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関西帝都大学の超絶美少年
関西帝都大学は、関西随一の名門校として知られている。政治家や財界の大物の子息、芸能人の家族など、いわゆる特権階級が集まる場所だ。学内は洗練された雰囲気に包まれ、通う学生たちもどこか上品な空気をまとっている。
そんな関帝のキャンパスで、ひと際目を引く存在がいた。
辰巳悠真。
透き通るような白い肌に、しなやかで艶のある黒髪。涼やかな目元は柔らかく微笑んでいることが多いが、ときおり鋭い光を宿すことがある。その姿は儚げで、しかしどこか掴みどころのない雰囲気を醸し出していた。
「あの子、まるで絵画の中の王子様みたいやな…」
そんな噂が学内を駆け巡るのに、時間はかからなかった。
悠真は人と話すのが嫌いではないが、自ら積極的に目立とうとはしない。それでも、歩いているだけで人目を引いてしまう。自然と視線を集め、知らぬ間に注目の的になっていた。
次第に、彼の美貌を称える者たちが現れ始めた。
「辰巳悠真って、辰巳財閥の御曹司らしいで」
「しかもあの顔やろ?ズルすぎるわ」
「関帝の奇跡やな…」
女子学生はもちろん、男子学生からも一目置かれていた。気づけば、悠真をひそかに崇める者たちが集まり、密かにファンクラブまでできていた。
本人は、そんなことをまるで気にする素振りを見せない。
悠真はどんな相手にも屈託なく接し、壁を作らない。そのため、学内では「育ちのいい坊ちゃん」として認識されていた。
「辰巳財閥の御曹司で、しかもあの美貌…」
羨望の目を向けられることも多いが、当の本人は至ってマイペースだった。
「みんな仲ええ方が楽しいやん?」
そんな調子で、誰とでも自然に打ち解けてしまう。しかし、単なる無邪気な性格というわけではない。悠真は人間関係の距離感を的確に把握し、必要以上に踏み込まれないよう絶妙なバランスを保っていた。
無意識のうちに、交友関係を完全にコントロールしているのだ。
そんな悠真の日常を、ただ一人、苦々しい思いで見守る男がいた。
久我陣である。
陣は毎朝、本家から悠真を大学へ送り届けようとしていた。
「悠真様、迎えの車をご用意しております」
当然のようにそう言う陣に対し、悠真はいつも軽く首を傾げる。
「僕、一人で大学行けるし」
陣の眉がぴくりと動いた。
「ですが、悠真様を一人にするなど、ありえません」
陣の声音は落ち着いているが、その中には頑なな意思が含まれていた。悠真の身の安全を考えれば、どんな状況であっても護衛なしで行動させるわけにはいかない。
しかし、悠真はそんな陣の必死の説得を、どこ吹く風といった様子で受け流す。
「…もしかして陣さん、僕とデートしたいん?」
その一言に、陣は完全に言葉を失った。
「……っ」
悠真は、からかうような笑顔を浮かべるわけでもなく、ごく自然な顔で陣を見つめていた。
それが、余計にたちが悪い。
陣はなんとか冷静さを保とうとするが、耳の奥で心臓の鼓動が妙に大きく響いていた。悠真が冗談で言っているのか、それとも本気で言っているのか、判断がつかない。
「…違います」
短くそう返すのがやっとだった。
悠真はふっと笑い、軽く手を振る。
「ほな、行ってきます」
そう言って、軽やかな足取りで大学へと向かっていった。
陣はその後ろ姿を見送りながら、深く息を吐いた。
(悠真様…本当に、人の心を乱すお方だ)
悠真がどこまで意図しているのか、それを考えるだけで陣の頭は痛くなるのだった。
そんな関帝のキャンパスで、ひと際目を引く存在がいた。
辰巳悠真。
透き通るような白い肌に、しなやかで艶のある黒髪。涼やかな目元は柔らかく微笑んでいることが多いが、ときおり鋭い光を宿すことがある。その姿は儚げで、しかしどこか掴みどころのない雰囲気を醸し出していた。
「あの子、まるで絵画の中の王子様みたいやな…」
そんな噂が学内を駆け巡るのに、時間はかからなかった。
悠真は人と話すのが嫌いではないが、自ら積極的に目立とうとはしない。それでも、歩いているだけで人目を引いてしまう。自然と視線を集め、知らぬ間に注目の的になっていた。
次第に、彼の美貌を称える者たちが現れ始めた。
「辰巳悠真って、辰巳財閥の御曹司らしいで」
「しかもあの顔やろ?ズルすぎるわ」
「関帝の奇跡やな…」
女子学生はもちろん、男子学生からも一目置かれていた。気づけば、悠真をひそかに崇める者たちが集まり、密かにファンクラブまでできていた。
本人は、そんなことをまるで気にする素振りを見せない。
悠真はどんな相手にも屈託なく接し、壁を作らない。そのため、学内では「育ちのいい坊ちゃん」として認識されていた。
「辰巳財閥の御曹司で、しかもあの美貌…」
羨望の目を向けられることも多いが、当の本人は至ってマイペースだった。
「みんな仲ええ方が楽しいやん?」
そんな調子で、誰とでも自然に打ち解けてしまう。しかし、単なる無邪気な性格というわけではない。悠真は人間関係の距離感を的確に把握し、必要以上に踏み込まれないよう絶妙なバランスを保っていた。
無意識のうちに、交友関係を完全にコントロールしているのだ。
そんな悠真の日常を、ただ一人、苦々しい思いで見守る男がいた。
久我陣である。
陣は毎朝、本家から悠真を大学へ送り届けようとしていた。
「悠真様、迎えの車をご用意しております」
当然のようにそう言う陣に対し、悠真はいつも軽く首を傾げる。
「僕、一人で大学行けるし」
陣の眉がぴくりと動いた。
「ですが、悠真様を一人にするなど、ありえません」
陣の声音は落ち着いているが、その中には頑なな意思が含まれていた。悠真の身の安全を考えれば、どんな状況であっても護衛なしで行動させるわけにはいかない。
しかし、悠真はそんな陣の必死の説得を、どこ吹く風といった様子で受け流す。
「…もしかして陣さん、僕とデートしたいん?」
その一言に、陣は完全に言葉を失った。
「……っ」
悠真は、からかうような笑顔を浮かべるわけでもなく、ごく自然な顔で陣を見つめていた。
それが、余計にたちが悪い。
陣はなんとか冷静さを保とうとするが、耳の奥で心臓の鼓動が妙に大きく響いていた。悠真が冗談で言っているのか、それとも本気で言っているのか、判断がつかない。
「…違います」
短くそう返すのがやっとだった。
悠真はふっと笑い、軽く手を振る。
「ほな、行ってきます」
そう言って、軽やかな足取りで大学へと向かっていった。
陣はその後ろ姿を見送りながら、深く息を吐いた。
(悠真様…本当に、人の心を乱すお方だ)
悠真がどこまで意図しているのか、それを考えるだけで陣の頭は痛くなるのだった。
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