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8 弟よ!
私とエマ、セラと侍従で裏庭に出る。建物の角を曲がるまえに、エマにエド爺さんがいるかどうか確認してもらった。
「エマ、どう?」
「オッケーです。敵の姿はありません!」
良かった、仕事に戻ったようだ。セラにエド爺さんの常軌を逸した動きをみせるわけにはいかないし、「ブランコって危ない」と勘違いされたら困る。危ないのはブランコではなく、エド爺である。
「ほら、これがブランコだよ。立って乗ることも出来るけど、最初だからまず座ってみようか」
「うん!」
セラが木の板にぽすんと座り、私は彼の小さな背中を押してあげる。ああ懐かしいなぁ。前世でも弟が小さい時、こうして背中を押してやったっけ……。今度はぼくが押すよ、と交替した直後にブランコの板が弟の鼻に直撃し、鼻血が出たのもいい思い出だ。
「わあ~、空が近い! 楽しいね!」
「気に入ってくれたみたいで良かったわ」
セラの背中を押してるうちに、別のブランコが目に入った。弟の侍従が座り、エマが背中を押している。乗りたくなったんだな。エド爺さんがブランコを二つ作ったのは正解だった。妖怪かと思ったけど、やはりただ者ではない。
「今度はぼくが姉上を押してあげる! 座って!」
「え……。でも私、重たいし」
「だいじょぶ! ぼく一生懸命おすから!」
ああもう、そんな可愛い顔で言われたら拒めないじゃないの。でも鼻血ださないでね?
私は板に座り、弟に背中を任せた。うんしょ、うんしょという声が聞こえてくる。可愛いなあ。ほんのちょっとだけ足を動かし、弟の手助けをした。
「よいっしょ! どう、楽しい?」
「すっごく楽しいわ。ありがとう、セラ」
「えへへ」
笑い声まで可愛い。弟が攻略対象じゃなくて本当に良かった。もしセラがヒロインに惚れてたら、私は全力で邪魔をしていただろう。次々に男をとっかえひっかえするような女に、弟を任せるわけには行かない。
「お、お嬢さま! 眉毛の危機です!」
いつの間にかエマが私の横に立ち、真剣な顔で鉛筆を差し出している。
――しまった! 汗で眉毛が消えかかっているのか!?
私はブランコに乗りながら鉛筆を受け取ろうとしたが、すかっすかっと何度か空振りし、ますます焦りがつのった。いや、ブランコを止めたらいいんだけどね。せっかくセラが押してくれてるから。
チャレンジ回数が二桁に突入した頃ようやく鉛筆キャッチは成功し、急いで眉毛を書く。この際、多少へんな眉毛でもいい。セラとの間に生まれた絆を失いたくない……!
「ふう、楽しかった。ありがとうね、セラ」
「ぷっ! あはは、姉上ってば面白いお顔!」
「えっ」
ブランコを止めた直後、セラは姉の顔を見て爆笑した。エマがそっと私に手鏡を差し出すので覗きこんでみると、私の眉毛は麿に変わっている。やはりブランコに乗りながら眉毛を書くのは無謀だったらしい。
一刻も早く、ウォータープルーフのアイブロウを作らねば!
なお、眉毛は失敗したものの弟の機嫌は良く、この日から一緒に食事をとれるようになった。本当に良かったです。
「エマ、どう?」
「オッケーです。敵の姿はありません!」
良かった、仕事に戻ったようだ。セラにエド爺さんの常軌を逸した動きをみせるわけにはいかないし、「ブランコって危ない」と勘違いされたら困る。危ないのはブランコではなく、エド爺である。
「ほら、これがブランコだよ。立って乗ることも出来るけど、最初だからまず座ってみようか」
「うん!」
セラが木の板にぽすんと座り、私は彼の小さな背中を押してあげる。ああ懐かしいなぁ。前世でも弟が小さい時、こうして背中を押してやったっけ……。今度はぼくが押すよ、と交替した直後にブランコの板が弟の鼻に直撃し、鼻血が出たのもいい思い出だ。
「わあ~、空が近い! 楽しいね!」
「気に入ってくれたみたいで良かったわ」
セラの背中を押してるうちに、別のブランコが目に入った。弟の侍従が座り、エマが背中を押している。乗りたくなったんだな。エド爺さんがブランコを二つ作ったのは正解だった。妖怪かと思ったけど、やはりただ者ではない。
「今度はぼくが姉上を押してあげる! 座って!」
「え……。でも私、重たいし」
「だいじょぶ! ぼく一生懸命おすから!」
ああもう、そんな可愛い顔で言われたら拒めないじゃないの。でも鼻血ださないでね?
私は板に座り、弟に背中を任せた。うんしょ、うんしょという声が聞こえてくる。可愛いなあ。ほんのちょっとだけ足を動かし、弟の手助けをした。
「よいっしょ! どう、楽しい?」
「すっごく楽しいわ。ありがとう、セラ」
「えへへ」
笑い声まで可愛い。弟が攻略対象じゃなくて本当に良かった。もしセラがヒロインに惚れてたら、私は全力で邪魔をしていただろう。次々に男をとっかえひっかえするような女に、弟を任せるわけには行かない。
「お、お嬢さま! 眉毛の危機です!」
いつの間にかエマが私の横に立ち、真剣な顔で鉛筆を差し出している。
――しまった! 汗で眉毛が消えかかっているのか!?
私はブランコに乗りながら鉛筆を受け取ろうとしたが、すかっすかっと何度か空振りし、ますます焦りがつのった。いや、ブランコを止めたらいいんだけどね。せっかくセラが押してくれてるから。
チャレンジ回数が二桁に突入した頃ようやく鉛筆キャッチは成功し、急いで眉毛を書く。この際、多少へんな眉毛でもいい。セラとの間に生まれた絆を失いたくない……!
「ふう、楽しかった。ありがとうね、セラ」
「ぷっ! あはは、姉上ってば面白いお顔!」
「えっ」
ブランコを止めた直後、セラは姉の顔を見て爆笑した。エマがそっと私に手鏡を差し出すので覗きこんでみると、私の眉毛は麿に変わっている。やはりブランコに乗りながら眉毛を書くのは無謀だったらしい。
一刻も早く、ウォータープルーフのアイブロウを作らねば!
なお、眉毛は失敗したものの弟の機嫌は良く、この日から一緒に食事をとれるようになった。本当に良かったです。
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