僕らの10パーセントは無限大

華子

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ちーちゃんの手紙と、ユーイチへの愛と

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 疲れ果てて、束の間大人しくしていれば、ユーイチがわたしたちふたりの中間の空中で、そのスマホを持った。

「ちゃんと聞いて、和子……」
「え?」
「お願いだから、ちゃんと……」

 微かに震えている、声。

 手のひらに置いたスマホを、彼がスピーカーモードにすると、そこから流れ出した音声は、ちーちゃんのものとは程遠かった。

「おかけになった電話は、現在お取り扱いしていません。番号をご確認ください」

 無機質な、女性の声。

「おかけになった電話は、現在お取り扱いしていません。番号をご確認ください」

 同じ言葉をリピートするだけの、感情皆無な機械音。

 え、どうして……?ちゃんと『安藤千尋』って表示されているのに……

 視界が捉えるものと、聴覚がキャッチするものが一致しなくて狼狽えた。

 スマホからユーイチに目線を上げたところで、彼はその音声を切る。

「ごめん、ちょっといじるわ」

 そう言って、手元でわたしのスマホを操作したユーイチは、とある画面をわたしに見せてきた。

「この番号って、もしかして入院してた時の部屋番……?」
「え」
「503。これじゃあどこにも電話なんか繋がらない」

 電話帳アプリの中。安藤千尋の名前の下に記載されているのはたったの三桁の数字。

 そういえば、そうじゃんか。小学一年生で出逢い、そこから十年間会えていないちーちゃんの電話番号なんて、わたしは知らなかったじゃんか。

 ということは、なんなんだ。
 つまりわたしが……今までちーちゃんが生きているって信じて疑わなかったわたしが電話で話していた相手は、妄想の中のちーちゃんだったってこと……?

 自分で作り上げたちーちゃんの声と、わたしはずっとやり取りしていたの……?

「ちーちゃんっ……!」

 残酷な現実を突きつけられて、ガクンと膝から崩れて落ちた。

「ち、ちーちゃあんっ……」

 うそだ、うそだうそだうそだ。

 ちーちゃんが死んじゃっていたなんて絶対に信じたくはないのに、勝手に流れる涙を悔しく思う。

 これじゃあまるで、ちーちゃんの死を受け入れたみたいじゃんか。
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