僕らの10パーセントは無限大

華子

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傘不要の降水確率と、チャップリンの名言と

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「うん、いいよ。むしろありがと」
「和子からもちゃんと、連絡しとけよ?お前の母さん、すんげえ心配してるぽかったらしいから」
「うん」
「まあ、今にも取り乱しそうなお前の母さんには、俺の母さんがうまいこと言って、宥めたらしいけど」
「そうなんだ。さすがだね、ユーイチのお母さん」
「そうかあ?」
「いやいや、そこは威張るところでしょ」

 なんてやり取りをして、ふふっと笑い合って。

 居心地がいいなあ、としみじみ思う。

 わたしたちがまだ0歳児の頃から、お母さん同士が仲良かったために、ユーイチとはしょっちゅう遊ばされていたから、わたしと彼のふたりはもう、兄妹のようなものだ。

 昔からいつも隣にいる彼のことを、わたしは心の底から愛おしく思う。

 昔一度だけ、そんなユーイチに対して恋愛感情を抱いたこともあるけれど、その気持ちは伝える前に蓋をした。だって彼には当時、好きな人がいるようだったから。

 お母さんたちが計画したさまざまなイベントに巻き込まれて、気付けばお父さん同士も仲良くなってたよなあ。

 家族ぐるみでするご飯会などには、有無を言わさず参加させられていたお父さんたち。

 お酒を交わして仕事などの話で盛り上がって、だいぶ親しくなっていた彼等だけれど、それはわたしとユーイチが小学校一年生くらいまでのお話で、ユーイチのお父さんが海外出張へと旅立ってから、その機会はぱたりとなくなってしまった。

 あれ……?そういえばユーイチのお父さんって、いつ海外出張から帰ってくるんだろう……?もうずいぶん長いこと、行ってるけど……
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