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第4幕
少しずつ…
しおりを挟む怜は、大谷に対するメッセージを慎重に考えながらスマートフォンを手に取った。彼との距離感を絶妙に保ちながら、彼の興味を引きつける内容を組み立てていく。少し緊張しながらも、表面的には冷静な態度を装い、彼にとって特別な投資話であることを印象づけるのが狙いだった。
ようやくメッセージを入力し終えると、怜は「送信」を押した。すぐに既読がつくと、大谷がどのような反応を示すかに心が少し跳ねた。
「兄と一緒に工藤さんに会う機会ができたんです。兄がすごく信頼している方だから、少し緊張しちゃいますけど…」
と、シンプルな内容にまとめながらも、あえて詳細には触れないことで大谷の好奇心を引き出す意図が込められていた。工藤という人物をすでにちらっと話したことがあるため、彼の耳には「兄の友人の投資家」という背景が強く残っているはずだ。あとは大谷がどの程度、工藤に興味を示すかで次の行動が決まる。
少しの間を置いて、大谷から返信が来た。
「工藤さんって、前に話していた投資で成功しているっていう人?」
怜は微笑んで、そのメッセージをしばらく眺めた。意図通り、大谷は興味を抱いているようだった。怜はあえてすぐに返信せず、少し間を置いてから再び入力を始めた。
「はい、兄が信頼している方で、本当にすごいみたいです。ただ…私には少し難しそうで、まだよく理解できなくて…」
送信したメッセージに、あえて自分が初心者であることを強調し、大谷が「教えてあげたい」という気持ちになるように仕向ける。そして、自分がこの投資の話にどれだけ関心を持っているかを少しずつ表現しながらも、あくまで慎重な態度を崩さないようにしていた。
すぐに、大谷からの返信が来た。
「そうなんだ。どんな投資をしてるのか、少し興味があるね」
怜はここで、工藤の投資話を詳しく説明することは避け、むしろ「特別な人にしか教えてもらえない」というニュアンスを強調することにした。少しだけためらうようにして、次のメッセージを入力する。
「実は、兄もその投資に参加したいって話してたんですけど、工藤さんが少人数の信頼できる人たちで行っているみたいで…詳しくはわからないんです。でも兄が羨ましがるほどなので、すごいんだろうなと思ってます」
送信した後、怜はしばらく考え込んだ。このメッセージによって、大谷がさらに工藤に会いたくなるように誘導するのが狙いだ。彼が「自分もその少数の信頼できる人たちに入りたい」と感じるような、特別感を与えることが重要だった。
大谷からの返信が再び入った。
「それはすごい話だね。君のお兄さんが羨ましがるくらいなら、本当に良い投資なんだろう」
怜は大谷が興味を深めていることを確信し、次のステップとして、彼が「直接会いたい」と言い出すタイミングを探ることにした。続けて返信し、さらに彼の興味を引きつける内容を考えた。
「私も興味はあるんですけど、投資のことってまだあまり詳しくなくて…。兄がもう少し話してくれたらいいのですが、私にはまだ少し難しそうです」
このようにして、怜は大谷に「自分が支えてあげるべき存在」として意識させることで、彼の気持ちを揺さぶり、工藤との直接的な会話を望むように仕向けた。
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