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市内の夜景が一望できる窓の眺めは、地方都市とは言えかなりの展望で。
高層階の角部屋なんてかなりの値段なのでは、と恵那は部屋に入った瞬間固まった。
「おい、涼。コレ、大丈夫か?」
絶対、お高いハズだ。
今まで自分が家族旅行だなんだかんだで泊まったことのあるホテルなんて、比にならないハズだ、とわかるから。
「キレーだねえ」なんて暢気に言ってる涼を、おたおたしながら見てしまう。
「ごはんも美味しかったし。あとでおかあさんにラインしとくねー」
スマホで夜景や、それをバックにツーショットなんてのまで撮っている。
慣れてるのか、これに。
この部屋。
スイートルームというヤツだろう。
ベッドが二台並んだベッドルームと、テーブルや大きなテレビのあるリビングルームとが別々にあって。
こんなデカい部屋なんて、恵那には初めてで。
なのに、暢気な様子で「デザートまで食べちゃったよお、お腹いっぱいだー」なんて言ってる涼は、どこからどう見ても慣れているとしか思えなくて。
「涼……おまえ、いつもこんなトコ、泊まってんの?」
「なわけないじゃん。このホテルだって、僕、初めて来たし」
「え?」
「別に、ココ住んでるわけじゃないよ、僕。おとうさんが経営してるってだけで。僕んち、田舎の普通の一軒家だもん」
郊外なだけで、別に田舎ではない。
恵那はまだ行ったことがないけれど、高速道路のインターが近いちょっと郊外のデカい家だということは知っていた。
「でもなんか、めっちゃ慣れてるっぽくね?」
「そおかな? 別に、旅行とかでホテルくらい泊まるでしょ?」
だから、そういう時泊まるホテルのランクが違うんだっつの。
と思ったけれど。もう、これ以上突っ込むのはやめにした。
雰囲気に圧されてばかりじゃ、楽しめない。
せっかくこんなにやる気に満ち溢れたシチュエーションなわけだから、楽しまないと、損だ。
恵那はそう思って一回大きく深呼吸して。
「涼」
とりあえず、ぎゅ、と抱きしめた。
夜景の中、二人きりで楽しむ時間はまだまだいっぱいある。
「えな……先にシャワー、浴びていい?」
腕の中、恥じらいながら涼が言う。
「ん」
見送って。
ソファに座って、夜景を眺める。
手持ち無沙汰でテレビをつけた。
この季節、いつも観ている番組もなく特番ばかりでイマイチ楽しめなくて、ザッピングしてすぐに消す。
スマホを開く。
と。
“クリスマス。男二人で虚しくカラオケ中”と徹と辰巳の写真がラインで入っていた。
まあ、奏は彼女と過ごしているだろうし、当然音沙汰ナシだが。
響たちは試合を順調に勝ち進んでいる様子で、どうやらクリスマスどころの話ではないらしく、当然だけれどクリスマスの“ク”の字もない。
どうしよう。
さすがに、緊張してきた。
これから、涼を抱く。という事実に。
いやもう、まじで緊張してしまう自分を止められない。
とりあえず調べて準備はした。ドラッグストアでコンドームと潤滑ローションなんてのを買うのにはかなりの勇気が必要だったが、開き直った。だって、絶対痛い思いなんてさせたくない。
こっちだって初めてだ。
こんなシチュ、恐らくあの時三人に何かしらの煽りを食らったに違いない。涼が自分から思いつくとは思えないし。あの三人なら、平気で涼を煽るだろう。
でも、それを受け入れたのは涼自身。だから、ちゃんとソウイウ関係に進みたいと、思ってくれたんだろうから。
ナニをドウするか、なんてのを、昨夜スマホでAV観て、こっそりネットで調べて。そんなことをしてとりあえずおベンキョウして今日に備えた。
そしてこの、完璧にキラキラなシチュである。
緊張するなというのは無理な話。
可愛い可愛い大事な涼が今、自分に抱かれる為にシャワー浴びてるなんて。
「あ、やべ」想像するだけで、勃つ。
ダメだ。
これはダメだ。ともう一度大きく深呼吸。
再びスマホを開く。
とりあえず、ゲームでもして落ち着こう。そうしよう。
そう思っていつものゲームにログインした瞬間。
「えなー、上がったー。次、どおぞー」
ホテルのルームウェアを着た涼が、ふわふわといい香りを漂わせ、頬を上気させて出てきた。
市内の夜景が一望できる窓の眺めは、地方都市とは言えかなりの展望で。
高層階の角部屋なんてかなりの値段なのでは、と恵那は部屋に入った瞬間固まった。
「おい、涼。コレ、大丈夫か?」
絶対、お高いハズだ。
今まで自分が家族旅行だなんだかんだで泊まったことのあるホテルなんて、比にならないハズだ、とわかるから。
「キレーだねえ」なんて暢気に言ってる涼を、おたおたしながら見てしまう。
「ごはんも美味しかったし。あとでおかあさんにラインしとくねー」
スマホで夜景や、それをバックにツーショットなんてのまで撮っている。
慣れてるのか、これに。
この部屋。
スイートルームというヤツだろう。
ベッドが二台並んだベッドルームと、テーブルや大きなテレビのあるリビングルームとが別々にあって。
こんなデカい部屋なんて、恵那には初めてで。
なのに、暢気な様子で「デザートまで食べちゃったよお、お腹いっぱいだー」なんて言ってる涼は、どこからどう見ても慣れているとしか思えなくて。
「涼……おまえ、いつもこんなトコ、泊まってんの?」
「なわけないじゃん。このホテルだって、僕、初めて来たし」
「え?」
「別に、ココ住んでるわけじゃないよ、僕。おとうさんが経営してるってだけで。僕んち、田舎の普通の一軒家だもん」
郊外なだけで、別に田舎ではない。
恵那はまだ行ったことがないけれど、高速道路のインターが近いちょっと郊外のデカい家だということは知っていた。
「でもなんか、めっちゃ慣れてるっぽくね?」
「そおかな? 別に、旅行とかでホテルくらい泊まるでしょ?」
だから、そういう時泊まるホテルのランクが違うんだっつの。
と思ったけれど。もう、これ以上突っ込むのはやめにした。
雰囲気に圧されてばかりじゃ、楽しめない。
せっかくこんなにやる気に満ち溢れたシチュエーションなわけだから、楽しまないと、損だ。
恵那はそう思って一回大きく深呼吸して。
「涼」
とりあえず、ぎゅ、と抱きしめた。
夜景の中、二人きりで楽しむ時間はまだまだいっぱいある。
「えな……先にシャワー、浴びていい?」
腕の中、恥じらいながら涼が言う。
「ん」
見送って。
ソファに座って、夜景を眺める。
手持ち無沙汰でテレビをつけた。
この季節、いつも観ている番組もなく特番ばかりでイマイチ楽しめなくて、ザッピングしてすぐに消す。
スマホを開く。
と。
“クリスマス。男二人で虚しくカラオケ中”と徹と辰巳の写真がラインで入っていた。
まあ、奏は彼女と過ごしているだろうし、当然音沙汰ナシだが。
響たちは試合を順調に勝ち進んでいる様子で、どうやらクリスマスどころの話ではないらしく、当然だけれどクリスマスの“ク”の字もない。
どうしよう。
さすがに、緊張してきた。
これから、涼を抱く。という事実に。
いやもう、まじで緊張してしまう自分を止められない。
とりあえず調べて準備はした。ドラッグストアでコンドームと潤滑ローションなんてのを買うのにはかなりの勇気が必要だったが、開き直った。だって、絶対痛い思いなんてさせたくない。
こっちだって初めてだ。
こんなシチュ、恐らくあの時三人に何かしらの煽りを食らったに違いない。涼が自分から思いつくとは思えないし。あの三人なら、平気で涼を煽るだろう。
でも、それを受け入れたのは涼自身。だから、ちゃんとソウイウ関係に進みたいと、思ってくれたんだろうから。
ナニをドウするか、なんてのを、昨夜スマホでAV観て、こっそりネットで調べて。そんなことをしてとりあえずおベンキョウして今日に備えた。
そしてこの、完璧にキラキラなシチュである。
緊張するなというのは無理な話。
可愛い可愛い大事な涼が今、自分に抱かれる為にシャワー浴びてるなんて。
「あ、やべ」想像するだけで、勃つ。
ダメだ。
これはダメだ。ともう一度大きく深呼吸。
再びスマホを開く。
とりあえず、ゲームでもして落ち着こう。そうしよう。
そう思っていつものゲームにログインした瞬間。
「えなー、上がったー。次、どおぞー」
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