪姫姿は解除。メイクも落として完全にいつもの恵那に戻っているから、涼も安心して「やきそばがいいな」と返した。
「りょーかい。ここで待ってて、買ってくる」
ステージが見えるけれど、人混みを遠くに見るグランドの端で。積んであったブロックを椅子にして座ることにしたから、とりあえず恵那が食料を調達に走った。
十一月である。夕方も五時半を過ぎれば既に薄暗い。火の傍や、メインステージ周辺はかなり明るいけれど、グランドの端にはその光は届かなくて。
一人で待っていると少し不安になる。
人に囲まれる恵那だから、誰かと会って戻って来れなくなっているのかな、と。
「お待ちー。ほい、焼きそば。あと、オレンジジュースと、メロンパン。涼、好きだろ?」
「組み合わせ、おかしくない?」
「文句あるなら食べなくていいけど」
「ないない。食べるよ。ありがとう」
やっと、二人きりでゆっくり過ごせる。
それが嬉しいと思うのは、涼だけじゃなくて。
隣にくっついて座ると、「寒くない?」と恵那が涼の肩を抱く。
「ん……大丈夫。でも、くっついてたい」
首を肩に乗せて甘えてくる、その体温が嬉しい。
「楽しかったねえ」
心からの涼のそんな言葉に、
「めっちゃ楽しかった。もう終わるなんて、信じらんねー」と答えて。
「準備すごい大変だけど、本番なんてあっとゆー間だもんね」
クラスの出し物も、吹部の演奏も。
一つずつ準備して、何回も練習を重ねて。時間をかけてイイものを作ろうと努力して。
でもきっとそれも全部ひっくるめて“文化祭”というイベントだから。
それが、あと数時間で終わる。
やたらと明るいJポップがBGMとして校内に流れているけれど、その明るさがお祭りの最後のような、ほんの少しの寂寥感を際立たせるから。
二人して、少し黙ってその何とも言えない空気を味わっていた。
と、ステージでは。
「それではここで、本年度校内ミスコンの結果を発表致します」
なんて、ここは男子校ですけど? とツッコミたくなるような声がして。
「まずは準クイーン。こちらは二年生。最強キュートなメイド服姿で、来客を虜にした上、大きな舞台の上で可愛いダンスまで披露してくれた、羽山鳴海!」
うおおおお、という地響きのような男たちの歓声が上がり、ステージのバックに羽山の写真が投影された。
黒いふりふりワンピースに、レースが縁取られた白いエプロン。頭にも白いレース付きのカチューシャをして茶色い髪のふわふわロングなウィッグにそれが可愛く映えている。
ワンピースが実は拘りの丈感で、黒のニーハイソックスとスカートの間にチラリと見える素足の肌色が男心を擽る。(ちなみに吹部のステージではニーハイソックスは細すぎて羽山以外誰も着用できなかった)
自前の白い肌に、オレンジのチークと同系色のリップで彩られた唇が、どう狙って撮ったのかアヒル口になっているのが破壊的で。
どうやら本人無許可らしく、盗撮のようなその写真以外、本人がステージ上にあがることはなく。
しかしながら会場の盛り上がりはなかなかで。
ステージを見ていた者たちは「かっわいいぞー!」なんて口々に叫びながら、口笛を吹いている。
「えな、一緒に回ろ」
涼が可愛く誘ってきたのは、後夜祭という一般客が全員退出した後の生徒のみで楽しむ、文化祭最後の時間。
吹部のステージが終わり、それと同時に校内の企画も終了。ある程度片付けて、不要な物をグランドのど真ん中でキャンプファイヤーのようにして燃やす。
その火を囲むようにして、業者による屋台や有志による最終ステージがまったり行われる。
お疲れ様、と屋台の食べ物を食べながら仲のいいメンバーで、夜八時まで自由に過ごしていいとされている。
中には当然、カップルもいるわけで。ところどころ、手を繋いで談笑している二人組の男の子たち、というのも見受けられた。
「涼、何食べたい?」
さすがに白雪姫姿は解除。メイクも落として完全にいつもの恵那に戻っているから、涼も安心して「やきそばがいいな」と返した。
「りょーかい。ここで待ってて、買ってくる」
ステージが見えるけれど、人混みを遠くに見るグランドの端で。積んであったブロックを椅子にして座ることにしたから、とりあえず恵那が食料を調達に走った。
十一月である。夕方も五時半を過ぎれば既に薄暗い。火の傍や、メインステージ周辺はかなり明るいけれど、グランドの端にはその光は届かなくて。
一人で待っていると少し不安になる。
人に囲まれる恵那だから、誰かと会って戻って来れなくなっているのかな、と。
「お待ちー。ほい、焼きそば。あと、オレンジジュースと、メロンパン。涼、好きだろ?」
「組み合わせ、おかしくない?」
「文句あるなら食べなくていいけど」
「ないない。食べるよ。ありがとう」
やっと、二人きりでゆっくり過ごせる。
それが嬉しいと思うのは、涼だけじゃなくて。
隣にくっついて座ると、「寒くない?」と恵那が涼の肩を抱く。
「ん……大丈夫。でも、くっついてたい」
首を肩に乗せて甘えてくる、その体温が嬉しい。
「楽しかったねえ」
心からの涼のそんな言葉に、
「めっちゃ楽しかった。もう終わるなんて、信じらんねー」と答えて。
「準備すごい大変だけど、本番なんてあっとゆー間だもんね」
クラスの出し物も、吹部の演奏も。
一つずつ準備して、何回も練習を重ねて。時間をかけてイイものを作ろうと努力して。
でもきっとそれも全部ひっくるめて“文化祭”というイベントだから。
それが、あと数時間で終わる。
やたらと明るいJポップがBGMとして校内に流れているけれど、その明るさがお祭りの最後のような、ほんの少しの寂寥感を際立たせるから。
二人して、少し黙ってその何とも言えない空気を味わっていた。
と、ステージでは。
「それではここで、本年度校内ミスコンの結果を発表致します」
なんて、ここは男子校ですけど? とツッコミたくなるような声がして。
「まずは準クイーン。こちらは二年生。最強キュートなメイド服姿で、来客を虜にした上、大きな舞台の上で可愛いダンスまで披露してくれた、羽山鳴海!」
うおおおお、という地響きのような男たちの歓声が上がり、ステージのバックに羽山の写真が投影された。
黒いふりふりワンピースに、レースが縁取られた白いエプロン。頭にも白いレース付きのカチューシャをして茶色い髪のふわふわロングなウィッグにそれが可愛く映えている。
ワンピースが実は拘りの丈感で、黒のニーハイソックスとスカートの間にチラリと見える素足の肌色が男心を擽る。(ちなみに吹部のステージではニーハイソックスは細すぎて羽山以外誰も着用できなかった)
自前の白い肌に、オレンジのチークと同系色のリップで彩られた唇が、どう狙って撮ったのかアヒル口になっているのが破壊的で。
どうやら本人無許可らしく、盗撮のようなその写真以外、本人がステージ上にあがることはなく。
しかしながら会場の盛り上がりはなかなかで。
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