Aegis~裏切りに報いる影の正義

中岡 始

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第6幕

大谷の決定

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涼の用意した資料を丹念に見つめていた大谷は、ページをめくる手を止め、決意を固めたように顔を上げた。その視線は、もはや疑念の影など微塵も残っていない。彼は一瞬、怜の方に視線を移してから、再び涼に向き直り、声を低くして言った。

「この投資、ぜひ参加させてください。300万円でお願いしたいと思います」

怜が一瞬、驚いたふりをしながらも、嬉しそうに「本当ですか?」と声をかけた。涼は微笑みを浮かべ、大谷に感謝を伝えると、机上の書類に手を伸ばした。

「ありがとうございます。大谷さんの信頼にお応えできるよう、私たちも最善を尽くします」

そう言うと、涼はあらかじめ用意していた契約書を静かに大谷の前に差し出した。その書類には、すべての項目が丁寧に整えられ、大谷が読みやすいようになっている。契約書の要点について一通り説明を終えた涼は、大谷に落ち着いた声で確認を取った。

「こちらにお目を通していただいて、問題がなければサインとご捺印をお願いできますでしょうか」

大谷は真剣な表情で契約書を読み始め、一字一句逃さないように内容を確認していた。契約内容には、少額のリターンから始まり、信頼構築を経た上で大規模なリターンが期待できるような流れが描かれている。そして、信頼のおける少数の顧客のみが関わっている旨が明記されており、彼の中で「特別な投資に選ばれた」実感がさらに強まるように工夫されていた。

「本当に、ここまで誠実な形で対応してくださるんですね」

感嘆の声を漏らしながら、大谷は契約書の最後のページをめくり、ペンを取り出した。ひと呼吸置き、サイン欄に名前を書き込み、印鑑を押す。その手には、これから得られるかもしれない大きなリターンへの期待が感じられた。

「怜さんがつないでくれたご縁に感謝します」

ふと顔を上げ、怜の方を見て、微笑みを浮かべる大谷。怜はそれに応えるように微笑み、静かに頭を下げた。

「こちらこそ、大谷さんがこのお話に関心を持ってくださってとても嬉しいです」

その場が穏やかな空気に包まれる中、涼が契約書を確認し、再び大谷に向かって話を続けた。

「明日、入金を確認次第、正式に投資が開始されます。私たちは常に情報を開示し、進捗をご報告いたしますので、どうかご安心ください」

「明日ですね。わかりました」

大谷は涼の言葉を真剣に聞き取り、納得の表情を浮かべた。そして、明日すぐに入金手続きをすると約束し、涼に握手を求める。

「今後とも、どうぞよろしくお願いします」

涼も大谷の手を握り返し、信頼を象徴するようにしっかりと頷いた。怜もまた、そっと微笑みを浮かべ、静かにその場の空気に溶け込むようにして二人を見守っていた。この瞬間、涼、怜、そして大谷の三者の間には、表面的には信頼の絆が確立されたかのように見えた。
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