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25 鉢植えおとし2
「この方たちは恐らく、クラリッサ様のご友人ですわ!」
「えっ。そうなのですか?」
私が尋ねると、令嬢たちがあわてて叫んだ。
「ちっ、違うんです! クラリッサ様は関係ありません!」
「私たちが勝手にやったことなんです……!」
「クラリッサ様には何も言わないでください!」
あぁなるほど。これが令嬢の取り巻きってやつか。実際に見ると新鮮――あっ、私もアリシアたちのこと取り巻きみたいにしちゃってるかな。他の生徒にそう思われないよう、気をつけないと。
「ルシー嬢、こいつらどうする?」
「学園長に報告しましょう。私たちだけではどうする事も出来ませんもの」
私たちは職員室へ向かい、先生がたにありのまま報告した。自習をさぼった事は少し怒られてしまったが、犯人が見つかって一安心である。
「あの子たち、どうなるのかな……」
ティナが心配そうにつぶやいた。狙われたというのに、本当にお人好しなんだから――と思っていると、カイラーが笑ってティナの頭をがしがしと撫でる。
「なんだぁ、心配してんのかよ。人がいいやつだな」
「チッ」
「しっ、舌打ち!? 俺に向かって舌打ちした女、おまえが初めてだぞ!」
「ありがとうございます」
「褒めてねえ!」
面白い奴らだ。見ていて飽きない。
ふたりの押し問答は永遠に続くかに思えたが、カーン、カーンと鐘が鳴ったことで終了した。もうちょっと見たかったのに残念だ。
その後、先生たちと殿下による取り調べが行われ、三人の令嬢は退学となってしまった。鉢植え落としは未然に防いだが、階段から突き落としたことを三人が認めたからだ。ひとつ間違えればティナは死んでいたかもしれず、重い処分となった。
話を聞いたクラリッサも退学を希望したが、先生たちは認めず、彼女は二週間の停学処分を言い渡された。友人たちを止められなかった責任をとる形となった。
ディオン学園の門に、ギールトン伯爵の紋が入った馬車がとまっている。身支度を終えたクラリッサは私たちに向かって一礼した。三人の令嬢たちは、すでに学園から姿を消したあとだ。
「本当にご迷惑をおかけしました。彼女たちはわたくしのために動いたのでしょうけど、命を狙うなんて許される行為ではありません。ティナ嬢、申し訳ありませんでした」
「あ、あの……。クラリッサ様が戻ってくるのを、お待ちしてますね」
ティナがおずおずと言葉を返す。三人が退学になったことをかなり気にしていたから、クラリッサにも本当は行って欲しくないのだろう。
「ありがとうございます。故郷に戻って頭を冷やして参りますわ。――ルシーフェル様」
「えっ? な、なんでしょう?」
ティナに向き合っていたクラリッサが突然こちらを見たので、思わず体がびくりとした。正直いうと、クラリッサのようにグイグイ来るタイプは苦手なのだ。
「わたくしが戻ってきたら、正々堂々と勝負いたしましょう。どちらが殿下のお心を射止めるか……わたくし、負けませんからね?」
「は、はあ。お互いに、頑張りましょう……?」
クラリッサがにやりと口角をあげながら手を差し出したので、仕方なくその手を握る。彼女にとっては殿下を追いかける事が生き甲斐なのかもしれない。今はちょっと元気がないし、クラリッサに合わせてあげよう。
「これで良かったのかな……」
走り去る馬車を見ながら、ティナがぽつりと言う。
「あまり気にしないでおきなよ。貴族社会は甘くないから、仕方のない事だよ……。元気だしな」
「うん……」
領地内の令嬢がお妃さまになった場合、国中からその領地に注目が集まる。人も金も大量に動くわけで、だからこそ三人の令嬢はクラリッサを妃にしたかったのだろう。ギールトン伯爵だけじゃなく、彼に付いている貴族の未来もかかっているから。
しかし邪魔者を消して妃にのし上がるというやり方は不味かった。今後はクラリッサにとって厳しい状況になるかもしれないが、なんとか頑張ってほしいところだ。
私とティナは女子寮へ戻り、みんなで夕食を取ったあとはすぐに自室で休んだ。今日は休みだったけど、また明日から授業が始まる。最後の落とし穴イベントが終わるまで、まだまだ安心はできない。
「えっ。そうなのですか?」
私が尋ねると、令嬢たちがあわてて叫んだ。
「ちっ、違うんです! クラリッサ様は関係ありません!」
「私たちが勝手にやったことなんです……!」
「クラリッサ様には何も言わないでください!」
あぁなるほど。これが令嬢の取り巻きってやつか。実際に見ると新鮮――あっ、私もアリシアたちのこと取り巻きみたいにしちゃってるかな。他の生徒にそう思われないよう、気をつけないと。
「ルシー嬢、こいつらどうする?」
「学園長に報告しましょう。私たちだけではどうする事も出来ませんもの」
私たちは職員室へ向かい、先生がたにありのまま報告した。自習をさぼった事は少し怒られてしまったが、犯人が見つかって一安心である。
「あの子たち、どうなるのかな……」
ティナが心配そうにつぶやいた。狙われたというのに、本当にお人好しなんだから――と思っていると、カイラーが笑ってティナの頭をがしがしと撫でる。
「なんだぁ、心配してんのかよ。人がいいやつだな」
「チッ」
「しっ、舌打ち!? 俺に向かって舌打ちした女、おまえが初めてだぞ!」
「ありがとうございます」
「褒めてねえ!」
面白い奴らだ。見ていて飽きない。
ふたりの押し問答は永遠に続くかに思えたが、カーン、カーンと鐘が鳴ったことで終了した。もうちょっと見たかったのに残念だ。
その後、先生たちと殿下による取り調べが行われ、三人の令嬢は退学となってしまった。鉢植え落としは未然に防いだが、階段から突き落としたことを三人が認めたからだ。ひとつ間違えればティナは死んでいたかもしれず、重い処分となった。
話を聞いたクラリッサも退学を希望したが、先生たちは認めず、彼女は二週間の停学処分を言い渡された。友人たちを止められなかった責任をとる形となった。
ディオン学園の門に、ギールトン伯爵の紋が入った馬車がとまっている。身支度を終えたクラリッサは私たちに向かって一礼した。三人の令嬢たちは、すでに学園から姿を消したあとだ。
「本当にご迷惑をおかけしました。彼女たちはわたくしのために動いたのでしょうけど、命を狙うなんて許される行為ではありません。ティナ嬢、申し訳ありませんでした」
「あ、あの……。クラリッサ様が戻ってくるのを、お待ちしてますね」
ティナがおずおずと言葉を返す。三人が退学になったことをかなり気にしていたから、クラリッサにも本当は行って欲しくないのだろう。
「ありがとうございます。故郷に戻って頭を冷やして参りますわ。――ルシーフェル様」
「えっ? な、なんでしょう?」
ティナに向き合っていたクラリッサが突然こちらを見たので、思わず体がびくりとした。正直いうと、クラリッサのようにグイグイ来るタイプは苦手なのだ。
「わたくしが戻ってきたら、正々堂々と勝負いたしましょう。どちらが殿下のお心を射止めるか……わたくし、負けませんからね?」
「は、はあ。お互いに、頑張りましょう……?」
クラリッサがにやりと口角をあげながら手を差し出したので、仕方なくその手を握る。彼女にとっては殿下を追いかける事が生き甲斐なのかもしれない。今はちょっと元気がないし、クラリッサに合わせてあげよう。
「これで良かったのかな……」
走り去る馬車を見ながら、ティナがぽつりと言う。
「あまり気にしないでおきなよ。貴族社会は甘くないから、仕方のない事だよ……。元気だしな」
「うん……」
領地内の令嬢がお妃さまになった場合、国中からその領地に注目が集まる。人も金も大量に動くわけで、だからこそ三人の令嬢はクラリッサを妃にしたかったのだろう。ギールトン伯爵だけじゃなく、彼に付いている貴族の未来もかかっているから。
しかし邪魔者を消して妃にのし上がるというやり方は不味かった。今後はクラリッサにとって厳しい状況になるかもしれないが、なんとか頑張ってほしいところだ。
私とティナは女子寮へ戻り、みんなで夕食を取ったあとはすぐに自室で休んだ。今日は休みだったけど、また明日から授業が始まる。最後の落とし穴イベントが終わるまで、まだまだ安心はできない。
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