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17 初イベント1
食事を終えた私たちは寮にもどり、おやすみなさいと挨拶して別れた。いよいよ明日からゲームスタートだ。初日からイベントがあるはずなので、気を引き締めていかなければ。
疲れていたためか、ベッドに横になるとあっという間に熟睡できた。
翌日は早めに起き、身支度を済ませてすぐに食堂へ向かう。アリシア達はまだ来ていないようなので一人で朝食を済ませ、さっさと寮を出た。
寮から校舎へは一本道。でもこの道でヒロインと殿下がぶつかっちゃうベタなイベントがあるのだ。
お転婆なヒロインは寝坊してしまい、校舎への道を急ぐ途中でうっかり殿下にぶつかる。そして転んだ彼女を殿下は優しく抱き上げ、医務室へと運ぶ――という、なんとも古めかしい少女漫画のような展開であるが、私は最大級に警戒していた。
これこそゲームスタートの合図であり、無くてはならない布石。今後を決める重要な出来事となるであろう。街路樹の影にかくれ、「おはよー」と言いながら歩く生徒たちを見守る。
まだか。ヒロインはまだ来ないのか。主人公どころか殿下の姿さえ見えないのはどういう事だ? 私が遅刻したら、殿下に罪をなすりつけてやる……!
――ぽんっ。
「っぎゃああああ!」
「うわぁ、すごい声だな。急に肩をたたいたから、ビックリさせたかな? ごめんね」
突然肩をたたかれ、誰だよと振り返れば殿下である。しかも後ろにはカイラー氏まで。
「お、お久しぶりです。でもこんな大事な時に、私になんのご用でしょうか!?」
半ギレで殿下に言うと、彼はふっと笑った。いや、そんな余裕の笑みは要らんから。
さっさと道に戻ってよぉ~、ティナが来ちゃうでしょうが!
「例のハサミはよく売れたかい? 僕とカイラーで頑張って広めたんだよ。まぁ、父上が気に入ったというのも効果があっただろうけど」
「学園の奴らも結構あのハサミ使ってるみたいだぜ。王都からの注文は、ほぼ俺と殿下のおかげだからな。感謝しろよ!」
おたくらが原因でしたか! おかげで私とエマは発送処理で死にかけました!
しかし今はそれどころではない。
「大変ありがとうございました、感謝のしようもありませんわぁ~。ところでもう時間ですから校舎に向かわれた方がよろしいのでは?」
「すげー棒読み。なにを焦ってるわけ?」
「誰かを待っているのか? さっき、大事な時とか何とか言っていたよね?」
私が待ってるんじゃないよ、ヒロインが殿下を待ってるんだよ!
くっ、仕方ない……!
私は街路樹から離れ、道の真ん中に出た。当然のように殿下とカイラーも付いてくる。よしよし、さぁおいで。目くるめく世界へ連れて行ってあげよう。
さりげなく道の向こうを見れば、こちらへ走ってくるピンク髪の女の子が見えた。距離にして20m。ぶつかるまで数秒といったところか。殿下とカイラーは背中を向けているから、ヒロインの姿は見えないだろう。
このままぶつかってしまえ!――と思った瞬間。
どん!
「ぶへっ!」
「きゃああっ!」
殿下にぶつかる直前、カイラーがさっと動いて殿下の体を脇によけた。すかっと空振りになったティナは私に直撃し、二人で道に倒れる。痛い。
おのれぇ、カイラァァァ!!
おぬしは背中に目でも付いておるのかぁ!?
「あっごめん、思わず動いちまった。二人とも大丈夫か?」
「カイラー、おまえはこちらの令嬢を医務室へ連れて行け。僕はルシー嬢を連れて行く」
「えっ?」「そんなぁ!」
私とティナ嬢の声がかぶり、一瞬なんと言ったか分からなかった……が。
今、「そんな」って言ったよね? 偶然じゃなくて、わざと殿下を狙ったのか?
ティナの様子を伺うと、彼女も私の顔を食い入るように見ている。
そして――。
『なんで!? ゲームと髪型が違うじゃない!』
なんと驚き、日本語で叫んだ。私たちはハブとマングースのように数秒間たっぷり見つめあい、お互いに確信する。
――こいつも、転生者だ!
「さあ、もう予鈴が鳴ってしまう。行こう」
「あ、わわっ」
殿下が私をお姫さま抱っこし、カイラーは……普通におんぶだ。おんぶされたティナは非常に不満そうで、刺すような目付きで私を睨んでいる。
申し訳ございません! これはちょっとした手違いなんです!
でも私が悪いかといわれると違和感がある。今回の件に関してはカイラーが余計な動きをしたためにイベントが失敗したのだ。殿下の騎士としては正しい行動だったが、奴のせいで何かがぶち壊れたのは間違いない。
私とティナは医務室へ運ばれ、医師の簡単な診察を受けてから教室へ戻った。診察中も教室へもどるときも殿下とカイラーが付き添ったため、ティナが転生者かどうかの確認はできなかった。
疲れていたためか、ベッドに横になるとあっという間に熟睡できた。
翌日は早めに起き、身支度を済ませてすぐに食堂へ向かう。アリシア達はまだ来ていないようなので一人で朝食を済ませ、さっさと寮を出た。
寮から校舎へは一本道。でもこの道でヒロインと殿下がぶつかっちゃうベタなイベントがあるのだ。
お転婆なヒロインは寝坊してしまい、校舎への道を急ぐ途中でうっかり殿下にぶつかる。そして転んだ彼女を殿下は優しく抱き上げ、医務室へと運ぶ――という、なんとも古めかしい少女漫画のような展開であるが、私は最大級に警戒していた。
これこそゲームスタートの合図であり、無くてはならない布石。今後を決める重要な出来事となるであろう。街路樹の影にかくれ、「おはよー」と言いながら歩く生徒たちを見守る。
まだか。ヒロインはまだ来ないのか。主人公どころか殿下の姿さえ見えないのはどういう事だ? 私が遅刻したら、殿下に罪をなすりつけてやる……!
――ぽんっ。
「っぎゃああああ!」
「うわぁ、すごい声だな。急に肩をたたいたから、ビックリさせたかな? ごめんね」
突然肩をたたかれ、誰だよと振り返れば殿下である。しかも後ろにはカイラー氏まで。
「お、お久しぶりです。でもこんな大事な時に、私になんのご用でしょうか!?」
半ギレで殿下に言うと、彼はふっと笑った。いや、そんな余裕の笑みは要らんから。
さっさと道に戻ってよぉ~、ティナが来ちゃうでしょうが!
「例のハサミはよく売れたかい? 僕とカイラーで頑張って広めたんだよ。まぁ、父上が気に入ったというのも効果があっただろうけど」
「学園の奴らも結構あのハサミ使ってるみたいだぜ。王都からの注文は、ほぼ俺と殿下のおかげだからな。感謝しろよ!」
おたくらが原因でしたか! おかげで私とエマは発送処理で死にかけました!
しかし今はそれどころではない。
「大変ありがとうございました、感謝のしようもありませんわぁ~。ところでもう時間ですから校舎に向かわれた方がよろしいのでは?」
「すげー棒読み。なにを焦ってるわけ?」
「誰かを待っているのか? さっき、大事な時とか何とか言っていたよね?」
私が待ってるんじゃないよ、ヒロインが殿下を待ってるんだよ!
くっ、仕方ない……!
私は街路樹から離れ、道の真ん中に出た。当然のように殿下とカイラーも付いてくる。よしよし、さぁおいで。目くるめく世界へ連れて行ってあげよう。
さりげなく道の向こうを見れば、こちらへ走ってくるピンク髪の女の子が見えた。距離にして20m。ぶつかるまで数秒といったところか。殿下とカイラーは背中を向けているから、ヒロインの姿は見えないだろう。
このままぶつかってしまえ!――と思った瞬間。
どん!
「ぶへっ!」
「きゃああっ!」
殿下にぶつかる直前、カイラーがさっと動いて殿下の体を脇によけた。すかっと空振りになったティナは私に直撃し、二人で道に倒れる。痛い。
おのれぇ、カイラァァァ!!
おぬしは背中に目でも付いておるのかぁ!?
「あっごめん、思わず動いちまった。二人とも大丈夫か?」
「カイラー、おまえはこちらの令嬢を医務室へ連れて行け。僕はルシー嬢を連れて行く」
「えっ?」「そんなぁ!」
私とティナ嬢の声がかぶり、一瞬なんと言ったか分からなかった……が。
今、「そんな」って言ったよね? 偶然じゃなくて、わざと殿下を狙ったのか?
ティナの様子を伺うと、彼女も私の顔を食い入るように見ている。
そして――。
『なんで!? ゲームと髪型が違うじゃない!』
なんと驚き、日本語で叫んだ。私たちはハブとマングースのように数秒間たっぷり見つめあい、お互いに確信する。
――こいつも、転生者だ!
「さあ、もう予鈴が鳴ってしまう。行こう」
「あ、わわっ」
殿下が私をお姫さま抱っこし、カイラーは……普通におんぶだ。おんぶされたティナは非常に不満そうで、刺すような目付きで私を睨んでいる。
申し訳ございません! これはちょっとした手違いなんです!
でも私が悪いかといわれると違和感がある。今回の件に関してはカイラーが余計な動きをしたためにイベントが失敗したのだ。殿下の騎士としては正しい行動だったが、奴のせいで何かがぶち壊れたのは間違いない。
私とティナは医務室へ運ばれ、医師の簡単な診察を受けてから教室へ戻った。診察中も教室へもどるときも殿下とカイラーが付き添ったため、ティナが転生者かどうかの確認はできなかった。
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