コレは誰の姫ですか?

月那

文字の大きさ
上 下
63 / 231
<2>

☆☆☆

しおりを挟む
「これって、自主的にエントリーするわけじゃ、ないんだね」
 涼が苦笑しながら言うと、恵那が「みたいだな」と鼻で笑う。
「羽山先輩、どっかで聞いてんのかな、コレ。あの人どんな反応してんだろ」
「意外に喜んでたりして。踊ってるの、楽しそうだったよね」
「ほんっと、わっかんない人だよなー。超絶マジメキャラなのかと思いきや、ノリノリでふざけてくれるし」
 子供の頃から一人で舞台に載ってコンクールに出場していたから、キモだけは座っていると本人が言っていた。
 緊張感すらも楽しんでステージに上がれるというだけで、涼にしてみれば尊敬しかない。

「近藤先輩、振り回されてそうだね。今も俺のだーって叫んでんじゃないの?」
「それな。近藤先輩もよく見たら結構イケメンなんだぜ? あの人、ちょっと目つき悪いけどトランペットめっちゃ上手いし。軽音楽部でも演奏してるって」
「軽音楽部って、バンドとかやってんだよね。野外ステージでめっちゃかっこよかった」
「涼、聴きに行ったんだ? 俺、ダンスの打合せとかで全然屋外ステージ見れなかったからなー」
「盛り上がってたよー。なんか、地元の芸人さんも来てたみたい。僕は知らない人達だったけど」
「ローカル番組とかでMCやってたりするアレだろ。俺結構好き。あー、見たかったな」

 二人で焼きそばを食べながらそんな話をして。
 イベントというものにとにかく全力で乗っかる恵那だから、昨日も今日も一人東奔西走していたのを涼も知っている。

「それでは本年度、クイーンの発表と参ります」
 ステージではドラムロールが鳴り響き。
 もったいぶってダララララと流れるその音に恵那が「奏先輩がやってんのかな」と突っ込んだ。

「すらりとした身長に華奢な体格、美しく整った顔に華やかなドレスがこれ以上なくプリンセスとして似合っていて。その見た目に反して口はちょっとだけ悪いけれど、誰よりも文化祭を楽しんでいたこのお姫様。そう、一年C組、瑞浪恵那!」
 バン、と映し出されたのは白雪姫姿の恵那の全身写真。
 いったいいつ撮ったのか、涼に負けず劣らずうるうるの目で上目遣いに微笑んでいるその写真の恵那は、どこからどう見ても可憐な白雪姫で。

 恵那が固まった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

マネジメント!

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:55

今日見た夢とあの日見た夢

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:57

マガイモノ

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:43

君は永い夢を見ている

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:53

初めて恋したイケメン社長のお相手は童顔の美少年でした

BL / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:646

お弁当屋さんの僕と強面のあなた

BL / 完結 24h.ポイント:213pt お気に入り:3,086

箱入り御曹司はスーツの意味を知らない

BL / 完結 24h.ポイント:213pt お気に入り:1,136

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

BL / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:876

僕はおよめさん!

BL / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:104

電車の男ー同棲編ー番外編

BL / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:521

処理中です...