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ever after
ever after -3-
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まだ、ゆかりちゃんのこと好きだから。
そう、言いたかった。
けれどももう、言っても仕方のないことだから。言ってはいけないことだから。
暫く、沈黙が続いた。
ゆかりも何か思うことがあるのか、回線を切ることはなかったけれど、いつもの明るい声が、ない。
苦しい。
ほんとに、久しぶりに聴いたこの声が、まだ全然整理のついていない感情を掻き乱す。
それは甘くて、苦くて、ただただずっと聴いていたい声で。
けれど、恐らくこの会話が終わればまた、暫く聴くことのできない声で。
ほんとはこんな、電話なんて、間に距離の大きく挟まった状態じゃなく、直接、聴きたいのだ。
それはただ、本当に“逢いたい”という気持ちだけで。
「……あいたいな」
「……逢いたい」
!!!
向こう側から聴こえた声と、自分の心からの呟きが同時で。
ルカは目を瞠いた。
「やだ、ごめん、ウソだから。間違いだから!」
ゆかりが焦った声で言った。
「いやだ。ゆかりちゃんダメだよ」
でも、もうルカは止められなかった。
「聞かなかったことにして」
「しない!」
「……だって。だって……」
「ゆかりちゃん。もう、ダメだよ。俺、聴こえた。さっきの、ほんとの気持ちだよね?」
「……」
「無言は肯定、だよ」
だって、絶対そうだから。
沈黙の、向こう側の気持ちが今、聴こえたから!
「逢いに、行くから」
意を決してルカはそれだけ言うと、返事は聞かなかった。そのまま、回線を切ると携帯をポケットに突っ込み、そっと家を抜け出した。
そして自転車でゆかりの元へと走る。
全速力で。
何も考えられなかった。
ただ、逢いたくて。
暗闇を照らす月が大きくて、秋も深まって少し冴え冴えとした夜の空気を切るように、もうその道しかルカには見えなかった。
ゆかりに、逢いたい。
逢って、やっぱり抱き締めたい。
それはきっと、自分だけの想いじゃない。
ゆかりの中に、きっと自分がいるハズなのだ。
それは「美紅の息子」でもあるだろう。けれどもきっとそれだけじゃない。
一人の男として。
明るく照らされたその道を、ルカは颯爽と、全速力で突き進んだ。
そう、言いたかった。
けれどももう、言っても仕方のないことだから。言ってはいけないことだから。
暫く、沈黙が続いた。
ゆかりも何か思うことがあるのか、回線を切ることはなかったけれど、いつもの明るい声が、ない。
苦しい。
ほんとに、久しぶりに聴いたこの声が、まだ全然整理のついていない感情を掻き乱す。
それは甘くて、苦くて、ただただずっと聴いていたい声で。
けれど、恐らくこの会話が終わればまた、暫く聴くことのできない声で。
ほんとはこんな、電話なんて、間に距離の大きく挟まった状態じゃなく、直接、聴きたいのだ。
それはただ、本当に“逢いたい”という気持ちだけで。
「……あいたいな」
「……逢いたい」
!!!
向こう側から聴こえた声と、自分の心からの呟きが同時で。
ルカは目を瞠いた。
「やだ、ごめん、ウソだから。間違いだから!」
ゆかりが焦った声で言った。
「いやだ。ゆかりちゃんダメだよ」
でも、もうルカは止められなかった。
「聞かなかったことにして」
「しない!」
「……だって。だって……」
「ゆかりちゃん。もう、ダメだよ。俺、聴こえた。さっきの、ほんとの気持ちだよね?」
「……」
「無言は肯定、だよ」
だって、絶対そうだから。
沈黙の、向こう側の気持ちが今、聴こえたから!
「逢いに、行くから」
意を決してルカはそれだけ言うと、返事は聞かなかった。そのまま、回線を切ると携帯をポケットに突っ込み、そっと家を抜け出した。
そして自転車でゆかりの元へと走る。
全速力で。
何も考えられなかった。
ただ、逢いたくて。
暗闇を照らす月が大きくて、秋も深まって少し冴え冴えとした夜の空気を切るように、もうその道しかルカには見えなかった。
ゆかりに、逢いたい。
逢って、やっぱり抱き締めたい。
それはきっと、自分だけの想いじゃない。
ゆかりの中に、きっと自分がいるハズなのだ。
それは「美紅の息子」でもあるだろう。けれどもきっとそれだけじゃない。
一人の男として。
明るく照らされたその道を、ルカは颯爽と、全速力で突き進んだ。
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