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第2章・瑠美編
羽織り唄・前編
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~娘side~
私には、好きな人がいる。
その相手が絶対に報われない人だっていうのはわかっているけど、それでも止められないから……。
…………
あー、考えまとまんない!
私はもう何枚目になるかわからない原稿用紙を破り捨てる。
羽のように舞い散る紙片を見つめていても、何も浮かばない。う~、なに書いたらいいだろう? 考えながら、今まで書いた話の内容を思い返す。あんまりしたくないことなんだけどね。
1・二回りくらい年下の先輩に恋してしまった会社員の百合。
2・神様を愛してしまったシスターの話。
3・妹を愛してしまったお姉ちゃんの話。
4・娘を愛してしまった父親の話。いま書いてたやつ。
じゃあ次……、と原稿用紙に向かおうとして、書きそうになった内容に手が止まる。
『私は、実の父親のことを愛している。それはきっといけないことなのだろう。』
………………、当たり前のことだよね。
そう思うのに何でだろう、その文章だけは、破って捨てられない。何でだろう? もう考えがまとまらなくて、ぐちゃぐちゃになって、おかしくなりそう。
わかってるよ。
これが、私の本心だからだってことくらい。
今書こうとしてた話の中なんかじゃなくて、私は本当に実の父親を、お父さんのことを愛している。
たとえ心の中で思っていることすら禁じられていたとしても、そんな倫理なら私の手で壊してしまいたいってほどに、私はお父さんのことを愛している。
いつか、きっと届かせてみせる。
~父親Side~
「おい、大丈夫か?」
仕事から家に帰ると、瑠美が作りかけのカレーを前にして、床に倒れていた。右手にはルーや具をかき混ぜるためだろうお玉が、左手には台所にあったとは思えないペインティングナイフが握られていて、そして右腕には、見慣れた切り傷。
「…………」
俺は、ソファに瑠美を寝かせて、その顔をまじまじと見つめた。
俺には、自慢の娘がいる。
瑠美はほとんど何でもできる子だし、可愛いし、素直だし、非の打ち所がないというのはあの子のためにあるような言葉だ。
だけど、悪癖――と言うべきなのかはわからないけど、困るところがないでもない。
あまり加減を間違えないように、瑠美がするときには俺も見るようにしてるけど……。たぶん、俺がしてるのを見て覚えてしまったのかも知れない。それか、そういうところで血縁というものが出てしまったのか。自分を傷付けるなんて、しないでほしいんだけどな……。
せっかく瑠美は綺麗なんだから。
そして、もう1つ。
瑠美は俺を愛している。
何度聞いただろう、俺を呼ぶ熱を帯びた声を。
以前見てしまった姿が目に焼き付いて離れない。だからこそ、見るようにしてるところもあるわけで……、我ながら浅ましいとは思うけれど、これはもう男の性ということで何とかしてもらおう――親子じゃなかったらそう思えただろう。
でも、俺たちは親子だ。
万に一つでもそういう可能性を作っちゃいけないんだ。
だから、すぐに瑠美から離れなくては。
そう思いつつも、我慢しきれなくて。
「とあー」
寝ぼけたような調子で瑠美がしてきたキスを、拒むことはできなかった。
私には、好きな人がいる。
その相手が絶対に報われない人だっていうのはわかっているけど、それでも止められないから……。
…………
あー、考えまとまんない!
私はもう何枚目になるかわからない原稿用紙を破り捨てる。
羽のように舞い散る紙片を見つめていても、何も浮かばない。う~、なに書いたらいいだろう? 考えながら、今まで書いた話の内容を思い返す。あんまりしたくないことなんだけどね。
1・二回りくらい年下の先輩に恋してしまった会社員の百合。
2・神様を愛してしまったシスターの話。
3・妹を愛してしまったお姉ちゃんの話。
4・娘を愛してしまった父親の話。いま書いてたやつ。
じゃあ次……、と原稿用紙に向かおうとして、書きそうになった内容に手が止まる。
『私は、実の父親のことを愛している。それはきっといけないことなのだろう。』
………………、当たり前のことだよね。
そう思うのに何でだろう、その文章だけは、破って捨てられない。何でだろう? もう考えがまとまらなくて、ぐちゃぐちゃになって、おかしくなりそう。
わかってるよ。
これが、私の本心だからだってことくらい。
今書こうとしてた話の中なんかじゃなくて、私は本当に実の父親を、お父さんのことを愛している。
たとえ心の中で思っていることすら禁じられていたとしても、そんな倫理なら私の手で壊してしまいたいってほどに、私はお父さんのことを愛している。
いつか、きっと届かせてみせる。
~父親Side~
「おい、大丈夫か?」
仕事から家に帰ると、瑠美が作りかけのカレーを前にして、床に倒れていた。右手にはルーや具をかき混ぜるためだろうお玉が、左手には台所にあったとは思えないペインティングナイフが握られていて、そして右腕には、見慣れた切り傷。
「…………」
俺は、ソファに瑠美を寝かせて、その顔をまじまじと見つめた。
俺には、自慢の娘がいる。
瑠美はほとんど何でもできる子だし、可愛いし、素直だし、非の打ち所がないというのはあの子のためにあるような言葉だ。
だけど、悪癖――と言うべきなのかはわからないけど、困るところがないでもない。
あまり加減を間違えないように、瑠美がするときには俺も見るようにしてるけど……。たぶん、俺がしてるのを見て覚えてしまったのかも知れない。それか、そういうところで血縁というものが出てしまったのか。自分を傷付けるなんて、しないでほしいんだけどな……。
せっかく瑠美は綺麗なんだから。
そして、もう1つ。
瑠美は俺を愛している。
何度聞いただろう、俺を呼ぶ熱を帯びた声を。
以前見てしまった姿が目に焼き付いて離れない。だからこそ、見るようにしてるところもあるわけで……、我ながら浅ましいとは思うけれど、これはもう男の性ということで何とかしてもらおう――親子じゃなかったらそう思えただろう。
でも、俺たちは親子だ。
万に一つでもそういう可能性を作っちゃいけないんだ。
だから、すぐに瑠美から離れなくては。
そう思いつつも、我慢しきれなくて。
「とあー」
寝ぼけたような調子で瑠美がしてきたキスを、拒むことはできなかった。
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