海神アオハル

華子

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すれ違うふたり

すれ違うふたり13

 その誰かに平手打ちをされた時、そこに痛みは感じなかった。けれど胸にはやいばが刺さった。

「神人、変だよ!」

 涙目の美咲はそう言った。

 俺を一発叩いた彼女は、すぐに海の隣へ身を寄せた。海の腰へと手をまわし、もう一方で手だって握って。人前で明け透けにこんなことが出来るのは、女である彼女の特権だ。
 キリッと俺を睨む美咲。

「海くんは神人の心配してくれただけじゃん!なんでその海くんが殴られるの!?今日の神人、ほっんと変!」

 美咲は今日の俺に関してだけをとって言っているのだと、頭では理解している。だけど、それでも心がついていけない。

 だってお前、変だもん。

 思い出したくもないバレンタインの日に、一瞬にして引き戻される。


「おい!神!」

 海がそう叫んだのは、俺が教室を飛び出したから。廊下を行く担任に「どこへ行くんだ!」と止められたが振り払った。
 鞄は教室に忘れてきた。上履きのままに外へ出た。
 一刻も早くこの現実から逃げたくて、がむしゃらに街を駆けた。
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