Aegis~裏切りに報いる影の正義

中岡 始

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第5幕

待望の会合の始まり

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プライベートな空間での会合は、期待と緊張の入り混じる雰囲気に包まれていた。高級レストランの個室は、柔らかい照明に照らされ、品の良い内装が印象的だった。静かな空間での会話は互いの声だけに集中させ、親密感を醸し出している。怜は黒のシンプルなドレスに身を包み、髪も柔らかく整えていた。あまり華美でないものの、どこか品のあるその姿は、大谷の視線を自然に引き付けていた。彼女は少し緊張している様子で、微かに頬を赤らめながらも微笑を浮かべ、大谷に小さな声で話しかける。

「今日はお忙しい中、お時間をありがとうございます」

大谷は笑顔で頷き、

「こちらこそ、怜さんにお会いできるのが嬉しくてね」

と応じた。その声には、これから始まる会話に対する期待が溢れている。彼はスーツに身を包み、髪も整え、怜に好印象を与えようと準備を整えてきた。だが、その装いの下には明らかな興奮が見え隠れし、どこか浮足立っているのが分かる。

「今日は、ついに工藤さんにもお会いできるんですね」

怜は微笑みながら小さく頷き、

「はい、工藤さんもこの時間に合わせてくれたみたいで」

と答えた。

会話が一段落し、二人がグラスを軽く持ち上げて乾杯した瞬間、静かにドアが開いた。涼が、「工藤」として遅れて到着したのだ。彼の一歩一歩が、どこか堂々としていて、全体に信頼感を漂わせている。涼は落ち着いたビジネスマンの風格をまとい、怜と大谷の方に穏やかに微笑みながら歩み寄る。

怜は一瞬驚いた表情を見せた後、笑顔で涼に話しかけた。

「工藤さん!」

涼は怜に視線を向け、軽く頭を下げながら応じる。

「お待たせして申し訳ありません」

彼の言葉は穏やかで落ち着いており、大谷に対しても、微笑を浮かべながら目礼を送った。大谷もすぐに立ち上がり、丁寧に礼を返す。

「こちらこそ、わざわざお時間を割いていただきありがとうございます」

涼は軽く頷きながら、怜の横に腰を落ち着けた。その仕草一つひとつが、自信と余裕に満ちている。彼の持つ静かで安定感のあるオーラが、大谷にとって頼りがいのあるビジネスマンの姿を強く印象付けるものだった。

「怜さんから少しお話を伺っておりまして。先日カフェで少しお会いしましたね」

「はい、大谷信之と申します。怜さんから工藤さんのお話を伺い、ぜひ一度お会いしたいと楽しみにしておりました」

涼は微笑みを浮かべたまま、

「お話に関心を持っていただけて光栄です」

と応じた。その声には、深い信頼を醸し出す響きがあり、大谷の心に安心感を与えた。

怜も隣で柔らかく微笑みながら、大谷に向かって一言付け加える。

「工藤さん、いつもお忙しいのに、今日こうして時間を作ってくださったんです」

「そうなんですね」

大谷はますます期待に胸を膨らませた様子で涼に視線を向ける。怜の言葉が、涼の重要性をさらに強調し、「特別な機会」であることを改めて大谷に印象付けるように計算されていた。

「怜さんには、お兄様を通じて何度かお話をしたことがあるんですが、こうしてご紹介いただくのは初めてで」

涼はさらりとした言葉を交わしつつ、心の中では次の展開を冷静に見据えていた。大谷の様子を観察しながら、彼が話をどの程度信頼しているか、その反応を探っている。

「それにしても、怜さんには素晴らしいご友人がいらっしゃいますね」

「ありがとうございます。私も工藤さんにお会いできるのが楽しみで…」

大谷が穏やかな笑顔を浮かべながら怜に視線を向ける。彼の言葉には、何かを期待している気持ちが見え隠れしていた。その一瞬の間を捉え、涼は穏やかに言葉を続ける。

「さて、今日はお互いを知るという意味で、少しだけ私の仕事についてもお話をしましょう」

涼の柔らかな語り口が、再び大谷の関心を引きつけた。
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