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第7話
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翌日から、ダイキは夜になっても来なかった。
俺の言うことを守ってくれたようだ。
それでいい。そう思った。
だが。
彼が来ない生活、思ったよりも大丈夫だ――。
そう感じたのは、わずか数日の間に過ぎなかった。
すぐに、異変をきたした。
夜、寂しくてたまらなくなった。
そしてムラムラしてどうしようもなくなった。
いや、その表現はおとなしすぎる。はっきり言えば、思いっきり抱き、そして犯したい。そんな気持ちが体中で暴れていた。
したい対象は当然、彼。
当日にはまったく現実感がなかった、余命三か月、残された時間がもうないという事実。
どうやら頭がそれを受け止めたようだ。
それにともない、抑えられていた彼に対する性欲が暴走しつつある。
もちろん、すでにいないうえに連絡先や居場所も知らないので、実行はできない。
狙いどおりだ。
まだ残っている野獣でない自分が、心底思っている。
まだ実感のないときに、彼を突き放しておいてよかった――と。
そして彼に対し、間違っても気が変わってふらりとうちに来たりするなよ? ――とも。
そんな中だった。
驚くべき事態となったのは。
終電で会社から帰ってきて、食事やシャワーや済ませると、寝間着で何となくソファーに座る。
めったにつけないテレビをつけ、ニュース番組にチャンネルを合わせた。
観るつもりなどない。何となくだ。
現状およびこれからのことを、考える。
食欲は現状まったくないというわけでもない。
倦怠感は言われてみればあるという感じだが、激務で体は常時ダルく、それと区別がつかなかったくらいだ。大したことはない。
つまり、まだ普通の生活が可能である。
ただそれも、まもなく予定されている抗がん剤治療の開始までだろうと思っていた。
抗がん剤を入れると、副作用がひどく生活に支障をきたすと言われた。
動けるうちに身辺整理をしておいたほうがよいだろう。
会社にも病気のことを言わなければならない。
辞めることになるだろうが、業務の引き継ぎでどれだけ拘束されるのかを確認する必要はある。
そうすれば田舎の母親へ会いに行く日をどうするかも検討が可能になるだろう。
そのようなことを頭の中でまとめていると――。
玄関のスチールドアが開く音がした。
俺はとっさに、予想が外れますように、と祈った。
だが、無情にも予想は的中してしまった。
部屋のドアを開けて中に入ってきたのは、今現在もっとも会ってはいけない褐色少年だった。
「タケトさん……」
彼は、部屋に入ったところで立ち止まった。
緑の半ズボンに、黒のタンクトップ姿。
顔はやや下を向いている。その表情は不安そうで、笑顔はなかった。
「ダイキ。来るなと言ったはずだが?」
俺はソファーから立ち、彼の正面をふさいだ。
「帰れ。危険だ」
「……やだ」
「ダメだ。たぶん今一緒にいたら襲っちまう」
俺は彼の肩をつかみ、回れ右させようとした。
だが、彼は俺の両腕をつかみ、それを外すと……
……俺に抱き着いてきた。
「いいよ、タケトさん。オレを襲って」
(続く)
俺の言うことを守ってくれたようだ。
それでいい。そう思った。
だが。
彼が来ない生活、思ったよりも大丈夫だ――。
そう感じたのは、わずか数日の間に過ぎなかった。
すぐに、異変をきたした。
夜、寂しくてたまらなくなった。
そしてムラムラしてどうしようもなくなった。
いや、その表現はおとなしすぎる。はっきり言えば、思いっきり抱き、そして犯したい。そんな気持ちが体中で暴れていた。
したい対象は当然、彼。
当日にはまったく現実感がなかった、余命三か月、残された時間がもうないという事実。
どうやら頭がそれを受け止めたようだ。
それにともない、抑えられていた彼に対する性欲が暴走しつつある。
もちろん、すでにいないうえに連絡先や居場所も知らないので、実行はできない。
狙いどおりだ。
まだ残っている野獣でない自分が、心底思っている。
まだ実感のないときに、彼を突き放しておいてよかった――と。
そして彼に対し、間違っても気が変わってふらりとうちに来たりするなよ? ――とも。
そんな中だった。
驚くべき事態となったのは。
終電で会社から帰ってきて、食事やシャワーや済ませると、寝間着で何となくソファーに座る。
めったにつけないテレビをつけ、ニュース番組にチャンネルを合わせた。
観るつもりなどない。何となくだ。
現状およびこれからのことを、考える。
食欲は現状まったくないというわけでもない。
倦怠感は言われてみればあるという感じだが、激務で体は常時ダルく、それと区別がつかなかったくらいだ。大したことはない。
つまり、まだ普通の生活が可能である。
ただそれも、まもなく予定されている抗がん剤治療の開始までだろうと思っていた。
抗がん剤を入れると、副作用がひどく生活に支障をきたすと言われた。
動けるうちに身辺整理をしておいたほうがよいだろう。
会社にも病気のことを言わなければならない。
辞めることになるだろうが、業務の引き継ぎでどれだけ拘束されるのかを確認する必要はある。
そうすれば田舎の母親へ会いに行く日をどうするかも検討が可能になるだろう。
そのようなことを頭の中でまとめていると――。
玄関のスチールドアが開く音がした。
俺はとっさに、予想が外れますように、と祈った。
だが、無情にも予想は的中してしまった。
部屋のドアを開けて中に入ってきたのは、今現在もっとも会ってはいけない褐色少年だった。
「タケトさん……」
彼は、部屋に入ったところで立ち止まった。
緑の半ズボンに、黒のタンクトップ姿。
顔はやや下を向いている。その表情は不安そうで、笑顔はなかった。
「ダイキ。来るなと言ったはずだが?」
俺はソファーから立ち、彼の正面をふさいだ。
「帰れ。危険だ」
「……やだ」
「ダメだ。たぶん今一緒にいたら襲っちまう」
俺は彼の肩をつかみ、回れ右させようとした。
だが、彼は俺の両腕をつかみ、それを外すと……
……俺に抱き着いてきた。
「いいよ、タケトさん。オレを襲って」
(続く)
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