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46 恋か使命か
「封印されてるドラゴンは暗黒龍って呼ばれてて、真っ黒な鱗と赤い目を持ってるの。しかも、無属性のブレス攻撃をしてくるし……なんか……」
ティナはそこまで言うと口をつぐみ、ちらりと私を見た。いや、ティナだけじゃなくて他の三人も私を見てる。分かってるよ。私がドラゴンに似てるって言いたいんでしょ。
はぁ、まさかコワモテと魔力の属性(暴力)がドラゴン由来だったとは……。確かにドラゴンの顔って眉毛もないし、コワモテの部類に入るだろうけどさぁ。
「落とし穴についてはどうなるか分からないけど、ドラゴンの封印が弱まるにつれて、小さな地震が起きたりすると思います」
「地震が起きたら、先生がたは地下が怪しいと調べたりするだろうな」
「んで、ドラゴンの封印が解けかけてる事に気づくと。ふうん、分かりやすいじゃん」
「ちょっと待て。地下神殿に行くメンバーは誰なんだ? まさか、私まで行く事になるんじゃあるまいな!?」
タブレット板を大事そうに抱きしめていたサイモンが青い顔で叫ぶと、ティナは事もなげにうん、と頷く。
「行きますよ。だってこの学園でいちばん強いの、わたし達ですもん。先生たちは魔力が弱くて戦えないし」
やはり主要キャラのステータスは特別仕様になっているようだ。他の生徒の魔力値を測ったら、かなり低めの数値が出るのかもしれない。
青ざめるサイモンの肩をカイラーがぽんとたたいた。
「という事だから、諦めろサイモン。おまえにぴったりの鎧を開発すりゃいいじゃん」
「鎧……そうだな! 神殿に行くまでに、攻撃を吸収する鎧を開発する!」
サイモンの研究が始まってしまったので、邪魔にならないように部屋を出た。
殿下が不安げな顔で私を見つめてくる。
「ルシーは地下神殿に近づかない方がいい。ドラゴンは恐らく、きみを狙ってくるはずだ」
「えっ」
「そうだな、狙ってくるだろーなぁ。俺たちで倒してくるから、地上で待ってたほうがいいんじゃねえ?」
「すぐに戻ってくるからね。ルシー様は上で待ってて」
「うん……」
確かに、私がいたらむしろ邪魔なのかもしれない。ドラゴンが私を取り込むことによって完全復活するなら、私は大人しく待ってたほうがいいんだろうな……。
殿下たちとは校舎で別れ、私とティナは女子寮へ向かった。もう時刻は夕方になっており、空は茜色に染まっている。ティナがおもむろに口を開いた。
「このゲームのサブタイトル、覚えてる?」
「恋か使命かなんて、わたしには選べない……ってやつでしょ。何か気になるの?」
道を歩きながら、ティナが何か考え込んでいる。昨日からこんな調子だ。
「ティナ恋は、恋愛の達成度と使命の達成度が数値で見えるようになってるの。ゲームが終了した時点でふたつの数値が出るんだけど、何度やっても使命の達成度が低かったんだよね。ずっと何でかなぁって思ってた」
「へえ、使命の達成度なんてあるんだ」
「うん。今だから分かるけど、多分ヒロインはルシーを助けるべきだったんだと思う。仲良くなって、一緒にドラゴンの問題を解決すればよかったんだわ」
「でもそれだと、恋のほうが進まないんじゃないの? ああ、だから恋か使命かなんて選べないってサブタイトルなわけね」
「そうなんだよね~……。ルシーと仲良くなるって事は、攻略対象たちをほったらかす事になるし。でも今のわたし達、仲良くなってしかも恋もうまくいってるよね。ゲームと現実の世界って別物なんだね……」
「そうだねぇ……」
ゲームでは嫌われていたルシーフェルも、現実となったこの世界では皆に優しくしてもらっている。もちろん私が変わったというのもあるだろうけど、顔だけで嫌われたりはしていない。
「わたし、ドラゴンを倒してくるよ。そして救国の乙女になって…………こっ、公爵家のお嫁さんになれるように、頑張る!」
「ふふっ。うん、頑張ろうね」
ティナは本気でカイラーのことが好きなのだ。男爵家の令嬢のままではカイラーと結ばれるのは難しいけど、救国の乙女ともなれば話は変わってくる。ゲームでもその方法で殿下のお妃さまになったんだろうな。
『ティナ恋』はロクでもないゲームかと思ってたけど、今となっては楽しい思い出のほうが多い。ゲームのシナリオが終わる瞬間まで気を抜けないけど、皆が幸せになれるようにがんばろう。
ティナはそこまで言うと口をつぐみ、ちらりと私を見た。いや、ティナだけじゃなくて他の三人も私を見てる。分かってるよ。私がドラゴンに似てるって言いたいんでしょ。
はぁ、まさかコワモテと魔力の属性(暴力)がドラゴン由来だったとは……。確かにドラゴンの顔って眉毛もないし、コワモテの部類に入るだろうけどさぁ。
「落とし穴についてはどうなるか分からないけど、ドラゴンの封印が弱まるにつれて、小さな地震が起きたりすると思います」
「地震が起きたら、先生がたは地下が怪しいと調べたりするだろうな」
「んで、ドラゴンの封印が解けかけてる事に気づくと。ふうん、分かりやすいじゃん」
「ちょっと待て。地下神殿に行くメンバーは誰なんだ? まさか、私まで行く事になるんじゃあるまいな!?」
タブレット板を大事そうに抱きしめていたサイモンが青い顔で叫ぶと、ティナは事もなげにうん、と頷く。
「行きますよ。だってこの学園でいちばん強いの、わたし達ですもん。先生たちは魔力が弱くて戦えないし」
やはり主要キャラのステータスは特別仕様になっているようだ。他の生徒の魔力値を測ったら、かなり低めの数値が出るのかもしれない。
青ざめるサイモンの肩をカイラーがぽんとたたいた。
「という事だから、諦めろサイモン。おまえにぴったりの鎧を開発すりゃいいじゃん」
「鎧……そうだな! 神殿に行くまでに、攻撃を吸収する鎧を開発する!」
サイモンの研究が始まってしまったので、邪魔にならないように部屋を出た。
殿下が不安げな顔で私を見つめてくる。
「ルシーは地下神殿に近づかない方がいい。ドラゴンは恐らく、きみを狙ってくるはずだ」
「えっ」
「そうだな、狙ってくるだろーなぁ。俺たちで倒してくるから、地上で待ってたほうがいいんじゃねえ?」
「すぐに戻ってくるからね。ルシー様は上で待ってて」
「うん……」
確かに、私がいたらむしろ邪魔なのかもしれない。ドラゴンが私を取り込むことによって完全復活するなら、私は大人しく待ってたほうがいいんだろうな……。
殿下たちとは校舎で別れ、私とティナは女子寮へ向かった。もう時刻は夕方になっており、空は茜色に染まっている。ティナがおもむろに口を開いた。
「このゲームのサブタイトル、覚えてる?」
「恋か使命かなんて、わたしには選べない……ってやつでしょ。何か気になるの?」
道を歩きながら、ティナが何か考え込んでいる。昨日からこんな調子だ。
「ティナ恋は、恋愛の達成度と使命の達成度が数値で見えるようになってるの。ゲームが終了した時点でふたつの数値が出るんだけど、何度やっても使命の達成度が低かったんだよね。ずっと何でかなぁって思ってた」
「へえ、使命の達成度なんてあるんだ」
「うん。今だから分かるけど、多分ヒロインはルシーを助けるべきだったんだと思う。仲良くなって、一緒にドラゴンの問題を解決すればよかったんだわ」
「でもそれだと、恋のほうが進まないんじゃないの? ああ、だから恋か使命かなんて選べないってサブタイトルなわけね」
「そうなんだよね~……。ルシーと仲良くなるって事は、攻略対象たちをほったらかす事になるし。でも今のわたし達、仲良くなってしかも恋もうまくいってるよね。ゲームと現実の世界って別物なんだね……」
「そうだねぇ……」
ゲームでは嫌われていたルシーフェルも、現実となったこの世界では皆に優しくしてもらっている。もちろん私が変わったというのもあるだろうけど、顔だけで嫌われたりはしていない。
「わたし、ドラゴンを倒してくるよ。そして救国の乙女になって…………こっ、公爵家のお嫁さんになれるように、頑張る!」
「ふふっ。うん、頑張ろうね」
ティナは本気でカイラーのことが好きなのだ。男爵家の令嬢のままではカイラーと結ばれるのは難しいけど、救国の乙女ともなれば話は変わってくる。ゲームでもその方法で殿下のお妃さまになったんだろうな。
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