食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落

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第3話

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 頬に彼の自転車用ヘルメットの紐が当たっていたので、一度体を離し、外してもらった。
 黒髪が完全に露出した。長さは長すぎず短すぎずと言ったところか。少し硬そうな直毛だった。
 やはりさわやか。

 ヘルメットをかぶっていたせいか、いわゆる”アホ毛”のようなものが立っている。
 玄関に大きな鏡が置いてあるので、彼はそれを見てしまい「ちょっと癖ついてますね」と恥ずかしそうに苦笑いをしていた。

 もう一度抱き付こうとすると、また腕と体の間を少し空けてくれた。
 さすがに腕を回し返してはくれないが、心づかいがうれしい。

「名前は何て言うの? 俺は遠藤平太」
「タナカヤストです」
「へえ、普通の名前だ」
「何ですか普通って」

 彼が笑う。
 抱きついて密着しているので、声の振動が伝わってくるのもいい。
 そのまま背中をさすってみた。
 しばらく、密着したまま背中の手触りを楽しませてもらう。

「見かけどおり、生地の触り心地いいね」

 サイクルウェアはその光沢のとおり、スベスベだった。

「汗でベタベタしてたりしません?」
「いや? そんなことないよ」
「ホントですか? あっ、俺、変な臭いしたりもしてないですか?」
「大丈夫だよ」

 けっこう暑い季節だが、ベタベタはしていなかった。
 それに、変な臭いどころか、かなりいい匂いがする。お日様の匂いとでも言うべきだろうか。
 彼の背中に回していた手を、少し脇腹寄りに動かしてみる。

「……っ」

 くすぐったかったのか、少しビクンとなって声が漏れた気がした。

「くすぐったがり?」
「あ、はい。そうですね。けっこうくすぐったがりというか……」

 その答えで予想できることがある。
 たぶん彼、乳首が弱い。

「じゃあ前も触らせてもらおっかな」

 俺は今度は背後に周り、後ろから手を回した。
 ここでも手を回しやすいように腕を少し体から離してくれる。やさしい。

「っ」

 腹筋を撫でると少し力が入った。そのおかげで腹筋が浮き出てわかりやすい。

「すごい腹筋だなあ」
「ぁっ、ありがとう、ございます。鍛えてますので……っ」
「やっぱりくすぐったい?」
「あ、はい、くすぐったいというか、なんというか、変な感じが」

 よさそうな感じなので、胸を撫でる。
 生地が薄くツルツルなので、指が両乳首を捉えるのも容易だった。

「あぁっ」

 脇腹を触ったときとは違い、ビクンという体の反応と漏れる声がはっきりとわかった。

「やっぱり乳首弱いんだ」
「ぁっ……はい……」

 それを聞いて攻めない手はない。
 転がしたり、つまんだり、しつこく刺激をする。

「ああっ……や、やばい……ですっ……うぁっ」

 彼の体が反ってきた。悶えるような声も大きくなっていく。

 そして彼の膝が、ガクガクと震えてきたようだ。
 後ろから抱きかかえる俺に振動が伝わるとともに、どんどん体重がこちらにかけられていくことを感じた。

「す、すみません……ちょっと……足に力が入らなく……ぁぁっ」

 そう言われたので、俺は場所を変えることにした。

「じゃあヤスト君、ベッドに行こうか」



(続く)
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