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新学期、王と参謀は再び並ぶ
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四月。
春の光が柔らかく差し込む星遥学園の体育館には、新入生と在校生たちが整然と並び、始業式の始まりを静かに待っていた。
壇上では校長が長い訓話を終え、続いて教頭がマイクの前に立つ。
「それでは、新年度の生徒会役員の任命を行います」
その言葉に、場の空気がわずかにざわついた。特に二年生の列の前方、女子たちの目が期待に満ちて輝き、男子の何人かはため息交じりに視線を前に向けた。
「会長、一ノ瀬結翔。副会長、神城凪」
その瞬間、体育館の一角に小さなどよめきが起こる。
「やっぱりあの二人か…」
「最強コンビ継続…絵面、強すぎるんだけど」
「副会長また神城先輩とか、ありがたすぎて泣く」
ざわざわという音の中で、呼ばれた名前の主たちは静かに立ち上がった。
まず壇上に上がったのは一ノ瀬結翔。制服の襟をきちんと整えた黒髪の美少年は、ひとつひとつの所作に無駄がなく、視線の先には一切の迷いがなかった。彼は落ち着いた歩幅でステージの中央へと進み、マイクの前に立つ。
続いて、神城凪。金の混じった明るめの髪が、春の光を受けてわずかに輝いていた。しなやかな動きで歩く彼の姿に、女子たちの息が止まるような静寂が一瞬走る。
その歩みの途中、彼はふと斜め前方を見た。
壇上に立つ結翔を、わずかに、ほんの数秒だけ見た。
そして結翔も、それに気づいた。
が、目を合わせる直前で、視線を逸らした。
凪もまた、すぐに目を前へ戻した。
二人の間に交わされたのは、ほんの数秒の視線の行き違いだった。けれどその一瞬に、周囲には気づかれない、どこか張り詰めたものが漂った。
けれど、その直後の彼らの所作は、誰よりも美しかった。
壇上に並んだふたり。
結翔が一歩前に出て会長として挨拶を始める。
「本年度の生徒会も、より良い学校づくりのために尽力していきます。皆さんの協力、よろしくお願いします」
彼の声は落ち着いていて、はっきりと会場に響いた。話し終わると、すぐさま半歩下がり、次に凪が同じように一歩前へ出る。
「副会長として、今年度も微力ながらサポートに努めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします」
ふたりの言葉と動きは、まるで打ち合わせをしていたかのように完璧に噛み合っていた。だが実際には、そんな事前の確認は何もなかった。
ふたりが並んで頭を下げたその姿に、拍手が一段と大きくなる。
その拍手に包まれながらも、結翔は無表情を装いながら視線を少しだけ凪の方に向けていた。
視界の端で凪の横顔が見える。変わらぬ涼やかな笑み。
けれど彼にはわかる。
その笑みに、ほんの少しだけ「張り詰めた感情」がにじんでいることを。
壇上を降りるとき、ふたりは並んで歩くことになる。
歩幅は自然に揃っている。
けれど、手も、肩も、わずかに空間を空けていた。
すぐ隣にいるのに、どこか遠い。
そんな距離感が、まるで無意識に保たれているかのようだった。
なぜこんなに呼吸が合っているのに、視線は交わらないのか。
なぜ言葉が完璧に合うのに、心は揃っていないのか。
そこには「親密さ」ではなく、「張り合い」のような緊張がある。
それが、“ただの友好関係”ではあり得ないことを、無言のままに語っていた。
そして、それは確かに始まりを告げていた。
静かで、激しい。
けれど、どこまでも甘く、こじれた「恋の頭脳戦」の――
その、はじまりだった。
春の光が柔らかく差し込む星遥学園の体育館には、新入生と在校生たちが整然と並び、始業式の始まりを静かに待っていた。
壇上では校長が長い訓話を終え、続いて教頭がマイクの前に立つ。
「それでは、新年度の生徒会役員の任命を行います」
その言葉に、場の空気がわずかにざわついた。特に二年生の列の前方、女子たちの目が期待に満ちて輝き、男子の何人かはため息交じりに視線を前に向けた。
「会長、一ノ瀬結翔。副会長、神城凪」
その瞬間、体育館の一角に小さなどよめきが起こる。
「やっぱりあの二人か…」
「最強コンビ継続…絵面、強すぎるんだけど」
「副会長また神城先輩とか、ありがたすぎて泣く」
ざわざわという音の中で、呼ばれた名前の主たちは静かに立ち上がった。
まず壇上に上がったのは一ノ瀬結翔。制服の襟をきちんと整えた黒髪の美少年は、ひとつひとつの所作に無駄がなく、視線の先には一切の迷いがなかった。彼は落ち着いた歩幅でステージの中央へと進み、マイクの前に立つ。
続いて、神城凪。金の混じった明るめの髪が、春の光を受けてわずかに輝いていた。しなやかな動きで歩く彼の姿に、女子たちの息が止まるような静寂が一瞬走る。
その歩みの途中、彼はふと斜め前方を見た。
壇上に立つ結翔を、わずかに、ほんの数秒だけ見た。
そして結翔も、それに気づいた。
が、目を合わせる直前で、視線を逸らした。
凪もまた、すぐに目を前へ戻した。
二人の間に交わされたのは、ほんの数秒の視線の行き違いだった。けれどその一瞬に、周囲には気づかれない、どこか張り詰めたものが漂った。
けれど、その直後の彼らの所作は、誰よりも美しかった。
壇上に並んだふたり。
結翔が一歩前に出て会長として挨拶を始める。
「本年度の生徒会も、より良い学校づくりのために尽力していきます。皆さんの協力、よろしくお願いします」
彼の声は落ち着いていて、はっきりと会場に響いた。話し終わると、すぐさま半歩下がり、次に凪が同じように一歩前へ出る。
「副会長として、今年度も微力ながらサポートに努めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします」
ふたりの言葉と動きは、まるで打ち合わせをしていたかのように完璧に噛み合っていた。だが実際には、そんな事前の確認は何もなかった。
ふたりが並んで頭を下げたその姿に、拍手が一段と大きくなる。
その拍手に包まれながらも、結翔は無表情を装いながら視線を少しだけ凪の方に向けていた。
視界の端で凪の横顔が見える。変わらぬ涼やかな笑み。
けれど彼にはわかる。
その笑みに、ほんの少しだけ「張り詰めた感情」がにじんでいることを。
壇上を降りるとき、ふたりは並んで歩くことになる。
歩幅は自然に揃っている。
けれど、手も、肩も、わずかに空間を空けていた。
すぐ隣にいるのに、どこか遠い。
そんな距離感が、まるで無意識に保たれているかのようだった。
なぜこんなに呼吸が合っているのに、視線は交わらないのか。
なぜ言葉が完璧に合うのに、心は揃っていないのか。
そこには「親密さ」ではなく、「張り合い」のような緊張がある。
それが、“ただの友好関係”ではあり得ないことを、無言のままに語っていた。
そして、それは確かに始まりを告げていた。
静かで、激しい。
けれど、どこまでも甘く、こじれた「恋の頭脳戦」の――
その、はじまりだった。
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