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第74話 ファイデル王国vsゲランド帝国 2

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『そ、そんな・・・。こんなはずでは・・・
俺はあいつらの掌の上だったのか・・・』
リゲルがうわごとの様に呟く。

すると頭上を大きな影が通過して背後にそれがゆっくり降り立つ。

嫌な汗が落ちる。

帝国陣営がゆっくりと振り向くと見上げる程のレッドドラゴンが羽を広げて吼える!

『グゴワァァァァァァ!!!!!!!』

帝国陣営はドラゴンを見上げて立ち尽くし失禁しながら何かしらの覚悟をした。

『な、何なんだ・・・あいつらは・・・こ、これが・・あいつの言っていた従魔か・・』

身体を震わせ絶望感に襲われ自分が何に喧嘩を売っていたのか後悔した。
そして最後の切り札を握りしめる。

観客席も唖然として一瞬静まり返る。
『ま、まさかドラゴンが従魔だったのか・・』

『う、噂に聞いたドラゴンテイマーか・・』

『こ、こんなの・・・次は私達が対戦よ・・
勝てっこないよ・・・・』


ドラゴンは立ち尽くす帝国陣営を両手で鷲掴みにして中央へ投げ飛ばす。
『うあぁぉぁ!!助けてぇぇぇ!!ぶぅぇぇぇぇぇ!!!!』
どざざぁぁぁーーー!!
総勢32名の帝国陣営が中央に集まる。

そしてエルが悪い顔で微笑み指を振る』
『ノームちゃん!お・ね・が・い!』

ノームは張り切って飛び出し地面に手を置くと岩の壁が迫り出し帝国陣営を、コの字に取り囲む。

『おいおい!あれは精霊じゃねーか!!』

『ドラゴンテイマーに精霊使い?!どうなってるんだ!!』

『だから!次は私達が対戦するのよ!!!
どうするのよ!!!!』

ゲランド皇帝も驚愕する。
『な、なんだと!?ドラゴンに精霊だと?!
ファイデルめぇぇぇ!!どこでこんな・・・
・・ふん!!だが、我が国に取り込めば・・・クククッ』


退路を断たれた帝国陣営を見据える。

『あんた達!よくも平気でルールを破ってくれたわね!!覚悟しなさいよ!!』
パルが腰を手に言い放つ!!

リゲルはただならぬ殺気に追い詰められ覚悟を決める。

『クソォォ!!どうにでもなれぇぇぇ!!』

やけくそになり懐の宝玉を地面に叩きつける!!

バリン!!!
宝玉が割れ光が溢れだし魔法陣が描かれる!

そして魔法陣の中央から光に包まれた鎧を身に纏い、光を放つ剣と盾を持った身長3m程の女性が顕現する。

ゲランド皇帝が椅子から立ち上がる!!

『なっ!!あ、あれは〈ヴァルキリーの宝玉〉!!!
リゲルの奴!!!こんな所で帝国の切り札を使うとは!!!!』

まずいぞ!まずいぞ!
あいつは帝国を恨んでいるんだぞ!!
リゲルの奴!!帝国を滅ぼす気か?! 

『帝国にはあんな奥の手まであるのかよ!』
ギエンが女性を見上げる。

女性がリゲルを見下ろす。
『貴様が我を解放したのか?!』
『そうだ!俺が解放してやったんだ!目の前の奴らを倒せ!!俺達を助けろ!!』
リゲルは必死に訴える。
『ふむ。良いだろう。礼代わりに一度だけ手を貸してやろう。』

女性がこちらを向き見下ろし剣をこちらに向ける。
『我は光の精霊ヴァルキリー!!お前達に怨みはないが覚悟しろ!』

『今、精霊って言ったよな・・・・』
ギエンがエルを見る。
『えぇ、言ったわね・・・』
パルもエルを見る。
そして皆もエルを見る。
弟子達が頷き、エルをヴァルキリーの前に進ませ見守る。
エルがキョトンと首を傾げる。

『ん?何のつもr・・・・』

ヴァルキリーが目を見開き、汗を垂らして小刻みに震え出す。

『ま、ま、まさか・・・こ、こんな所に・・』

次の瞬間!光の速さで盾と剣を投げ捨てエルの前に土下座する!

『し、し、失礼致しましたぁぁぁぁぁ!!!
せ、せ、精霊王様とは気付かずに申し訳ございませんんんんんんん!!!!』

弟子達は思った通りの展開に苦笑いしている。

リゲル達は目の前で何が起こっているのか分からない。
3mの女が小さな女の子に土下座している姿・・・。

『お、おい!!女!!何をしている!!
さっさと、そいつらを片付けろ!!』

すると、ヴァルキリーは鬼の形相でリゲル達を睨み付ける。

『黙れぇぇぇ!!貴様らぁぁぁぁ!!
ここに御座すお方を何方と心得る!!!
我らが王!!
精霊王様で有らせられるぞ!!!
頭が高いわぁぁぁぁ!!』

ヴァルキリーはリゲルを蹴り飛ばす!

リゲル達はボーリングのピンの様に弾け飛んで壁に激突する。

『げはぁぁぁぁ!!ぐふっ!!』

『ば、馬鹿な!せ、精霊王だと・・・そ、そんなもの御伽噺の存在だろう?!
て、帝国の切り札さえも・・・何の役にも立たないのか・・・』
もう立ち上がる事すら出来なくなっていた。

『ば、馬鹿な!!あのヴァルキリーを従えただと?!』

ゲランド皇帝は驚愕を越えて恐怖した。
(どうなっているんだ?!あいつらは!!!
わしは何に喧嘩を売っているんだ・・・?
何を懐に呼んだのだ・・・)

自分が取り返しの付かない事をしていると気付き始めたのだった・・。
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