俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始

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なぜ移動中からこんなに狙われる?

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悠真は、修学旅行の集合場所である校門前に立ち、静かにため息をついた。  

朝からすでに、妙な熱気を感じる。  

クラスの女子たちが、小さなグループを作ってひそひそと話しながら、時折こちらに視線を向けている。  

(……何か嫌な予感がする)  

嫌な予感というのは、往々にして当たるものだ。  

出発前、バスの座席決めが始まると、悠真の周囲で女子たちが騒ぎ始めた。  

「悠真くんの隣、誰が座るの?」  

「私が座ってもいい?」  

「いやいや、私が!」  

悠真は、こめかみを押さえた。  

(座席争いでこんなに熱量が上がるとか、まるで社内の昇進レースでは?)  

社畜時代、役職の空きが出たときの人事会議を思い出す。  

「次のリーダーは誰が適任か」という議論の裏で、上司たちが派閥ごとに候補を推して争っていた。  

あのときの「誰を優遇するか」という圧力の空気に似ている。  

悠真は、静かに視線を巡らせた。  

すでにいくつかのグループが、「誰が悠真の隣に座るか」を決めようと駆け引きを始めている。  

(……このままでは、決着がつくまでバスが出発しないな)  

悠真が、どう収めるべきかと考え始めたそのとき。  

「お前、ここでいいだろ」  

そう言って、颯斗が当然のように悠真の隣の席を押さえた。  

「ああ、まあ…」  

颯斗の自然すぎる行動に、悠真も特に異論は出なかった。  

それどころか、騒いでいた女子たちが一斉に不満そうな声を上げる。  

「ちょっと待って、それってアリなの!?」  

「颯斗くん、なんで悠真くんの隣、そんな当然みたいに座るの?」  

「ずるくない?」  

颯斗は軽く肩をすくめただけで、特に弁明もしない。  

悠真は、バスのシートに深く座り直しながら、小さく息を吐いた。  

(助かった…いや、これって営業部の先輩がサポートしてくれたときの安心感に似てるな…)  

顧客との交渉や社内調整で、板挟みになりかけたとき。  

「お前、ここは俺に任せろ」と言ってくれた先輩の姿が脳裏をよぎる。  

颯斗の行動は、それに近いものを感じた。  

(いや、でもこれ、普通の高校生がやることなのか?)  

考えているうちに、バスがゆっくりと動き出した。  

修学旅行は、まだ始まったばかりだった。
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