コワモテの悪役令嬢に転生した ~ざまあ回避のため、今後は奉仕の精神で生きて参ります~

千堂みくま

文字の大きさ
34 / 51

34 殿下とカイラーによる計画

「うまく行ったな」

「ああ。二人を罠にはめたようで、すこし申し訳なかったけどね……」

 ルシーとティナの二人を自習室に残し、ウィルとカイラーは先に部屋を出た。カイラーの手には「生徒会にて使用中」の木札が握られている。

 実は今日、自習室にルシーとティナしかいなかったのはウィルが仕掛けた罠のためであった。ウィルはルシー達が自習室に入った直後、ドアに「生徒会にて使用中」の木札を掛けたのだ。
 ルシー達は放課後になるとすぐに自習室へやってくる。それを知っていたからこそ、二人きりになる状況を作り出せたのだった。

「でもおまえまで二人の違和感に気づいていたとは意外だな。普段は筋トレばかりしているくせに」

「俺だって違和感ぐらい分かる! 殿下はいなかったけど、鉢植え事件のとき、俺は間近でルシー嬢を見てたんだぜ? 今から事件が起こります、なんて言われたら誰だって変だと思うだろ!」

「羨ましいな……。僕も間近でルシー嬢の活躍を見たかったよ」

「活躍したのは俺だっつーの!」

 憤慨する相棒を横目で見ながら、生徒会室へ戻る。今日の活動はすでに終わっているため、部屋に残っているのはウィルとカイラーだけだ。

「殿下はルシー嬢とティナの話を信じるのか? 結構すごい話だったけど」

 カイラーが筋トレしながら訊いてきた。この男は毎日必ず筋トレしないと気がすまないらしい。

「信じるよ。というより、信じるしかないだろ。彼女たちの動きは、未来を知っていたからこそだ。ルシー嬢たちが悪人でなくて本当に良かった……。未来を知っているなんて、これ以上ない武器だからな」

「そーだな。俺もそう思うぜ。あいつら意外と抜けてるとこあるし、なんか憎めないんだよなぁ……」

「カイラーはティナ嬢を気に入ってるみたいだな」

 何気なく口にすると、筋トレ中の男は鉄塊を床にゴン!と落とした。半分冗談で言ったのに、本気マジな様子である。顔が真っ赤だ。

「べっべべ別に! そんな事ねぇよ、俺は筋トレに生きる男だからな! まぁちょっと、ティナはお人好しでほっとけない気分になる事はあるけど……」

「気にしてるんじゃないか」

「……まぁな。でもティナは男爵家の娘だからさ……。俺があいつと仲良くなっても、親父はいい顔しないと思う」

 真っ赤な顔はもとに戻り、暗い表情に変わった。が、やはり筋トレは継続中だ。もう無意識にやってるのかもしれない。
 ウィルとしては純情な友人を応援したいところだ。

「安心しろ、カイラー。先ほどルシー嬢は、僕とティナ嬢が結ばれる運命だったと話しただろう。王族と男爵家の令嬢が結婚するんだぞ? 恐らく、身分の問題を超えるような決定的な出来事が起こるはずだ。僕らは彼女たちを手助けしてやればいい」

「そっ、そうか! まだ諦めなくていいんだな!?」

「当たり前だ。そう簡単に諦めてたまるか」

「お、おお……ウィルが本気だ」

 ウィルはすでに確信している。この国で最も王太子妃にふさわしいのはルシーフェルだ。身分的にも申し分ないし、何よりルシーは自分の能力を他人のために使う優しさがある。率直に言って、好きだ。ルシーにもウィルを好きになってほしい。

 先ほどルシーは前向きな返事を聞かせてくれたのだから、少しずつ外堀を埋めても構わないだろう。とりあえず年末までに、侯爵家に打診しておくか……。

 ――という恐ろしい計画が進行中なことも知らぬまま、ルシーたちは相変わらず自習室で刺繍をしていた。脳筋だと思ってたのにだの、さすが腹黒だのブツクサ言う彼女たちは、自分たちがターゲットになった事など知る由もなかった。
感想 29

あなたにおすすめの小説

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!? //////////////////////////////////////////////////// 悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。 しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。 琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇! ※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……? ※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。 ※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。 隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。

前世ブラックOLの私が転生したら悪役令嬢でした

タマ マコト
ファンタジー
過労で倒れたブラック企業勤めのOLは、目を覚ますと公爵令嬢アーデルハイトとして転生していた。しかも立場は“断罪予定の悪役令嬢”。だが彼女は恋愛や王子の愛を選ばず、社交界を「市場」と見抜く。王家の財政が危ういことを察知し、家の莫大な資産と金融知識を武器に“期限付き融資”という刃を突きつける。理想主義の王太子と衝突しながらも、彼女は決意する――破滅を回避するためではない。国家の金脈を握り、国そのものを立て直すために。悪役令嬢の経済戦争が、静かに幕を開ける。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」  わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。  響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。  わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。  冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。  どうして。  誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。