シンキクサイレン

秋村ふみ

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 しばらくして、雷は止んだ。しかし、雨は降り続いた。
「ただいまぁ」
 玄関の戸が開くと同時に、若い男の声がした。御手洗は僕に抱きつくのをやめた。
「お兄ちゃん…」
 玄関の声の主は、御手洗の兄らしい。玄関から居間へと歩く足音が聞こえる。
「陽菜ぁ、お友達でも来てるのかぁ?」
 玄関に僕の靴があるのをみて、御手洗の兄は、御手洗の部屋の前までくると、ノックもせずにドアを開けた。そういえば御手洗が台所へウーロン茶をとりに行って戻ってきたとき、鍵をかける様子はなかった。
「ちょっと!ノックしないで入ってこないでって言ってるでしょ」
「いや、だったら鍵かけとけよ。それよりお前、いつのまに彼氏できたんだ?」
「彼氏じゃないわ!友達よ!」
「ふぅん…?」
 学校での暗い雰囲気とは違い、兄に対する御手洗の態度は明るかった。
「はじめまして。陽菜の兄の陽介です。妹がお世話になってます」
「あ…いえ…こちらこそ…」
「外、すごい雨だぞ。なんなら送ってやろうか?」
「え?」
 
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