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依頼の奪い合い – 実力勝負へ
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ギルドの掲示板の前で、龍司とロイの対決が決まった瞬間、周囲の冒険者たちは興味深げにざわめき始めた。
「王都ギルドのエリート『サーヴィスの剣』と、新参者のパーティが競争するって?」
「しかも、依頼は地下遺跡の魔獣討伐だぞ」
「面白くなってきたな」
龍司は静かに掲示板に目を向け、問題の依頼書を確認する。
『王都地下遺跡・魔獣討伐依頼』
【依頼内容】
王都地下遺跡の最深部に現れた魔獣クラーケンの討伐。
【報酬】
成功報酬:金貨300枚+王都商人ギルドからの信頼獲得。
【依頼主】
王都商人ギルド。
【補足】
魔獣クラーケンは水場を好み、高い知能を持つとされる。
「商人ギルドがスポンサーか」
龍司は依頼の詳細を読みながら、ふむ、と唸った。
商人ギルドの後ろ盾を得られれば、今後の活動が格段にやりやすくなる。貴族のコネを持たない自分たちにとって、この依頼の成功は、王都での足がかりを作る重要な機会だった。
「悪くない」
龍司がそう呟いた瞬間、ギルドの奥から厳かな声が響いた。
「ならば、公平を期すため、競争形式で行うのはどうだ?」
その声に、ギルド内の冒険者たちが一斉に振り向いた。
ギルドの奥から現れたのは、ギルド長、ベルハルト。
五十代半ばの男で、壮年の貫禄を漂わせた筋骨隆々の体躯。かつては高名な冒険者だったと噂される人物で、ギルド内でも絶対的な権限を持つ。
「どちらが先に魔獣を討伐するかで報酬を決める。それなら、実力が明確に証明されるだろう」
「なるほど」
ロイが満足げに頷く。
「スキルと力を持つ者が勝つ。当たり前のことですね」
「ふざけてるわね」
リリィが低く呟いた。
「魔物討伐は競争じゃないでしょ。討伐できなかったらどうするの?」
「ふむ、それは当然の疑問だな」
ギルド長が頷く。
「万が一、どちらかが討伐に失敗した場合は、もう片方のパーティが全額報酬を得る。そして、敗北した側には**『ギルド内での評価低下』** というリスクがつく」
「ほう」
龍司は腕を組みながら考え込んだ。
「つまり、これは単なる金の問題じゃないってことか」
商人ギルドがスポンサーということは、王都の商業ネットワークとの関係構築にも影響する。
もし勝てば、商人ギルドからの信用を得て、今後の活動がしやすくなる。しかし、負ければ 「使えない冒険者」 という評価がつき、王都での仕事がやりづらくなるだろう。
「やれやれ…」
龍司は天井を仰いで嘆息した。
(まるで会社のプロジェクト競争みたいだな…)
社内の大きな案件を巡って、複数の部署が競争し、結果を出した方が予算を勝ち取る。戦うのは魔物じゃなく、人間同士の利害関係。
――勝たなければ、次がない。
それは、この世界でも変わらないらしい。
「面白いじゃねぇか」
龍司は静かに微笑んだ。
「つまり、これはギルド長公認の『公式戦』ってことですね?」
「そういうことだ」
ギルド長は頷いた。
「この王都ギルドで名を馳せるなら、勝利を手にしてみせろ」
「ふむ、それでは決まりですね」
ロイが満足げに微笑む。
「では、そちらのパーティが先に遺跡に入るのはどうです? こちらが後追いする形にして、正々堂々と競いましょう」
「いいや」
龍司はすぐに却下した。
「先攻後攻のアドバンテージをなくすため、同時に出発しよう」
「ふむ?」
ロイが眉をひそめる。
「俺たちが先に入れば、遺跡の内部情報を把握する時間が与えられる。お前たちが先なら、その逆だ。どちらかが有利になるような仕組みは不公平だろ?」
「…なるほど」
ロイは不承不承といった表情で頷いた。
「いいでしょう。公平に行くとしましょう」
ギルド長が静かに場を見渡し、満場一致の合意を確認すると、ゆっくりと頷いた。
「では、『王都地下遺跡の魔獣討伐』、競争形式での依頼遂行を正式に認める」
広間にいた冒険者たちが一斉にどよめいた。
「これは見ものだな…」
「スキル至上主義のエリートパーティ vs おっさん率いる実力派か」
「どっちが勝つか楽しみだ」
ギルドの雰囲気が一気に熱を帯びる。
リリィは腕を組み、クロードは静かに剣の柄を撫でる。
マルコは面白そうにニヤリと笑った。
「おっさん、これは負けられないね?」
「当たり前だ」
龍司はふっと笑い、ロイを見据える。
「才能だけで勝てると思うなよ。経験ってやつが、どれだけ強いか見せてやる」
ロイも笑みを崩さない。
「ほう、それは楽しみだ」
こうして、王都ギルド公認の「実力勝負」が正式に始まることになった。
「王都ギルドのエリート『サーヴィスの剣』と、新参者のパーティが競争するって?」
「しかも、依頼は地下遺跡の魔獣討伐だぞ」
「面白くなってきたな」
龍司は静かに掲示板に目を向け、問題の依頼書を確認する。
『王都地下遺跡・魔獣討伐依頼』
【依頼内容】
王都地下遺跡の最深部に現れた魔獣クラーケンの討伐。
【報酬】
成功報酬:金貨300枚+王都商人ギルドからの信頼獲得。
【依頼主】
王都商人ギルド。
【補足】
魔獣クラーケンは水場を好み、高い知能を持つとされる。
「商人ギルドがスポンサーか」
龍司は依頼の詳細を読みながら、ふむ、と唸った。
商人ギルドの後ろ盾を得られれば、今後の活動が格段にやりやすくなる。貴族のコネを持たない自分たちにとって、この依頼の成功は、王都での足がかりを作る重要な機会だった。
「悪くない」
龍司がそう呟いた瞬間、ギルドの奥から厳かな声が響いた。
「ならば、公平を期すため、競争形式で行うのはどうだ?」
その声に、ギルド内の冒険者たちが一斉に振り向いた。
ギルドの奥から現れたのは、ギルド長、ベルハルト。
五十代半ばの男で、壮年の貫禄を漂わせた筋骨隆々の体躯。かつては高名な冒険者だったと噂される人物で、ギルド内でも絶対的な権限を持つ。
「どちらが先に魔獣を討伐するかで報酬を決める。それなら、実力が明確に証明されるだろう」
「なるほど」
ロイが満足げに頷く。
「スキルと力を持つ者が勝つ。当たり前のことですね」
「ふざけてるわね」
リリィが低く呟いた。
「魔物討伐は競争じゃないでしょ。討伐できなかったらどうするの?」
「ふむ、それは当然の疑問だな」
ギルド長が頷く。
「万が一、どちらかが討伐に失敗した場合は、もう片方のパーティが全額報酬を得る。そして、敗北した側には**『ギルド内での評価低下』** というリスクがつく」
「ほう」
龍司は腕を組みながら考え込んだ。
「つまり、これは単なる金の問題じゃないってことか」
商人ギルドがスポンサーということは、王都の商業ネットワークとの関係構築にも影響する。
もし勝てば、商人ギルドからの信用を得て、今後の活動がしやすくなる。しかし、負ければ 「使えない冒険者」 という評価がつき、王都での仕事がやりづらくなるだろう。
「やれやれ…」
龍司は天井を仰いで嘆息した。
(まるで会社のプロジェクト競争みたいだな…)
社内の大きな案件を巡って、複数の部署が競争し、結果を出した方が予算を勝ち取る。戦うのは魔物じゃなく、人間同士の利害関係。
――勝たなければ、次がない。
それは、この世界でも変わらないらしい。
「面白いじゃねぇか」
龍司は静かに微笑んだ。
「つまり、これはギルド長公認の『公式戦』ってことですね?」
「そういうことだ」
ギルド長は頷いた。
「この王都ギルドで名を馳せるなら、勝利を手にしてみせろ」
「ふむ、それでは決まりですね」
ロイが満足げに微笑む。
「では、そちらのパーティが先に遺跡に入るのはどうです? こちらが後追いする形にして、正々堂々と競いましょう」
「いいや」
龍司はすぐに却下した。
「先攻後攻のアドバンテージをなくすため、同時に出発しよう」
「ふむ?」
ロイが眉をひそめる。
「俺たちが先に入れば、遺跡の内部情報を把握する時間が与えられる。お前たちが先なら、その逆だ。どちらかが有利になるような仕組みは不公平だろ?」
「…なるほど」
ロイは不承不承といった表情で頷いた。
「いいでしょう。公平に行くとしましょう」
ギルド長が静かに場を見渡し、満場一致の合意を確認すると、ゆっくりと頷いた。
「では、『王都地下遺跡の魔獣討伐』、競争形式での依頼遂行を正式に認める」
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「これは見ものだな…」
「スキル至上主義のエリートパーティ vs おっさん率いる実力派か」
「どっちが勝つか楽しみだ」
ギルドの雰囲気が一気に熱を帯びる。
リリィは腕を組み、クロードは静かに剣の柄を撫でる。
マルコは面白そうにニヤリと笑った。
「おっさん、これは負けられないね?」
「当たり前だ」
龍司はふっと笑い、ロイを見据える。
「才能だけで勝てると思うなよ。経験ってやつが、どれだけ強いか見せてやる」
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