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13 お仕置き
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城に戻ったセイラとクロノスはすぐに遅めの昼食をとった。
汗をかいていたセイラは食事のあと着替えようと席を立ったが、クロノスにガシッと腕を掴まれてしまう。
「どこ行くの?」
「ど、どこって……汗をかいたので着替えたいんです」
真顔で食い入るように見つめてくる目が怖い。嘘をついたら殺されそうな雰囲気だ。
「……ふぅん、そう。じゃあ着替えたらすぐに執務室に来てね?」
「? はい」
巫女も仕事をするんだろうか?
リナとナナに手伝ってもらって汗を拭き、大急ぎで着替えてクロノスの執務室へと向かう。
「旦那さま、セイラです」
「入っていいよ」
失礼します、と一声かけてから入室する。開け放たれた窓から涼しい風が通り抜けた。
窓の前に置かれたローズウッドの大きな執務机に座ったクロノスが、こちらに向かって手招きしている。
呼ばれるままに近くまで行くと、クロノスはぽんぽんと自分の膝を叩いた。
ん?
どういう意味?
「? 汚れたんですか?」
「違う違う。ここに座れっていう意味」
「は? ええっ!?」
そんなの嫌です―――と言う前に、腰をぐいっと引き寄せられて彼の膝の上に乗ってしまった。クロノスの膝に横向きに座ったセイラは、ぐらぐらする体を支えようと彼の肩にしがみ付く。
「こっこんなの、恥ずかしいです!!」
「大丈夫、誰も気にしないよ」
「そういう問題では……!」
「殿下。神殿から書類が来ています」
突然、デジレの低い声がしてセイラは顔を上げた。彼の顔からは何の表情も読み取れない。
デジレさん! 何か主に対して言うことないの?
こんなのおかしいでしょう!?
セイラはデジレに向かって必死に視線で訴えたが、デジレは何も言わずに部屋から出て行ってしまった。
「なんで……」
呆然と呟いていると、クロノスがくすくす笑う。
「この城にいる奴らは誰も気にしないよ。慣れてるからね」
こんな変なことに慣れてるってどういうことよ。
全然、納得できない。
「旦那さま。この部屋にはもう誰も来ないんですか?」
「いや、ほっといても人は来るよ。なに? 俺と二人きりになりたかった?」
「違います!」
「殿下! 城の修繕費の見積もりです!」
バン!とドアが開いて元気そうな若者が入ってきた。頭にハチマキを巻いている、よく日焼けした二十歳前後の男性だ。
「おっ、この方が噂の巫女様ですか! いや~お若いですね! くりくりした目が可愛いなあ」
「ジロジロ見るな。見積もりはその辺にでも置いておけ」
「殿下は男には冷たいんだよな……」
ぼそっと言って、男の人は出て行ってしまった。
「なんでこの体勢に何も言わないの……」
「言っただろ、慣れてるって」
「…………」
慣れてる、ということは以前にもこういう事があったんだろうか。
クロノスはセイラの八つ上と言っていたし、彼にも恋人の一人や二人いてもおかしくはない。その恋人たちにもこんなことを強要していたんだろうか?
セイラを膝に乗せたままクロノスは平然と仕事をしている。まるでこれが当たり前のように。
もう少し城の人たちに話を聞いてみたい。
「あのう、旦那さま。少し部屋から出てもいいですか?」
「だめ。君にはずっと俺の傍にいてもらわないと」
「…………」
息が詰まりそう!
クロノスはセイラに「すぐに壊れてしまいそう」とか言っていたけれど、こんな状態がずっと続いたら、どんな人だって壊れてしまうに違いない。
「お、おトイレに行きたいです」
「じゃあ俺も一緒に行くよ」
「!!」
誰か助けて。
その時、どこかへ行っていたデジレが戻ってきた。
「で、デジレさんに付き添ってもらいます!」
「……うーん……まあいいか」
「……は?」
話を聞いていなかったデジレはポカンとしている。
クロノスは懐中時計を見ながら言った。
「デジレ、巫女に付き添ってやってくれ。五分以内に戻れよ」
「……はい?」
「さあ、行きましょう!」
五分しかない。さっさと行かなければ!
セイラは執務室を出て早足で歩きながらデジレに話しかけた。
「あのう、旦那さまはあれが普通なのですか? 仕事のときまで女性を膝に乗せてるなんて邪魔だと思うんですけど」
「殿下に限ってはアレで普通です。気に入ったものは自分の傍に置いておかないと落ち着かないと仰ってました」
「……他の女性にもあんな感じでした?」
「私の口からはあまり詳しいことは話せませんが、巫女様が最初ではないとだけお伝えしておきます」
やっぱりそうなんだ。
ああ、女神さま。思ったよりも大変そうです。
用を済ませたセイラはまた早足で執務室へと戻っていく。
後ろから大またで歩いているデジレが言った。
「巫女様お急ぎください。もう二十秒しかありません」
「えっ!?」
「遅れたら恐らく、お仕置きされます」
「ひいっ」
お仕置き? 何の!?
デジレは何を知っているのだろう。あの事務的な口調が怖い。
執務室のドアが見えてきた。セイラは走ってきた勢いのまま、バン!と音を立ててドアを開ける。
「たっ、ただ今、戻りました!」
「遅い。三秒の遅刻だよ」
三秒ぐらい、大目にみてよ!!
ぜえはあと荒い呼吸を繰り返しながらクロノスを睨むと、彼はにっこりと微笑んで言った。
「ちょうど良かった。仕事は一段落ついたし休憩しよう。巫女、そこのソファに座って」
「は? はあ……」
なんだ、お仕置きされるなんて嘘だったんじゃない。
ほっとしてソファに座ると、クロノスもセイラの隣に座った。そしてソファに手をついてこちらへごろんと寝転がってくる。
「はあ、気持ちいい……」
「ひえっ」
セイラの太ももに頭を乗せながら、クロノスはぐりぐりと顔を動かした。彼の長い脚はソファからはみ出している。
「や、動かさないでください! くすぐったいです!」
「ねえ巫女。俺の頭を撫でてよ」
「……。こ、こうですか?」
おそるおそる銀の髪に触れると、指にさらさらとした触感が伝わった。
猫のように細くて柔らかい髪の毛だ。気持ちいい。
「わあ、さらさら……」
クロノスはうっとりと目を閉じている。その顔が、母親に甘えていた五歳の彼と重なった。
ああ、やっぱり彼は愛に飢えているんだ。
少しでもクロノスの心の穴を満たしてあげたい。
セイラは何だか切なくなってきて、優しくクロノスの頭を撫でつづけた。
なでなで。
なでなで。
と、急にクロノスがごろりと体の向きを変えた。セイラのお腹の方へ顔を押し付けて、大きな手でぎゅっと腰を抱きしめてくる。
「ちょ、ちょっと! どこ触ってるんですか!」
「うーん……よく見えないけど、すごく柔らかいからお尻かな?」
「そうじゃなくて、やめてって言ってるんです!」
「やめたら遅刻したお仕置きにならないだろ」
これお仕置きだったの!?
「巫女、手が止まってるよ」
「う、うぅ……」
クロノスが喋るたびにお腹に吐息が触れて熱いし、くすぐったい。
セイラは夢中でクロノスの頭を撫でた。
クロノスのこの態度からして、セイラに母性だけを求めているのとは違う気がする。
自分の母親にこんなことをするわけがないし。
だとすれば、わたしは、母のような恋人のような妻のような存在でなければならないと……そういうことなんだろうか。
「そんなの無理ぃ!」
「え、なに急に」
「……なんでもありません」
ちょっと落ち着こう。
無理でも何でも、結界を元に戻すためにはやるしかない。
でも一人ではキツいから協力者が欲しい。酸いも甘いも知っているような、大人な女性の協力者が。
―――あとで、リナとナナにも聞いてみよう。
ひとしきり頭を撫でさせたクロノスはようやく満足した様子だったが、執務机に戻った彼はやはり膝に乗るようにセイラに言った。これでは侍女と話す時間もない。
セイラは一人になれる時間をひたすら待った。
汗をかいていたセイラは食事のあと着替えようと席を立ったが、クロノスにガシッと腕を掴まれてしまう。
「どこ行くの?」
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「……ふぅん、そう。じゃあ着替えたらすぐに執務室に来てね?」
「? はい」
巫女も仕事をするんだろうか?
リナとナナに手伝ってもらって汗を拭き、大急ぎで着替えてクロノスの執務室へと向かう。
「旦那さま、セイラです」
「入っていいよ」
失礼します、と一声かけてから入室する。開け放たれた窓から涼しい風が通り抜けた。
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呼ばれるままに近くまで行くと、クロノスはぽんぽんと自分の膝を叩いた。
ん?
どういう意味?
「? 汚れたんですか?」
「違う違う。ここに座れっていう意味」
「は? ええっ!?」
そんなの嫌です―――と言う前に、腰をぐいっと引き寄せられて彼の膝の上に乗ってしまった。クロノスの膝に横向きに座ったセイラは、ぐらぐらする体を支えようと彼の肩にしがみ付く。
「こっこんなの、恥ずかしいです!!」
「大丈夫、誰も気にしないよ」
「そういう問題では……!」
「殿下。神殿から書類が来ています」
突然、デジレの低い声がしてセイラは顔を上げた。彼の顔からは何の表情も読み取れない。
デジレさん! 何か主に対して言うことないの?
こんなのおかしいでしょう!?
セイラはデジレに向かって必死に視線で訴えたが、デジレは何も言わずに部屋から出て行ってしまった。
「なんで……」
呆然と呟いていると、クロノスがくすくす笑う。
「この城にいる奴らは誰も気にしないよ。慣れてるからね」
こんな変なことに慣れてるってどういうことよ。
全然、納得できない。
「旦那さま。この部屋にはもう誰も来ないんですか?」
「いや、ほっといても人は来るよ。なに? 俺と二人きりになりたかった?」
「違います!」
「殿下! 城の修繕費の見積もりです!」
バン!とドアが開いて元気そうな若者が入ってきた。頭にハチマキを巻いている、よく日焼けした二十歳前後の男性だ。
「おっ、この方が噂の巫女様ですか! いや~お若いですね! くりくりした目が可愛いなあ」
「ジロジロ見るな。見積もりはその辺にでも置いておけ」
「殿下は男には冷たいんだよな……」
ぼそっと言って、男の人は出て行ってしまった。
「なんでこの体勢に何も言わないの……」
「言っただろ、慣れてるって」
「…………」
慣れてる、ということは以前にもこういう事があったんだろうか。
クロノスはセイラの八つ上と言っていたし、彼にも恋人の一人や二人いてもおかしくはない。その恋人たちにもこんなことを強要していたんだろうか?
セイラを膝に乗せたままクロノスは平然と仕事をしている。まるでこれが当たり前のように。
もう少し城の人たちに話を聞いてみたい。
「あのう、旦那さま。少し部屋から出てもいいですか?」
「だめ。君にはずっと俺の傍にいてもらわないと」
「…………」
息が詰まりそう!
クロノスはセイラに「すぐに壊れてしまいそう」とか言っていたけれど、こんな状態がずっと続いたら、どんな人だって壊れてしまうに違いない。
「お、おトイレに行きたいです」
「じゃあ俺も一緒に行くよ」
「!!」
誰か助けて。
その時、どこかへ行っていたデジレが戻ってきた。
「で、デジレさんに付き添ってもらいます!」
「……うーん……まあいいか」
「……は?」
話を聞いていなかったデジレはポカンとしている。
クロノスは懐中時計を見ながら言った。
「デジレ、巫女に付き添ってやってくれ。五分以内に戻れよ」
「……はい?」
「さあ、行きましょう!」
五分しかない。さっさと行かなければ!
セイラは執務室を出て早足で歩きながらデジレに話しかけた。
「あのう、旦那さまはあれが普通なのですか? 仕事のときまで女性を膝に乗せてるなんて邪魔だと思うんですけど」
「殿下に限ってはアレで普通です。気に入ったものは自分の傍に置いておかないと落ち着かないと仰ってました」
「……他の女性にもあんな感じでした?」
「私の口からはあまり詳しいことは話せませんが、巫女様が最初ではないとだけお伝えしておきます」
やっぱりそうなんだ。
ああ、女神さま。思ったよりも大変そうです。
用を済ませたセイラはまた早足で執務室へと戻っていく。
後ろから大またで歩いているデジレが言った。
「巫女様お急ぎください。もう二十秒しかありません」
「えっ!?」
「遅れたら恐らく、お仕置きされます」
「ひいっ」
お仕置き? 何の!?
デジレは何を知っているのだろう。あの事務的な口調が怖い。
執務室のドアが見えてきた。セイラは走ってきた勢いのまま、バン!と音を立ててドアを開ける。
「たっ、ただ今、戻りました!」
「遅い。三秒の遅刻だよ」
三秒ぐらい、大目にみてよ!!
ぜえはあと荒い呼吸を繰り返しながらクロノスを睨むと、彼はにっこりと微笑んで言った。
「ちょうど良かった。仕事は一段落ついたし休憩しよう。巫女、そこのソファに座って」
「は? はあ……」
なんだ、お仕置きされるなんて嘘だったんじゃない。
ほっとしてソファに座ると、クロノスもセイラの隣に座った。そしてソファに手をついてこちらへごろんと寝転がってくる。
「はあ、気持ちいい……」
「ひえっ」
セイラの太ももに頭を乗せながら、クロノスはぐりぐりと顔を動かした。彼の長い脚はソファからはみ出している。
「や、動かさないでください! くすぐったいです!」
「ねえ巫女。俺の頭を撫でてよ」
「……。こ、こうですか?」
おそるおそる銀の髪に触れると、指にさらさらとした触感が伝わった。
猫のように細くて柔らかい髪の毛だ。気持ちいい。
「わあ、さらさら……」
クロノスはうっとりと目を閉じている。その顔が、母親に甘えていた五歳の彼と重なった。
ああ、やっぱり彼は愛に飢えているんだ。
少しでもクロノスの心の穴を満たしてあげたい。
セイラは何だか切なくなってきて、優しくクロノスの頭を撫でつづけた。
なでなで。
なでなで。
と、急にクロノスがごろりと体の向きを変えた。セイラのお腹の方へ顔を押し付けて、大きな手でぎゅっと腰を抱きしめてくる。
「ちょ、ちょっと! どこ触ってるんですか!」
「うーん……よく見えないけど、すごく柔らかいからお尻かな?」
「そうじゃなくて、やめてって言ってるんです!」
「やめたら遅刻したお仕置きにならないだろ」
これお仕置きだったの!?
「巫女、手が止まってるよ」
「う、うぅ……」
クロノスが喋るたびにお腹に吐息が触れて熱いし、くすぐったい。
セイラは夢中でクロノスの頭を撫でた。
クロノスのこの態度からして、セイラに母性だけを求めているのとは違う気がする。
自分の母親にこんなことをするわけがないし。
だとすれば、わたしは、母のような恋人のような妻のような存在でなければならないと……そういうことなんだろうか。
「そんなの無理ぃ!」
「え、なに急に」
「……なんでもありません」
ちょっと落ち着こう。
無理でも何でも、結界を元に戻すためにはやるしかない。
でも一人ではキツいから協力者が欲しい。酸いも甘いも知っているような、大人な女性の協力者が。
―――あとで、リナとナナにも聞いてみよう。
ひとしきり頭を撫でさせたクロノスはようやく満足した様子だったが、執務机に戻った彼はやはり膝に乗るようにセイラに言った。これでは侍女と話す時間もない。
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