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29 魔法使いの杖……?
翌週、魔法の授業で自分の杖を見つけることになった。学園には雑木林があり、そこの一画にセンカマドという特殊な木が何本か生えているのだ。枝から自分の杖を見つけるのが今日のミッションである。
龍脈から養分を得たセンカマドは千回燃やしても灰にならないのでその名になったようだが、明らかにナナカマドのパクリだと思う。雑木林のなかで見つけたセンカマドには、南天のような赤い実がたくさん付いていた。
「見た目は完全にナナカマドだよね……」
「デザインした奴が手を抜いたのかもねぇ」
私の隣でティナがぼそりとつぶやいた。私の怪力はいまや学園中に知れ渡っており、破壊行為を恐れたマルコ爺さんが私たちにペアで行動するように言ったのだ。いちおう指輪を嵌めてはいるが、ティナというストッパーがいたほうがより安全だと考えたのだろう。ひどい話だ。
マルコ爺さんの説明によると、自分の杖となる枝はひと目でわかるらしい。枝に手を触れるとまるで意志を持ったかのようにぽきりと折れ、魔法の杖に変化すると言っていた。本当ならすごいことで、私はセンカマドを見ながらワクワクしていた。
「ルシーフェル様! どちらが魔法使いとして相応しい杖を探せるか、勝負いたしましょう!」
センカマドの周囲をうろついていると、後ろから甲高い声がした。クラリッサである。彼女はめでたく二週間の謹慎がとけ、学園に戻ってきたのだ。
「そーですね。頑張りましょうね」
「んもうっ、覇気のないお返事だこと! そんな事では、わたくしのライバルとは言えませんことよ!」
クラリッサはぷんぷん怒りながら別の木に行ってしまった。そう言われてもね、私はクラリッサのライバルをやる気がないし。
確かに殿下は私を目に掛けてくれていると思うが、あれは生徒会長として面倒を見てるだけだろう。ティナと私が問題児だから。
「殿下はルシーのこと気に入ってると思うけどな。やっぱりキラキラしてたら駄目なの?」
ティナは私と二人のときだけ気さくな話し方をする。
かなり小さな声だけど。
「正直いうとさ。殿下がどうこうじゃなくて、ただ穏やかな人生を歩みたいんだよ……。もう男で悩むのはコリゴリというか」
「……もしかして、前世で彼氏と何かあった?」
「べ、別になにも。それより、落とし穴っていつ頃なのかな?」
「落とし穴は主人公が殿下を攻略した直後だよ。条件を満たさないと、落とし穴イベントは起こらないと思う。でもわたしはもう殿下のことは諦めたからね……。可能性がなさすぎて、頑張る気も失せたわ」
ええぇ、あんなに好き好き言ってたのに。生の殿下を見て、腹黒さにショックでも受けたんだろうか。
しかしティナの言う通りだとすれば、落とし穴イベントは起こらないかもしれない。あるいはクラリッサが殿下と結ばれた時に何か起こるとか?
考え事に沈みかけたが、他の生徒の「あったー!」だの、「コレが俺の杖か!」だの叫ぶ声でハッと我に返る。今はとりあえず、杖さがしをしなければ。
「あ、わたしの杖あった」
「え」
声で振り返ると、ティナが触れた枝の一部がほのかに光り、ぽきんと音を立てて折れた。ティナの手に落ちた枝は光りながら形を変え――。
「うわぁ、すごい。加工品みたいに綺麗になったね」
「画面で見たのと同じ杖だわ」
まるで彫刻刀で削ったかのように、精緻な模様が彫り込まれた杖になった。大きさは指揮者のタクトぐらいだけど、手で持つ部分にはつる草や花の模様があって可愛い。いいなぁ、私もティナみたいな杖がほしい。
しかしいくら木の枝を見上げてもピンと来るものがなく、がっくりと肩を落としたとき。
「……ん?」
木の根元が妙に気になった。そこから「手でさわって」というテレパシーのようなものを感じる。でも魔法の杖ってタクトぐらいの大きさのはずなのに、なぜ太い幹の部分から信号が発せられているのか。嫌な予感……。
無視してそこから離れようとしたが、幹の一部は懸命に私へ念波を送ってくる。
さわってぇ~、無視しないでぇ~。
「ったく、しょうがないなぁ」
呼びかけてくる幹の一部にそっと手を当てると、ボキッ!と激しい音がして木がえぐれた。うげ、大丈夫なのか。ここから木が弱って死んだりしないだろうか。
不安に思いつつ木材に目を向ければ、ティナの時と同じように光りながら形が変わっていく。さぞかしお洒落な杖になるのだろうと思いきや――。
「…………」
「ルシーの杖……ほぼ木製のバットじゃない?」
最初は光ったものの、ほとんど形に変化がなかった。先端は太く、グリップ部分は細く。握る部分には滑りどめのテープを巻いたような模様が彫られている。
ナメてんの?
ねえ、私のことナメてんの?
もう確信した。ティナ恋はクソゲーである。たとえ万人が素晴らしいゲームだと褒め称えようと、私にとってはクソゲーである。デザインした奴は誰だ!
「くっ……! デザイナーめ!」
低い声でうめく私の背後でティナが爆笑している。あんたはいいよね、主人公だからさ。魔力に属性もなく、杖は木製バットの私はどうすりゃいいのか。バットを振り回して暴れろとでもいうのか?
それって、もしかしなくてもヤンキー。眉毛ナシで杖はバットとか……。
「よおクラリッサ。おまえ、停学処分になるぐらい殿下のことが好きなんだってな」
「でも殿下は停学になるような女を選ばないと思うぜ。何なら、オレがおまえを嫁にしてやろうかぁ? ハハハ!」
背後から下卑た笑い声が聞こえ、私は思わずバットを構えた。5mほど離れた場所にクラリッサと二人の男子生徒が立っている。
やはりか。クラリッサが停学になった時から、こういう事態になると思った。私はバッ……杖を肩に乗せたまま、男子生徒へ声をかける。
「あらあら、困ったわねぇ。私の杖(バット)が獲物を見つけたと喜んでいるわぁ」
「!? る、ルシーフェル様!?」
「そっ、その杖は――杖、なのか!?」
杖とはいえない形状だが、ガイゼル侯爵令嬢たる私に偉そうなことは言えまい。杖を肩にトントンさせながら話を続ける。
「私にはこの子の声が聞こえるの。不埒な外道の生き血を吸いたい、体を真っ赤に染め上げたい……ってね。さあ、どちらが生け贄になってくれるのかしら?」
ホームラン宣言するかのように杖をビシッと男子に向けると、二人は震え上がって叫んだ。
「すっ、すみませんでしたァ!」
「もうクラリッサには近づきません!」
ふっ、外道どもめ。男子二人が走り去ったあとにクラリッサへ視線を向けると、彼女は私の杖を見て目を丸くしている。杖の勝負はクラリッサの勝ちだろう。私のコレは杖とは呼べないし……と思ったのだが。
「すっ、素晴らしい杖ですわ……! 太さといい、形状といい……史上最強の名に相応しい!」
クラリッサが寝言をつぶやいている。どうしちゃったの、どこから見てもただの木製バットだよ? まぁバットを知らないクラリッサには分からないだろうけど。
「クラリッサ様の杖も、素敵ですね」
横で見ていたティナが遠慮がちに言った。一応クラリッサを褒めようとしてるらしい。そのクラリッサの杖もなかなかキワドイ代物であった。
「そうでしょう! わたくしの杖も素敵でしょ? 特にこの、先端の部分が!」
クラリッサの杖は二本の細い枝が絡む形になっており、先端は別れてハート型になっている。百均の玩具コーナーで見た魔法の杖にそっくりだ。未就学児なら喜んで手に取るであろう。
周囲を見渡せば、他の生徒が手にしている杖はほぼ指揮者のタクトであった。私やクラリッサのように何らかの役目が与えられた者は、一般的な形状から外れてしまうらしい。外れたくなかった……。
龍脈から養分を得たセンカマドは千回燃やしても灰にならないのでその名になったようだが、明らかにナナカマドのパクリだと思う。雑木林のなかで見つけたセンカマドには、南天のような赤い実がたくさん付いていた。
「見た目は完全にナナカマドだよね……」
「デザインした奴が手を抜いたのかもねぇ」
私の隣でティナがぼそりとつぶやいた。私の怪力はいまや学園中に知れ渡っており、破壊行為を恐れたマルコ爺さんが私たちにペアで行動するように言ったのだ。いちおう指輪を嵌めてはいるが、ティナというストッパーがいたほうがより安全だと考えたのだろう。ひどい話だ。
マルコ爺さんの説明によると、自分の杖となる枝はひと目でわかるらしい。枝に手を触れるとまるで意志を持ったかのようにぽきりと折れ、魔法の杖に変化すると言っていた。本当ならすごいことで、私はセンカマドを見ながらワクワクしていた。
「ルシーフェル様! どちらが魔法使いとして相応しい杖を探せるか、勝負いたしましょう!」
センカマドの周囲をうろついていると、後ろから甲高い声がした。クラリッサである。彼女はめでたく二週間の謹慎がとけ、学園に戻ってきたのだ。
「そーですね。頑張りましょうね」
「んもうっ、覇気のないお返事だこと! そんな事では、わたくしのライバルとは言えませんことよ!」
クラリッサはぷんぷん怒りながら別の木に行ってしまった。そう言われてもね、私はクラリッサのライバルをやる気がないし。
確かに殿下は私を目に掛けてくれていると思うが、あれは生徒会長として面倒を見てるだけだろう。ティナと私が問題児だから。
「殿下はルシーのこと気に入ってると思うけどな。やっぱりキラキラしてたら駄目なの?」
ティナは私と二人のときだけ気さくな話し方をする。
かなり小さな声だけど。
「正直いうとさ。殿下がどうこうじゃなくて、ただ穏やかな人生を歩みたいんだよ……。もう男で悩むのはコリゴリというか」
「……もしかして、前世で彼氏と何かあった?」
「べ、別になにも。それより、落とし穴っていつ頃なのかな?」
「落とし穴は主人公が殿下を攻略した直後だよ。条件を満たさないと、落とし穴イベントは起こらないと思う。でもわたしはもう殿下のことは諦めたからね……。可能性がなさすぎて、頑張る気も失せたわ」
ええぇ、あんなに好き好き言ってたのに。生の殿下を見て、腹黒さにショックでも受けたんだろうか。
しかしティナの言う通りだとすれば、落とし穴イベントは起こらないかもしれない。あるいはクラリッサが殿下と結ばれた時に何か起こるとか?
考え事に沈みかけたが、他の生徒の「あったー!」だの、「コレが俺の杖か!」だの叫ぶ声でハッと我に返る。今はとりあえず、杖さがしをしなければ。
「あ、わたしの杖あった」
「え」
声で振り返ると、ティナが触れた枝の一部がほのかに光り、ぽきんと音を立てて折れた。ティナの手に落ちた枝は光りながら形を変え――。
「うわぁ、すごい。加工品みたいに綺麗になったね」
「画面で見たのと同じ杖だわ」
まるで彫刻刀で削ったかのように、精緻な模様が彫り込まれた杖になった。大きさは指揮者のタクトぐらいだけど、手で持つ部分にはつる草や花の模様があって可愛い。いいなぁ、私もティナみたいな杖がほしい。
しかしいくら木の枝を見上げてもピンと来るものがなく、がっくりと肩を落としたとき。
「……ん?」
木の根元が妙に気になった。そこから「手でさわって」というテレパシーのようなものを感じる。でも魔法の杖ってタクトぐらいの大きさのはずなのに、なぜ太い幹の部分から信号が発せられているのか。嫌な予感……。
無視してそこから離れようとしたが、幹の一部は懸命に私へ念波を送ってくる。
さわってぇ~、無視しないでぇ~。
「ったく、しょうがないなぁ」
呼びかけてくる幹の一部にそっと手を当てると、ボキッ!と激しい音がして木がえぐれた。うげ、大丈夫なのか。ここから木が弱って死んだりしないだろうか。
不安に思いつつ木材に目を向ければ、ティナの時と同じように光りながら形が変わっていく。さぞかしお洒落な杖になるのだろうと思いきや――。
「…………」
「ルシーの杖……ほぼ木製のバットじゃない?」
最初は光ったものの、ほとんど形に変化がなかった。先端は太く、グリップ部分は細く。握る部分には滑りどめのテープを巻いたような模様が彫られている。
ナメてんの?
ねえ、私のことナメてんの?
もう確信した。ティナ恋はクソゲーである。たとえ万人が素晴らしいゲームだと褒め称えようと、私にとってはクソゲーである。デザインした奴は誰だ!
「くっ……! デザイナーめ!」
低い声でうめく私の背後でティナが爆笑している。あんたはいいよね、主人公だからさ。魔力に属性もなく、杖は木製バットの私はどうすりゃいいのか。バットを振り回して暴れろとでもいうのか?
それって、もしかしなくてもヤンキー。眉毛ナシで杖はバットとか……。
「よおクラリッサ。おまえ、停学処分になるぐらい殿下のことが好きなんだってな」
「でも殿下は停学になるような女を選ばないと思うぜ。何なら、オレがおまえを嫁にしてやろうかぁ? ハハハ!」
背後から下卑た笑い声が聞こえ、私は思わずバットを構えた。5mほど離れた場所にクラリッサと二人の男子生徒が立っている。
やはりか。クラリッサが停学になった時から、こういう事態になると思った。私はバッ……杖を肩に乗せたまま、男子生徒へ声をかける。
「あらあら、困ったわねぇ。私の杖(バット)が獲物を見つけたと喜んでいるわぁ」
「!? る、ルシーフェル様!?」
「そっ、その杖は――杖、なのか!?」
杖とはいえない形状だが、ガイゼル侯爵令嬢たる私に偉そうなことは言えまい。杖を肩にトントンさせながら話を続ける。
「私にはこの子の声が聞こえるの。不埒な外道の生き血を吸いたい、体を真っ赤に染め上げたい……ってね。さあ、どちらが生け贄になってくれるのかしら?」
ホームラン宣言するかのように杖をビシッと男子に向けると、二人は震え上がって叫んだ。
「すっ、すみませんでしたァ!」
「もうクラリッサには近づきません!」
ふっ、外道どもめ。男子二人が走り去ったあとにクラリッサへ視線を向けると、彼女は私の杖を見て目を丸くしている。杖の勝負はクラリッサの勝ちだろう。私のコレは杖とは呼べないし……と思ったのだが。
「すっ、素晴らしい杖ですわ……! 太さといい、形状といい……史上最強の名に相応しい!」
クラリッサが寝言をつぶやいている。どうしちゃったの、どこから見てもただの木製バットだよ? まぁバットを知らないクラリッサには分からないだろうけど。
「クラリッサ様の杖も、素敵ですね」
横で見ていたティナが遠慮がちに言った。一応クラリッサを褒めようとしてるらしい。そのクラリッサの杖もなかなかキワドイ代物であった。
「そうでしょう! わたくしの杖も素敵でしょ? 特にこの、先端の部分が!」
クラリッサの杖は二本の細い枝が絡む形になっており、先端は別れてハート型になっている。百均の玩具コーナーで見た魔法の杖にそっくりだ。未就学児なら喜んで手に取るであろう。
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