俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始

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目の前で陣取り合戦が始まったんだが

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悠真は、昼休みになった途端、自分の机の周りに人だかりができていることに気づいた。  

(……なんだこれは)  

本来なら、昼休みは静かに食事を取る時間のはずだ。  

だが、今の悠真の机の周囲では、何やら緊迫した空気が漂っていた。  

「私が先に約束してたんだけど?」  

「いやいや、悠真くんが了承したわけじゃないし」  

「そもそも、昨日はあなたが隣に座ったよね? 今日は私の番じゃない?」  

(いや、そんな順番制度あったのか?)  

悠真は、昼食の弁当を取り出すこともできず、ただ女子たちの会話を聞いていた。  

すでに「誰が隣に座るか」という問題で、軽い火花が散っている。  

「待って、全員落ち着いて」  

悠真は、なるべく穏やかに言った。  

だが、その言葉は完全に無視された。  

「藤堂くん、どんなタイプの子と一緒にいると落ち着く?」  

「やっぱり元気な子のほうが楽しいよね?」  

「いやいや、静かなタイプのほうが安心するでしょ?」  

悠真は、ため息をついた。  

(なぜ、俺の好みを勝手に議論している?)  

しかし、この攻防はまだ序章に過ぎなかった。  

今度は「悠真のスケジュール管理」が始まる。  

「放課後、一緒に帰ろうよ」  

「それならカフェ行かない? ここのチケットあるんだけど」  

「週末に映画、一緒にどう?」  

「え、私も藤堂くんと出かけたいんだけど」  

「ちょっと待って、先に誘ったのは私!」  

(……俺の予定が勝手に埋まっていく)  

悠真は、こめかみを押さえた。  

このままでは、本当に自由時間がゼロになりかねない。  

そこに、颯斗の低い声が割り込んだ。  

「おい、悠真のスケジュール管理するのはやめてやれよ」  

クラスの喧騒が、一瞬静まる。  

颯斗は特に表情を変えず、軽く肩をすくめながら続けた。  

「こいつ、最近ずっと忙しそうだったし、たまには一人でゆっくりする時間も必要だろ」  

その言葉に、女子たちが顔を見合わせる。  

「そっか…そうだよね」  

「無理に誘うのも悪いし…」  

ようやく彼女たちは少し引いた。  

悠真は、颯斗のほうを見た。  

「……助かった」  

「まあ、お前が倒れたら面倒だからな」  

悠真は、ほっと息をついた。  

(こいつがいなかったら、俺の自由時間ゼロになってたな…)  

昼休みはまだ続いていたが、悠真はすでにぐったりと疲れ果てていた。
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