<竜騎傭兵> ナイン・スペード・ドラグドライブ

蒲生たかし

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第28話 サイファー・イン・ザ・カード

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スパニア西部の都市バレンヌ
その傭兵ギルドにナインたちは到着した

そのカウンターに
ナインは見慣れた後ろ姿を発見する

「マリー?」
その呼びかけに赤毛の女性が振り返る
「ナイン
 どうしてここに?」
「こっちのセリフだ」
「良かった
 ちょうど話したい事があったの
 その前に」
「その前に?」
「後ろの二人は誰?」
当のサイとティジャーンも誰という顔だ
「ああ
 今一緒に旅をしている連中だ」
「どこかで話せないかしら」
「二人は同席してもいいのかい?」
「できれば二人きりで話したいけど」
サイが気をきかせてティジャーンを連れ出す
「僕らは周りを見てまわってきます」
「ああ
 俺たちはそこのカフェで話してるから
 ついでに宿も決めてきてくれ」
「はい師匠」
「師匠?」
マリーが不思議な顔をしている
「俺の弟子ってことになってる
 サイって名前だ」
「よろしくね
 サイちゃん」
サイは軽く会釈をしてティジャーンと外に出た
「よく女の子だってわかったな」
「分かるでしょ普通」
「いや
 俺分からなかった」
二人は近くのカフェに移動した

マリー・レッドフォード
兄の仇である元トランプ傭兵団のメンバーを追っている
傭兵であり
二つ名はブラッディ・マリー
ナインのラッキーストライクの一丁を持っている
ナインは恋人だと思っているが
マリーはその距離感を掴みきれていない
少なくとも好意を持っている事は間違いないが
正直本人にもわからないというのが実際

「仇のナンバーが分かったの」
マリーが切り出す
「ナンバーはエイト」
「ロスの旦那か
 だが……」
「そう
 もう死んでるのよね」
「ああ
 団が壊滅した日に」
マリーはコーヒーを少し飲む
「それで兄の嫌疑を晴らすため
 昔兄が旅した地方を巡っているの」
「それでこの地に?」
「そう
 兄は常に旅先から絵葉書を送ってくれたの」
「見せてくれないか」
マリーからナインは数枚の絵葉書を受け取る
絵柄はエウロパの各地の有名観光地
裏の文章に目を通すと違和感を感じた
「文章で
 気になる点は?」
「別に何もないわ
 いつもの兄が言いそうな感じ
 たんぱくな文章よね」

「俺よりアイツの方がいいか」
「あいつ?」
「出てこいサッソ!」
しばらくの間の後
柱の影から人影が現れる
「いやー
 恋人の再会の邪魔をするのも野暮かと」
「いいから
 これ見ろ」
「綺麗な絵柄ですねー」
「じゃなくて
 こっちだよ」
ナインが文章の面に裏返す

サッソの目つきが変わる

「読んでくれ」
「鹿の毛皮替え
 鷲が日に向かい
 牛の内臓が腐る」
「何?
 何を言っているの?」
「暗号だよ
 マリー
 君の兄さんは
 諜報員だ」

「そんなこと」
「君のこの銃」
ナインはマリーから預かっている
ワイルドターキーをテーブルの上に置く
「これは軍で使う銃だ」
「そうよ
 兄は銀行員の前に軍に所属していた」
「リクルートされたんだよ
 銀行員ってのは仮の姿だ」
「そんなはずがないわ」
「いや
 それですべての合点がいった
 エイト・スペードのロス
 奴の裏の顔は
 スパイ狩りだ」
ナインは再び絵葉書を出す
「このハガキ
 消印の数字を使って本文を読むと
 暗号が分かる
 『牛の内臓が腐る』
 『牛』はスパニアの事
 『内臓の腐り』はテロの活動激化の事」
「でもこれらは私の家に届いたのよ」
「絵柄の右上を触ってみな」
マリーは言われた通りに触ってみる
「へこみがある」
「形は?」
「なんだろう
 花かしら」
角度をつけて光でへこみの形を確認する
「バラ?」
「そう
 そしてバラを国花としているのは
 君の母国ウエスタ自由竜国」

ウエスタはエウロパ大陸の西にある大陸にできた新興国だ
イリアスからの移住者がメインで
200年ほど前に独立を宣言した自由国家だ

「諜報員がよく使う手なんだ
 一般郵便に紛らせて
 印付きの手紙でメッセージをやり取りする」

マリーは何がどうなってるのか分からず
呆然としている

「で
 サッソ
 どこまで知ってた」
「確証はなかったんです
 ただ
 その手紙を見せてもらって確信できました
 マリーさんのお兄さんの件は
 ジュダの件とつながっているようです」

「という事で
 マリー
 どうやら
 君の目的と俺たちの目的は
 一致したみたいだ」
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