勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落

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第6話

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 朝、日中、夕方。
 これまでいろいろな時間帯で勇者への不意打ちを敢行してきたエルは、未踏のまま残されていた唯一の時間帯を選択することにした。

 すなわち夜である。

 彼の警戒レベルは「町の誰かが見ている可能性がある」ときほど高いのではないか。
 エルはそのような結論を出した。

 夜、しかも誰にも見られないところでは、さほど警戒はしていまい。
 そのような期待で宿屋に来たエルは、勇者が使っているという二階の部屋へと進んだ。

 足音がしないよう、ゆっくりと階段を上ったエル。
 勇者が宿泊しているという部屋を見て、驚いた。
 かなり遅い時間なのだが、扉が少し開いていた。光が廊下に漏れている。

 まだ起きているのだろうか? と、慎重に部屋をのぞき込む。

 さほど広くはない部屋の壁よりのところに、これまたさほど幅広ではないベッドが置いてある。
 そこに勇者がいた。掛け布団の動きや頭の揺れを遠目にも感じるが、起きてはいるようには見えなかった。

 真っ暗だと寝られないタイプなのか? と呆れながら、部屋に入る。
 念のため勇者の枕元に行き、本当に寝ているのかどうか確認した。
 すると。

「んん……」

 勇者の声が漏れると同時に、彼の右手が掛け布団から出て、頭上へと行った。
 強心臓のエルもドキッとしたが、起きてはいないとわかると、引き続き様子を見続けた。

 黒い髪を乱し、目をギュッと閉じて端正な顔を歪ませていた。額にも汗が出ている。
 そしてときおり歯を食いしばったり、頭を左右に振ったり、呼吸が不規則になったり――。
 かなりうなされているようだ。

 何か悪い夢でも見ているのか? 
 内心で突っ込みながら、勇者の体にかかっている掛け布団をめくった。

「……!」

 うわ、と危うく声が出てしまうところだった。
 勇者が何も身に着けず、裸で寝ていたことに対して驚いたわけではない。
 無駄な肉がまったくない、鍛えられた見事な体に対して驚いたわけでもない。

 その体に、想像以上の数の傷跡が刻まれていたことに対して、エルは驚いた。

 吸い込まれるように、ゆっくりと手が伸びた。
 真っ先に目に入っていた、腹部に走るやや大きな傷跡から、指でなぞっていく。

「……」

 その刺激に反応したのかどうかはエルにはわからないが、勇者の声が止まった。
 勇者の顔を見る。起きてはいない。ただ眉間のしわが浅くなり、苦しそうな顔が収まっていくように見えた。

 エルはしばらく大小さまざまな傷跡を触ったのち、勇者の体から手を離した。
 しばし、その場で立ち尽くす。
 彼のかつてのパーティには回復魔法の使い手も含まれていたと聞いている。小さな傷であれば跡もほとんど残さず回復できていたはず。
 にもかかわらず、これだけの傷跡――。

「んっ……」

 またうなされる声が勇者から聞こえてくると、エルは用意した作戦の実行に移った。

 ベッドに上がり、勇者を跨ぐように腰を落とす。
 そして彼の股間に少し顔を近づけた。
 覚えのある彼の匂いを濃縮して乗せたような微気流が、エルの鼻孔をくすぐる。

 これまで生で触ったことはあったものの、目で見るのは今回が初めてだ。
 触ったときの感触から想像していたとおり、陰毛は薄めだった。おかげで陰茎も睾丸もよく見える。
 ボリュームがあってシワの少ない睾丸に、完全に剥けている陰茎。その周辺も含め、目立った傷跡はないようだ。
 顔や首も傷跡は少なかった。急所を避ける技術はさすがに高いということか。

 左手で睾丸を包んだ。柔らかい。
 そのまま、右手の指先で陰茎のカリ首をつまむ。

「……」

 勇者の声が、またとまった。
 やはり起きたわけではない。だが、また勇者の眉間のシワが浅くなり、苦悶の顔が緩んだ気がした。

 エルは手を動かした。
 睾丸を包んだまま軽く揉み、同時にカリ首を指先でこねていく。

「……ぁ……」

 うなされる声のかわりに、エルが今まで聞いたこともないような声が勇者の口から漏れた。
 そして体から力が抜けていくことが、上から見てはっきりわかった。

 さらに続ける。

 ――お。

 陰茎が膨張し、硬くなっていく。
 そして先端から透明な液がこぼれてきた。
 エルはそれを延ばすように塗ると、指をそれで滑らせるように、勃起した陰茎をしごいた。

「……ぅ……ぁ……ぁ……」

 勇者の口が開いたままになる。
 そのまましごき続けると、やがて――。

「ぅあっ、あっ」

 突然、弛緩していた体に瞬間的な力が入り、痙攣するように腰が反った。
 声と同時に白濁液が飛び、くぼんだおへその近くに付着した。

「お、出たな」

 エルは用意していたボロ布で、それを拭き取っていった。
 そして、あらためて勇者を見た。
 ふたたび全身の力が完全に抜けたのか、体幹も四肢もだらりとしていた。顔も穏やかで、呼吸の乱れもないように見えた。

 よし終わり――エルはベッドから降りた。
 さすがにこれで起きるだろうと、処理済みで丸めたボロ布を片手に、ベッドから少し離れて勇者を見守る。

 だが。

「ん……んん……」

 勇者は起きず、また苦しそうにうなされ始めた。

「あれ?」

 またエルがベッド横に戻る。

「ったく、起きろって。勇者さん」

 そう言って、揺すって起こしてやろうと手を伸ばしたとき――。

「うわっ」

 エルの驚く声。その手が寝たままの勇者に引っぱられたためだ。
 強い力ではなかったが、うまい具合でバランスが崩されてしまった。
 真上ではなく脇に抱えるように引き込まれたエル。その首に右腕が巻かれ、下半身には腿が絡められる。
 まるで抱き枕にされるようなかたちに。

 ――おいおい。

 エルは勇者の体を剥がしてまたベッドから降りようとした。
 が、やめた。

 密着していて、彼の体の震えが伝わってきたからだ。

 彼の顔を間近で見つめながら、そのまま待った。
 するとすぐに、苦しそうな表情は消えていき、うなされる声も止まった。

「……どうなってんだよ」

 エルは抱きかかえられたまま、拭き取るのに使ったボロ布を、視界の端に見えたくずかごにひょいと投げた。
 見事に入った。
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