<竜騎傭兵> ナイン・スペード・ドラグドライブ

蒲生たかし

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第30話 プリンセス・ディサピアー

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イリアスの姫であるヴィトーリアが
エウロパに外遊で周っており
スパニアには国賓として招かれた

ランサース王立学校での留学時代に
親交があったスパニアの第2王子と
会う事が目的とされたが
王女の王位継承について
周辺諸国への地ならしが
本当の目的だった
この世界では女性が王位に就くことに
未だ理解を示せない国が多い
女王の即位に際しては
常に血生臭い争いがあり
このスパニアの国でも
かつてその様な事があった

ヴィトーリアは宮殿のバルコニーで
スピーチをする予定となっていた

そのスピーチ中に狙撃する
これが今回のサッソからナインに
託された依頼だった

ナインはサッソから
サウザのスナイパーライフルを受け取った
サウザは世界でも有数のライフルメーカーだ
「では
 はいこれ」
一緒に血糊弾も受け取る
血糊弾はその名の通り
着弾と共に派手な血しぶきをあげる弾丸だ

ナインとサッソは
宮殿から距離があるが建物の屋上に
腹ばいになり二人並んでいる

「今回の計画を知っている者は?」
「私とナインさん
 そしてランスロットさんです」
「隊長か
 よくもこんな思い切った作戦を許可したな」
「姫からの命令です
 この旅のどこかで狙撃し
 死を偽装するようにと」
「それで
 姫さんがここを選んだのか」
「いえ
 姫にはどこで狙われるかは伝えない様にと
 本人から」
「撃たれると分かるとぎこちなさが出る
 ってかい」
「その様です」
「で
 そもそもだ
 姫がマイヤー先生に依頼して
 それがサッソに回って
 最終的には俺に来たってのか」
「周りくどいですよね」
「しょうがねーよ
 さっさと仕事をして
 ジュダ狩りだ」
「はいはい
 そうしましょう
 間違っても
 ヴィトーリア姫様の命は奪わない様にね」
「血糊弾で殺せるかよ
 姫が出てきたら教えてくれ
 それまでちょっと寝とく」
「こんな時
 流石というか」
ナインは天を向き目をつむった
スパニアの太陽の日差しは強く
眠るには難しかった
「全く
 太陽の王国とはよく言ったもんだ」
「何か言いました?」
「なんでもねーよ」

姫の登場を待つ二人
しかし
予定の時刻になったが姫は
宮殿のバルコニーには現れない

スピーチを聞きに来た群衆も始まらない事に
ざわざわし始めた

「おかしいですね」
「スパニア時間って奴だろ
 アイツら時間には本当にルーズだからな」
「いえ
 ナインさん
 見てください」
ナインは身体をうつ伏せにし
ライフルの望遠レンズで状況を確認する
見慣れた顔があった
セインツ・聖竜騎団の隊長のランスロットだ
いつもは冷静沈着な男だが
大声で周りに支持を出している
「隊長さんのあの慌てようは尋常じゃねえな」

そこにサイが翼竜クロンに乗り
二人のところにやって来た

「バカ野郎!
 目立ってここに来るな!」
「師匠大変だ!
 お姫様がさらわれたって!」
「どこからの情報だ?」
「衛兵が慌ててギルドに来てね
 聞き耳立ててたら
 お姫様がさらわれたって」
「サイ
 俺と下にいるイザナミを連れて
 すぐに宮殿まで飛べ!
 サッソはギルドにいるマリーとジャンを
 宮殿に来るように伝えてくれ」
「ハイサー!」
直ぐにナインは翼竜クロンに乗り
そのまま下におり
イザナミを足で掴むと
宮殿まで飛んだ

宮殿の入口には衛兵がおり
進むナインとサイに銃を向け止まるように指示した

ナインは首元のジッパーを下ろし
ナイン・スペードのタトゥーを衛兵に見せる
「俺はナイン・スペード!
 中にいるランスロット隊長に伝えてくれ
 元トランプのナインが来たと!」
衛兵の一人がそのタトゥーの意味を知っていた様で
すぐさま宮殿に向かい
ランスロットを呼んできた
「ナイン
 お前なんでここにいる!?」
「そんな事はいい
 姫さんがさらわれたってのは
 本当か?」
「ああ
 もうプライドも何もない
 ナイン助けてくれるか?」
「だから来たんだよ
 とにかく状況を話してくれ」
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