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誤解されてるカイザー
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体を洗い終わったあと、ネックレスを外して窓辺に置いた。私の部屋も南向きなので月がよく見えている。この部屋になって良かったような、もっとカイザーから遠い部屋が良かったような……。よく分からない。
寝る前にドアのカギを確認。当たり前だけど押しても引いても開かない。これで安心して眠れる……。今日は怒涛の一日だった。色んなことがあって、頭の中がごちゃごちゃしている。
ホルストさんは「陛下はあなたに甘えている」とか言ってたっけ。世間一般の婚約者がどんなものかは知らないけど、学校でお付き合いしている生徒たちは確かに甘ったるい事してたような気がする。大好きと言い合ったり、抱き合ったり、手を繋ぐときも指を組んでみたり。
私たちはそこまでの事はしていなかった。キス事件はあったけど、カイザーが一方的に私に構うから、私はいつも受け身というか……。私から何かしてあげた事はほとんどなかったと思う。
リヴィにもっと構って欲しかったから、代わりにユリアンに甘えてるんだろうか。
ユリアンまでいなくなったらカイザーはどうするんだろう。また痩せこけて青白い顔に戻ってしまう?
ハインツさんまで「長く働いてください」とか言うし、私はどうしたらいいのか……。
これからのことを考えると気が重かった。
翌朝はかなり早めに起きた。すぐに着がえてカイザー……陛下の部屋に直行したけど、ホルストさんはもう来ている。流石だ。
「ユリアン、頼む」
うっ。
部屋の中に立っているカイザーは上半身が裸。隣に立つホルストさんがシャツを手に持っているのに、どうして私に着させるのよ。ホルストさんに着せてもらったらいいでしょう!
私は目を細めてあまり見ないようにした。シャツを手に持ち、カイザーの背後に回る。袖を王様の腕に通していると、男らしくなった背中が見えた。背中にも筋肉って付くものなんだ。私の背中はどうなってるんだろう。
袖に腕を通しおえたカイザーはくるりと振り返り、私の前で突っ立っている。なんでボタン閉めないの、私にやれって事ですか。王様だからって何もかも侍従にさせるのか。
目を閉じて手探り状態でボタンを閉じてやった。一個ぐらいずらしてやろうかと思ったけどやめておく。ちゃんとお給料ほしいから。
朝食も一緒にとることになったけど、気を利かせたホルストさんが昨晩と同じように小さなテーブルを用意してくれた。侍従って細かな気配りが大切なんだ。
ホルストさんばかりに働かせるのは気が引けるので、食事の後片付けは一人でさせてもらった。カートを引いてきて食器を並べ、厨房へ返しに行く。
厨房から国王の執務室へ戻る途中、廊下のすみで話し込む3人のメイドさん達が見えた。その内の一人が私に向かって手招きをしているので、振り返ってうしろを確認。誰もいない。
「あなたよ、あなたとお話したいの」
「はぁ」
何の用なんだろ。仕事中だから、手短にお願いしたいんだけど。
「昨日侍従になったユリアンってあなた?」
「はい、そうですけど」
私が答えるとメイドさん達は「やっぱり!」とか「噂は本当だったのね」とか言っている。
「噂ってなんですか?」
「陛下は女嫌いって噂よ」
「えっ。どうしてそんな噂が……」
「あなたは知らないだろうけど、去年の秋に陛下は百人以上の令嬢たちとお見合いしたの」
「ひゃ、百人!?」
「それだけお見合いしても、陛下は誰も選ばなかったの。でもあなたみたいな美少年は気に入って連れて来たわけでしょ……これはもう、男が好きって事なんじゃない?」
「……」
大変だ。カイザーが誤解されている!
誤解されるようなことしてるから、仕方ないような気もするけど。
カイザーにはちゃんと婚約者がいるんだって伝えた方がいいだろうか。でもその婚約者に逃げられたって事実もバレてしまうし、ああもう、どうしよう。
混乱してきたので、「失礼します」と言ってその場を離れた。どうやってカイザーに関する誤解を解けばいいのか分からなくて。
大変だよカイザー、あなたは男好きって事になっちゃってるよ。確かに公園でユリアンを抱きしめたりキスしようとしたり、昨晩は一緒に寝たいみたいな事を言ったりしてたけど……あれ? 自業自得?
でも私は知っている。カイザーは公園で泣きながらリヴィへの気持ちを告白していた。だから彼は男好きなわけじゃない。ユリアンを気に入ったのは、リヴィに似ているからだ。
「はあ……」
階段をのぼる足が重い。気分も重い。
私はどうしたらいいの。重たい王様とのお付き合いを……。
寝る前にドアのカギを確認。当たり前だけど押しても引いても開かない。これで安心して眠れる……。今日は怒涛の一日だった。色んなことがあって、頭の中がごちゃごちゃしている。
ホルストさんは「陛下はあなたに甘えている」とか言ってたっけ。世間一般の婚約者がどんなものかは知らないけど、学校でお付き合いしている生徒たちは確かに甘ったるい事してたような気がする。大好きと言い合ったり、抱き合ったり、手を繋ぐときも指を組んでみたり。
私たちはそこまでの事はしていなかった。キス事件はあったけど、カイザーが一方的に私に構うから、私はいつも受け身というか……。私から何かしてあげた事はほとんどなかったと思う。
リヴィにもっと構って欲しかったから、代わりにユリアンに甘えてるんだろうか。
ユリアンまでいなくなったらカイザーはどうするんだろう。また痩せこけて青白い顔に戻ってしまう?
ハインツさんまで「長く働いてください」とか言うし、私はどうしたらいいのか……。
これからのことを考えると気が重かった。
翌朝はかなり早めに起きた。すぐに着がえてカイザー……陛下の部屋に直行したけど、ホルストさんはもう来ている。流石だ。
「ユリアン、頼む」
うっ。
部屋の中に立っているカイザーは上半身が裸。隣に立つホルストさんがシャツを手に持っているのに、どうして私に着させるのよ。ホルストさんに着せてもらったらいいでしょう!
私は目を細めてあまり見ないようにした。シャツを手に持ち、カイザーの背後に回る。袖を王様の腕に通していると、男らしくなった背中が見えた。背中にも筋肉って付くものなんだ。私の背中はどうなってるんだろう。
袖に腕を通しおえたカイザーはくるりと振り返り、私の前で突っ立っている。なんでボタン閉めないの、私にやれって事ですか。王様だからって何もかも侍従にさせるのか。
目を閉じて手探り状態でボタンを閉じてやった。一個ぐらいずらしてやろうかと思ったけどやめておく。ちゃんとお給料ほしいから。
朝食も一緒にとることになったけど、気を利かせたホルストさんが昨晩と同じように小さなテーブルを用意してくれた。侍従って細かな気配りが大切なんだ。
ホルストさんばかりに働かせるのは気が引けるので、食事の後片付けは一人でさせてもらった。カートを引いてきて食器を並べ、厨房へ返しに行く。
厨房から国王の執務室へ戻る途中、廊下のすみで話し込む3人のメイドさん達が見えた。その内の一人が私に向かって手招きをしているので、振り返ってうしろを確認。誰もいない。
「あなたよ、あなたとお話したいの」
「はぁ」
何の用なんだろ。仕事中だから、手短にお願いしたいんだけど。
「昨日侍従になったユリアンってあなた?」
「はい、そうですけど」
私が答えるとメイドさん達は「やっぱり!」とか「噂は本当だったのね」とか言っている。
「噂ってなんですか?」
「陛下は女嫌いって噂よ」
「えっ。どうしてそんな噂が……」
「あなたは知らないだろうけど、去年の秋に陛下は百人以上の令嬢たちとお見合いしたの」
「ひゃ、百人!?」
「それだけお見合いしても、陛下は誰も選ばなかったの。でもあなたみたいな美少年は気に入って連れて来たわけでしょ……これはもう、男が好きって事なんじゃない?」
「……」
大変だ。カイザーが誤解されている!
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「はあ……」
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私はどうしたらいいの。重たい王様とのお付き合いを……。
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