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第142話 魔神誕生

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『くっ!ここは・・・俺はどうなった・・・そ、そうか・・・ダンジョンに迷い込んで・・・あのクソゴーレムと相打ちになったんだ・・・どれぐらい時間が経ったんだ?
それより俺は何故生きてる?それに・・・この湧き上がる力は・・・ま、まさか・・・〈魔神〉・・・に進化したのか?!
そう言えば・・このダンジョン・・・〈試練の間〉とか言ってたな・・・進化する為の試練か?!』

男は立ち上がり身体を動かして確認すると闘気を解放する。

『ふんっ!!』

男の全身から禍々しいオーラが立ち登る!周りの壁が震えて崩壊し始める。

ごごごごご・・・・

『こ、これは・・・やはり〈魔神〉に進化したんだ!
クックックッ!!これで俺様を小馬鹿にした人間共に仕返ししてやるぞ!!
待っていろよ!〈剣聖ゼリオン〉!!』


『あと半日も行けば〈ゼリオン王国〉領内の
第二都市〈サリオン〉だ。』
目の前に座る冒険者の男が教えてくれる。

『そうか!凄いでかい街だから見応えがあるって前の村で聞いたんだ!凄い楽しみだよ!』
ギエンのテンションが上がっている。
すると【索敵】に様子がおかしい36人の反応が出て表情から笑顔が消えて立ち上がる。

『おい!どうした?!危ないぞ!』

『この先で盗賊に襲われているみたいだ!6人が囲まれている!間に合ってくれ!!』

ギエンは言うが早いか馬車から飛び降りて馬車を追い越して走り去る。

『な、なんだって?!ってもう居ない・・・
アイツ・・・何者だ?』
男が首を傾げる。


『ミルア様〈サリオン〉まであと少しの辛抱でございます。』

『そう。早く叔父様に会いたいな!』

どがががががっっっ!!!!!
突然馬車が急停車して馬車が激しく揺れる!

『何?!どうしたの?!』

『ミルア様!盗賊です!!馬車から出なでください!!』

護衛の男が外へ出て行くと、外に居た護衛達が盗賊に囲まれて剣を構えている。

『貴様ら!エンダル王国の一行と知っての事か?!』
護衛のリーダーが盗賊達に言い放つ。

盗賊の男がニヤつきながら前に出る。
『へっ!そんなもん知らねぇーよ!!金目の物と女が手に入ればなんでも良いんだよ!!
それで、、たった4人でどうするつもりだ?!』

するとミルアが馬車から飛び出す!!
『5人よ!!〈ファイヤーアロー〉!!!』

馬車の上から10本の炎の矢が降り注ぐ!!

どどどどどどっ!!!!

『ぐわっっ!!!魔法使いか?!お前ら!!あの女を捕まえろ!!』

『ミルア様!!させるか!!』
護衛達は馬車の前にいるミルアの前に立ちはだかる!!

『私も戦うわ!!こんな奴らに好き勝手させないわ!!』

『ふん!!生意気なガキだな!!魔法を使う前に捕まえろ!!全員で掛かれぇぇぇ!!!』

盗賊達が一斉に襲い掛かる!!
護衛達が身構えたその瞬間!襲い掛かった男達が吹き飛んだ!!

『ぐぎぁっ!!!ぐはっ!!ぶへっ!!』

そして男達に勢いよくタックルをぶちかましたギエンが現れる!

『ふう!間に合ったか!!あんた達怪我はないか?!』

護衛達とミルアは突然現れた男に呆気に取られていた。
そして我に返り声をかける。

『あぁ、大丈夫だ。助太刀感謝する!!』

ギエンは呆気に取られて固まっている盗賊に指を差す!!

『おい!お前ら!!くだらない事してないで働けよ!!
命が惜しかったら武器を捨てて罪を償え!』

盗賊は倒れた男達を見て動揺している。
『お、お前!!何をした?!何が起こった?!
く、くそっ!!!お前ら!!なんとかしろ!!こいつを・・・・』

すると後ろからミルアの声が上がる。
『〈ファイヤーアロー〉!!!』
問答無用で男達に炎の矢が降り注ぐ!!

『ぎやぁぁぁぁぁ!!!!』
『うぎゃぁぁぁぁ!!!!』
『あぢぃぃぃぃぃ!!!!』

『あんた達みたいな弱い者から奪って来たクズは許される訳が無いわ!!!
今ここでぶっ飛ばしてやるわ!!』
ミルアがのたうち回る盗賊達に言い放つ!!

ギエンは思わず振り返る!!
(へぇー!俺達と同じ事考えてるのか!!
面白い子だな!!)

この出会いが〈ゼリオン王国〉の命運を左右するとはこの時誰も思わなかった。

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