<夢幻の王国> サムライドライブ

蒲生たかし

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 第4.5幕 三姉妹剣士の巴と累と琴

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赤獅子国も建国から1年がたった。
氏康の母国である大和国との貿易も始まり
一方、中央世界からも何人かの商人が許可をもらい住み始めた。

肝心の国家予算だが、宇宙から飛来した鉄亀の中には金を食べ成長したレアの物も見つかり
ある程度の金がたくわえられた。更には希少な赤い金も見つかり、それが鉄職人の手により
赤獅子金貨となった。それまでは氏康の祖国の小判と錢を使っていたが、今後はこの赤獅子金貨を国庫の基盤とする取り決めとなった。

この金貨は他の世界でも希少品となり、この金貿易のおかげで様々な物資や文化が赤獅子国に入って来るようになった。
仕事の種類も豊富になり、中には工場も作られた。

生活が豊かになった一方で外敵も度々現れる様になった。

文明的に遅れているとはいえ、氏康やオルフェの戦闘能力はおそらく宇宙でも随一である。
しかし、その事を不幸にも知らない宇宙ギャングた度々襲って来るようになったのだ。

その日は巨大なタコ型生物だった。
近海の海に飛来し街を襲ってきたのだ。

氏康とオルフェは黒龍ジンライに乗り、駆けつける。
「我が名は東城氏康、この国の長だ。何用でこの国にやってきた?」
「無駄だぞ氏康」
その巨大タコは持っていたビームガンでジンライを攻撃してきた。
その攻撃はジンライの落雷で相殺させた。
「まったく、なんでこの世界には挨拶もろくにできない輩がおおいのか」
「じゃあ今回は私の番だからな」
いうなりオルフェはそのタコに向かい爪で両断した。
「キャハハハ。今日はタコ焼きというやつだな!」
「まずは食べれるかどうか確認……って! オルフェ、生で食べるな!」
「いや、結構いけるぞこのタコ。なによりも新鮮だしな」
「毒とか、まぁ、お前の胃袋なら大丈夫か」

そんな具合である。

そのタコ型生物の持っていたビームガンはイジャーザが持ち帰って研究した。
イジャーザの科学知識は更に発展しており、様々な科学武器を作り始めていた。

「大がかりな攻め込みを受けたら、正直、今の俺たちでは受けきれないな。やはり軍備は整えなければならぬか」
「私の一族は皆戦士だぞ」
「それは分かっている。だが、漁師になった者や職人を目指している者たちはなるべくその道で働いてもらいたい」
「氏康、和人の中にも強い戦士はいないのか?」
「若く元気な男衆は、俺の母国の先の戦争でほぼ命を落としてな」
「なら女たちも訓練すればいい」
「いや、俺の国では女子が戦いに参加するのは稀でな」
「私は女だぞ」
「……そうだったな」
「なんだ、今の間は!」
「女子か、戦える者がいるだろうか?」

数日後、街の和人たちに国防軍人の募集を発表した。
男女年齢問わず。
狼人族はオルフェの下で常に戦闘準備はしてある。
有事の際は進んで戦闘に参加する覚悟を持っている。
今回は、和人の戦士育成による戦力増強が目的だ。

そこには20人ほどが集まった。

剣・槍術、格闘術の模擬線と弓術の試験を行なった。
その中で3人の女剣士が男たちを圧倒した。
氏康はそれを見て近づいた。
「巴、累、琴。お主たちか」
「氏康様、私たち三姉妹、今回こそお役に立って見せます」
三女の琴が無邪気に聞いてきた。
「氏康様、なんで今回女も大丈夫になったんですか?」
「ここは大和の国では無いからな、男女で役割を決めるというのもおかしな話だと思ったんだ。何より、俺の横に強い女子がおるしな」
「そうです。そもそも我らの国には舞姫様の様な女武将もおりました。前の戦いで女性だからと参戦が認められなかった事は今でも納得がいっていません」
舞姫というのは氏康の大和の国で名を馳せた女性の武将だ。
「キャハハハ」
オルフェが横で笑っている。
「お前たち、中々筋が良いな。私たち狼人族が鍛えればもっと強くなるぞ!」
「ほんと、オルフェ様!」
琴が身を乗り出す。琴は三姉妹の中でも一番小柄だがスピードは群を抜いている。
「ああ、任せておけ」
「おい、いい加減な事を言うな、オルフェ」
「私たちのスピードで慣れれば、大方の敵には対抗できるぞ」
「そうだが、まずは剣術と体術の基本を教えてからだ」

今回の試験で三姉妹を含む七人が赤獅子国の防衛軍のメンバーとなった。
しばらくは忍びの陽炎が指揮をを取り武力訓練が行われた。
時折オルフェたち狼人族が訓練に強力した。
三姉妹長女の巴はまじめで覚えが早く、次女の累は怪力が自慢、三女の琴はスピードに磨きがかかり、狼人とある程度やり合えるほどになった。

ある日城に鍛冶職人の虎徹が数本の刀をた携えてやってきた。
「氏康様、ご依頼の物をもってきたぜ」
「おお、虎徹殿待っていたぞ!」
「自分でも納得の出来だ。この土地の鉄とは相性がいいのかもしれないな」
「皆を呼んでくるから、刀の説明をしてくれ」
言うと氏康は訓練中のメンバーを呼びに言った。

今日はたまたまオルフェも来ていたので一緒に戻ってきた。
「待たせたな虎徹殿」
「じゃあ早速始めるか」

「まずは、姫鶴。これは三姉妹の巴さん用だ。あんたは起用にいろいろこなすと聞いてな、バランスよく仕上げてある」
巴はお礼を言い刀を受け取る。
「次は累さん、お前さんのだ。名は勇鷹。かなりの剛力って聞いたから重さと耐久性を高めておいた」
「ありがとうな、虎徹のおっちゃん」
累も刀を受け取る。他の刀より大振りでどっしりとしていた。
「三姉妹最後のがこれだ、隼丸。速さ自慢って聞いたから軽く仕上げといた」
こうして他の4人の武器も渡された。
「虎徹殿、なぜすべての刀に鳥の名前を」
「ああ、この国に来てな、しばらくいろいろと巡ってみたが、どこも自然豊かで、それぞれの土地には綺麗な鳥たちがいてな、それらを元にしてうった刀なんだよ」
「なるほど」
「この国の自然はすばらしいな、氏康様。どうか大事にしてくれな」
「ああ、もちろんだ」
「それはそうと、この小隊には名前はあるのかい?」
「名前、そういえばすっかい忘れてた」
「じゃあつけてやらんと」
「そうだよ、名前がなくて私たちなんかしまらなかったんだ」
琴もその意見に乗っかった。
「そうだなの」と氏康が考えると、虎徹のうった刀が目に入った。
「虎徹殿、お主のおかげで言い名前を思いついた」
「何々! 氏康様」
「『赤翼隊』それがお主たちの新しい名前だ。その鳥の名を持つ刀で我が赤獅子国を護る翼となってくれ」

こうして、狼人族、陽炎の忍びの部隊、赤翼隊と着々と防衛力の礎が出来始めた。
彼らが大きな戦いを経験するのはもう少し後の話であ。
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