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37 調理部はじまる
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新しい年が始まった。新学期が始まる数日前に寮へもどり、授業の用意を済ませておく。『ティナ恋』の世界には始業式のようなものはなく、各クラスで先生の長い話を聞いたらすぐに学園生活の再開となった。
「冬でも意外と材料が集まったわね。じゃあ早速、作ってみましょうか」
放課後、私たちは調理部の活動をスタートさせた。テーブルの上には数種類の果物や練乳が入った瓶などが並び、準備は万端だ。
真冬のカキ氷は無謀な気もするが、学園祭があるのは春なのだ。それまでに味や一人分の量、値段を決めておかないといけない。調理室はあらかじめ暖炉であたためておいたので、カキ氷を食べても寒くはないだろう。
「ギールトンは南方で暖かいから、すでに苺がなっておりますのよ。遠慮なくお使いくださいませ!」
クラリッサが鞄の中から真っ赤な苺を出し、私たちのテンションが一気に上がった。ああ、食べたい。苺シロップと練乳かけて食べたい。
「じゃあ皆はシロップ作りをお願いね。私とティナで氷を何とかするわ」
「はい!」
「お任せくださいませ!」
ブラウスの上にエプロンを着た少女たちが、鍋を出したり果物を切ったりする姿は可愛いものだ。私もティナに向き合い、指輪に意識を向けて氷の塊を作る。とりあえず握り拳ぐらいでいいか。
「これぐらい?」
「もうちょっと大きい方が削りやすいかな」
ティナの返答をもとに、さらに氷を拡大させた。ティッシュの箱ぐらいになった段階でティナが風の刃を作り、高速回転させて氷を表面からガリガリと削っていく。
削られた氷は下に置いたボウルのなかに落ち、見た目は雪のようだった。おたまを使ってお皿にいれ、二人で食べてみる。
「ふわっふわ!」
「いい感じだね。シロップ掛けたら氷が溶けるから、一人分はおたま四杯ぐらいがいいかもね」
「シロップも出来ましたわ」
「みんなで食べてみましょう!」
出来上がったシロップを魔法で冷やし、皆で試食会をする。とりあえず今日は苺味とレモン味、そして練乳をかけて食べてみた。
「か、カキ氷って美味しいですわ……!」
「雪みたいな氷が口のなかでふわっと溶けて……。この感じ、クセになりそうですね」
「出来たかの~。どれ、ワシも味見しちゃろう」
計ったかのようなタイミングでマルコ爺さんが登場。爺さんは三種類の味を試し、特に苺と練乳の組み合わせが気に入ったようだった。二回目のおかわりを食べながら、私たちに訊いてくる。
「氷に味をつけるとは、よく考えたもんだの。一杯の値段はどれぐらいにするんじゃ?」
「学園祭に出すわけだから……一杯、250ユノぐらいでどうかしら」
「もう少し安くてもいいんじゃない?」
「材料費のことも考えないといけませんわ。最低でも180ユノぐらいは貰わないと」
「そうですわね。材料は持ち寄ってますけど、領地で取れたものは本来売り物ですからね……」
悶々と悩む私たちの横で、マルコ爺さんがまたおかわりしている。氷には魔力が含まれてるとか言ってたのに、大丈夫なのか。おなか壊さないでね、爺さん。
最終的に、カキ氷は一杯200ユノにしようと決まった。材料費が高騰したらまた再検討するが、とりあえず今は日本でいうところの200円にしておく。地元の商店街の駄菓子屋さんも一杯250円で売ってたし、まあまあの値段だろう。
カキ氷の件が何とかなりそうなので、他に売れそうなものを考えて一日目の活動を終えた。クッキーやマドレーヌを焼いて売るのもいいかもしれない。飲食スペースも作らないとね、と皆で考えるのは楽しく、あっという間の一日だった。
「冬でも意外と材料が集まったわね。じゃあ早速、作ってみましょうか」
放課後、私たちは調理部の活動をスタートさせた。テーブルの上には数種類の果物や練乳が入った瓶などが並び、準備は万端だ。
真冬のカキ氷は無謀な気もするが、学園祭があるのは春なのだ。それまでに味や一人分の量、値段を決めておかないといけない。調理室はあらかじめ暖炉であたためておいたので、カキ氷を食べても寒くはないだろう。
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「はい!」
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ブラウスの上にエプロンを着た少女たちが、鍋を出したり果物を切ったりする姿は可愛いものだ。私もティナに向き合い、指輪に意識を向けて氷の塊を作る。とりあえず握り拳ぐらいでいいか。
「これぐらい?」
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ティナの返答をもとに、さらに氷を拡大させた。ティッシュの箱ぐらいになった段階でティナが風の刃を作り、高速回転させて氷を表面からガリガリと削っていく。
削られた氷は下に置いたボウルのなかに落ち、見た目は雪のようだった。おたまを使ってお皿にいれ、二人で食べてみる。
「ふわっふわ!」
「いい感じだね。シロップ掛けたら氷が溶けるから、一人分はおたま四杯ぐらいがいいかもね」
「シロップも出来ましたわ」
「みんなで食べてみましょう!」
出来上がったシロップを魔法で冷やし、皆で試食会をする。とりあえず今日は苺味とレモン味、そして練乳をかけて食べてみた。
「か、カキ氷って美味しいですわ……!」
「雪みたいな氷が口のなかでふわっと溶けて……。この感じ、クセになりそうですね」
「出来たかの~。どれ、ワシも味見しちゃろう」
計ったかのようなタイミングでマルコ爺さんが登場。爺さんは三種類の味を試し、特に苺と練乳の組み合わせが気に入ったようだった。二回目のおかわりを食べながら、私たちに訊いてくる。
「氷に味をつけるとは、よく考えたもんだの。一杯の値段はどれぐらいにするんじゃ?」
「学園祭に出すわけだから……一杯、250ユノぐらいでどうかしら」
「もう少し安くてもいいんじゃない?」
「材料費のことも考えないといけませんわ。最低でも180ユノぐらいは貰わないと」
「そうですわね。材料は持ち寄ってますけど、領地で取れたものは本来売り物ですからね……」
悶々と悩む私たちの横で、マルコ爺さんがまたおかわりしている。氷には魔力が含まれてるとか言ってたのに、大丈夫なのか。おなか壊さないでね、爺さん。
最終的に、カキ氷は一杯200ユノにしようと決まった。材料費が高騰したらまた再検討するが、とりあえず今は日本でいうところの200円にしておく。地元の商店街の駄菓子屋さんも一杯250円で売ってたし、まあまあの値段だろう。
カキ氷の件が何とかなりそうなので、他に売れそうなものを考えて一日目の活動を終えた。クッキーやマドレーヌを焼いて売るのもいいかもしれない。飲食スペースも作らないとね、と皆で考えるのは楽しく、あっという間の一日だった。
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