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完全復活
完全復活08
ヒューヒューと風吹く冷たい夜。正月のイベントだと勘違いした見物人たちが、風の音に近い歓声を上げていた。
海の声が、すぐ後ろから届く。
「他人のこと二度見すんなよ、しかも一回だるま挟んで」
「だってあいつ、どっからどう見てもだるまじゃねえかっ。あのフォルム見てみろよっ。あいつ転んだら、ぜってえ起き上がれねえタイプだよっ」
「仕方ねえだろ、そういう体型なんだから」
「じゃあだるまもどきはだるまもどきとして認めて胸張って生きろよ!だるまと見比べられてムカつくくらいなら、痩せろよ!」
「声でけえよ、聞こえるっつのっ」
「しかもあいつ勘違いしてんだよ!眉毛だけが似てると思ってる!そこじゃねえよ、全部だよ!」
全部だよ!とほぼ同時、目の前から「うるせえ!」と飛んできた。わなわな震えるだるま男。
「お前等さっきから黙ってきいてりゃあなんだその言いざまはあ!そしてなんだそのフォーメーション!遊んでんじゃねえよ!」
ぴんと水平に伸ばした両腕が、震え出した俺は言う。
「組体操のサボテンだよ。だるまっち知らねえの?」
「知ってるわボケぇ!俺が聞きてえのは、なんで今サボテンしてんだってことだ!」
「これがお前倒すベスフォメだから」
「んああああ!?」
「いいからかかってこいって。闘ってみりゃあわかるから」
俺の煽りに、男の目が鬱血していく。
「そんな動きにくい格好したこと、すぐ後悔させてやっからなああ!!!」
ダンダンと音を立て歯向かってくる彼は、おそらくこの近辺の住人ではないのだろう。何故ならここは、高校付近。この辺りでこんな珍妙な闘い方をするのはあいつ等しかいないと、有名なはずだから。
試しに俺は、外野ヘ音頭をとってみた。
「さあ皆さんご一緒に!大きな声でね!」
肺へ存分、酸素を入れて。
「ポッセイ──」
こう叫ぶ。
「「「ドォォオオン!!!!」」」
除夜の鐘よりも大きく響いた群衆の声は、夜空で瞬く星をも揺り動かしたそうだ。
海の声が、すぐ後ろから届く。
「他人のこと二度見すんなよ、しかも一回だるま挟んで」
「だってあいつ、どっからどう見てもだるまじゃねえかっ。あのフォルム見てみろよっ。あいつ転んだら、ぜってえ起き上がれねえタイプだよっ」
「仕方ねえだろ、そういう体型なんだから」
「じゃあだるまもどきはだるまもどきとして認めて胸張って生きろよ!だるまと見比べられてムカつくくらいなら、痩せろよ!」
「声でけえよ、聞こえるっつのっ」
「しかもあいつ勘違いしてんだよ!眉毛だけが似てると思ってる!そこじゃねえよ、全部だよ!」
全部だよ!とほぼ同時、目の前から「うるせえ!」と飛んできた。わなわな震えるだるま男。
「お前等さっきから黙ってきいてりゃあなんだその言いざまはあ!そしてなんだそのフォーメーション!遊んでんじゃねえよ!」
ぴんと水平に伸ばした両腕が、震え出した俺は言う。
「組体操のサボテンだよ。だるまっち知らねえの?」
「知ってるわボケぇ!俺が聞きてえのは、なんで今サボテンしてんだってことだ!」
「これがお前倒すベスフォメだから」
「んああああ!?」
「いいからかかってこいって。闘ってみりゃあわかるから」
俺の煽りに、男の目が鬱血していく。
「そんな動きにくい格好したこと、すぐ後悔させてやっからなああ!!!」
ダンダンと音を立て歯向かってくる彼は、おそらくこの近辺の住人ではないのだろう。何故ならここは、高校付近。この辺りでこんな珍妙な闘い方をするのはあいつ等しかいないと、有名なはずだから。
試しに俺は、外野ヘ音頭をとってみた。
「さあ皆さんご一緒に!大きな声でね!」
肺へ存分、酸素を入れて。
「ポッセイ──」
こう叫ぶ。
「「「ドォォオオン!!!!」」」
除夜の鐘よりも大きく響いた群衆の声は、夜空で瞬く星をも揺り動かしたそうだ。
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