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和泉達の会社は土木業を主とする会社であるため、女性社員は数える程しかいない。
そして、そういった状況の中で女性社員はどうしても「職場の花」的存在として扱われやすい。
その上この会社の女性社員のレベルは結構高く、中でも高梨のいる点検部の事務処理を総て行っている女性であるところの原田由佳里は群を抜いている。
「あ、中司くん、中司くん。丁度良かった、聞きたいことあったのよ」
久々の内勤で、昼食を高梨と埴生と一緒に採り、事務所への帰りに声を掛けられた和泉は少し驚いた。
元々女性は苦手だという意識があるせいか、和泉は女性社員と話をしたことなど殆どない。
ましてや、男性社員の“高嶺の花”である原田に声を掛けられるなど、入社以来初めてである。
「高倉さんのことなんだけどさあ、事務所でもう集めちゃった?」
「は? 集めるって?」
「お祝いよ、お祝い。さっきね、奈緒さんと一緒に話してたんだけど、ほら、奈緒さんは水津穂さんと仲良かったし、自分一人で包むらしいのよ。けどねー、あたしはここでも殆どすれ違いくらいで、一ヶ月も一緒にいなかったのよね。でも時々会うこともあるし、なのに全然しなかったら気まずいじゃない?」
女性特有の早口なせいもるのだろうが、和泉には全くその内容が掴めない。
「本社は本社でまとめるらしいんだけど、あたしって本社の女性軍って苦手なのよねー。あんまり関わりたくないってゆーかー……」
一体、何を話していのかさっぱりわからないけれど、和泉は黙って原田の言葉を聞く。
引っかかる名前が、あるから。
「で、こっちの女性の中で水津穂さんのこと知ってるのってあたしと奈緒さんしかいないんだけど、奈緒さんがアレでしょ? だったらいっそのこと工事部に混ぜてもらおうかなー、って思ったのよ」
高倉水津穂。旧姓葉山水津穂。
六年程前に寿退社した、当時の社内一の美女である。
今と違い、当時の工事部には他の部署と同じく経理関係の事務一式を取り仕切る女性社員が存在しており、彼女がその担当だったという。
そして小田のいる設計部の事務員であるところの奈緒さんこと小川奈緒は、彼女と同期で今もなお連絡を取り合っているらしく、高倉家の事情にはかなり詳しい。
「だからね、中司くん。工事部で集めるときにあたしも混ぜて欲しいなーって思ってるのよ」
漸く、話が見えたような気がした。
と、同時にその内容が自分に大きな衝撃をもたらしているということにも、遅まきながら気付いてしまう。
「それって、高倉さんの奥さんがオメデタってことっすか?」
埴生の言葉がはっきりとトドメを刺し、和泉は完全に固まった。
そして、そういった状況の中で女性社員はどうしても「職場の花」的存在として扱われやすい。
その上この会社の女性社員のレベルは結構高く、中でも高梨のいる点検部の事務処理を総て行っている女性であるところの原田由佳里は群を抜いている。
「あ、中司くん、中司くん。丁度良かった、聞きたいことあったのよ」
久々の内勤で、昼食を高梨と埴生と一緒に採り、事務所への帰りに声を掛けられた和泉は少し驚いた。
元々女性は苦手だという意識があるせいか、和泉は女性社員と話をしたことなど殆どない。
ましてや、男性社員の“高嶺の花”である原田に声を掛けられるなど、入社以来初めてである。
「高倉さんのことなんだけどさあ、事務所でもう集めちゃった?」
「は? 集めるって?」
「お祝いよ、お祝い。さっきね、奈緒さんと一緒に話してたんだけど、ほら、奈緒さんは水津穂さんと仲良かったし、自分一人で包むらしいのよ。けどねー、あたしはここでも殆どすれ違いくらいで、一ヶ月も一緒にいなかったのよね。でも時々会うこともあるし、なのに全然しなかったら気まずいじゃない?」
女性特有の早口なせいもるのだろうが、和泉には全くその内容が掴めない。
「本社は本社でまとめるらしいんだけど、あたしって本社の女性軍って苦手なのよねー。あんまり関わりたくないってゆーかー……」
一体、何を話していのかさっぱりわからないけれど、和泉は黙って原田の言葉を聞く。
引っかかる名前が、あるから。
「で、こっちの女性の中で水津穂さんのこと知ってるのってあたしと奈緒さんしかいないんだけど、奈緒さんがアレでしょ? だったらいっそのこと工事部に混ぜてもらおうかなー、って思ったのよ」
高倉水津穂。旧姓葉山水津穂。
六年程前に寿退社した、当時の社内一の美女である。
今と違い、当時の工事部には他の部署と同じく経理関係の事務一式を取り仕切る女性社員が存在しており、彼女がその担当だったという。
そして小田のいる設計部の事務員であるところの奈緒さんこと小川奈緒は、彼女と同期で今もなお連絡を取り合っているらしく、高倉家の事情にはかなり詳しい。
「だからね、中司くん。工事部で集めるときにあたしも混ぜて欲しいなーって思ってるのよ」
漸く、話が見えたような気がした。
と、同時にその内容が自分に大きな衝撃をもたらしているということにも、遅まきながら気付いてしまう。
「それって、高倉さんの奥さんがオメデタってことっすか?」
埴生の言葉がはっきりとトドメを刺し、和泉は完全に固まった。
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