海神アオハル

華子

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海神コンビ解散

海神コンビ解散17

 グレーの地へ落ちて行く濱口の巨体を追うようにして、金属バットが彼の足元へ落下した。ガラガランッとグリップエンドとヘッドが交互に音を奏でると、ころころ一時ひととき転がり止まる。濱口は、釘か何かで張り付けられたように、アスファルトで固定された。

 俺の着地は案の定、大失敗。二、三歩よろけて尻をつく。苦しそうに横たう海の顔をかろうじて踏まずに済んだ、そんなところで。

「か、海っ、平気か……?」

 そう聞くと、海は色々な箇所に皺を寄せながらも笑顔を作ってくれた。

「あったまいってえ……」
「ナントカ君の一撃か」
「あいつまじ、もう一発殴ってこよっかな……」
「もー意識ねえから。やっても手応えゼロよ」

 崩した体育座りをする。平和を取り戻した工事現場は、とても物静かな場所だった。

「なあ、海」
「んー?」
「助けてくれてありがとう」
「ははっ。なんだ急に。いっつもお礼なんて言わねえじゃん」
「今日のは海が来てくれなかったら、まじで墓行きだった」

 海が側にいてくれる。それだけで、俺は強くなれる。

 ゆっくりと上半身を起こした海は、まだ痛むであろう額を手で押さえて言う。

「神、俺こそありがとう」

 それは思いもよらない言葉だった。

「え、ありがとう?なにが、なんで?」

 自嘲じちょう気味に、笑う海。

「お前のパンチで、なんか目ぇ覚めたよ」
「え……?」
「俺さ、同性同士の恋愛なんて変だと思ってた。男を好きになっちまった自分にも、上手く同調できずにいた。本当は、神は俺のものだーって世間にすんげえ言いふらしたいのに、どっかでストッパーかけてたっていうか、鎖繋いでたっつーか」

 海がそんな風に思っていてくれた。感激の波が俺を包む。

「神が変なんじゃない。俺が間違ってたんだ。十人十色とか、千差万別とか多種多様とかそんな熟語、大して頭のよくねえ俺でも意味は知っていたはずなのに、なんつーか、こう……自分の周りにいなかったからさ。俺等みたいのはテレビの中だけにいる、珍キャラみてえに思えちまった。だから、神が恋人であることも、俺が男の神を好きなことも、隠してた」

 だけど、と彼はあいだに挟み、こう続けた。
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