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第161話 試練のダンジョン 2

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ダンジョンに足を踏み入れると中は明るく細い通路の先に金属の扉がある。
そして扉の先には【索敵】に反応するものは何も無かった。

しかし3人の頭の中に【危機感知】が鳴り響く。
『罠だな・・・恐らく分断系か包囲系だろうな。中に入ったら壁側を進んで様子を見よう。』

セルナとデンバーが無言で頷く。

ジンは扉をそっと開けて中を覗くと息を飲み驚愕する!
それは辺り一面の砂漠であった・・・遥か彼方に地平線が揺れている。壁など無いのである。
セルナとデンバーも唖然として扉の先を眺めている。

『・・・こ、これが神のダンジョン・・想像を越えて来たわね・・・。』
セルナから緊張が伝わってくる。

『俺も数百年生きているがこんなダンジョンは初めてだ・・・これで罠の正体は分かった・・・』
デンバーが覚悟を決める。

『あぁ、十中八九包囲系の罠だ・・・中に入ったら囲まれるぞ!
力を溜めろ!!行くぞ!!』

『はい!師匠!!』
『おう!!!』

3人が扉を潜ると扉が消え砂漠のど真ん中に降り立った。
すると地響きと同時に【索敵】に無数の反応が現れる!!

ジンが叫ぶ!!
『来るぞ!!先手必勝!!!』

『『【闘気解放】!!!』』
『【魔力解放】!!!】』

ジンは地面に向けて大技を繰り出す!!
『【槍神技奥義 旋風烈波】!!!!』

ジンが繰り出した巨大な闘気の竜巻は地面から出てきた魔物を巻き上げて切り刻む!!
そして消える事なく縦横無尽に巻き上げて行く!!

『さすが師匠!!!私もいくわ!!!
【槍神技奥義 螺旋牙突】!!!』

セルナが大技を放つと闘気の塊が螺旋状にうねり砂を巻き上げ魔物を飲み込んでいく!!   

『さあ!!行くぞ!!闇に彷徨え!!【暗黒魔法最上位 暗黒孔】!!!】

デンバーがかざす手の先に巨大な黒い穴が現れる!そこに地面から這い出て来た魔物達が問答無用で飲み込まれて行く!!


『ば、馬鹿なぁぁぁぁぁ!!レベル5000のゴーレム達が・・・姿を現す前に・・・殲滅されて行くぅぅぅぅ!!!!
あの時、せいぜいレベル4000だったはずだ!!!一体こいつ等のレベルは・・?!
くっ!仕方ない・・・アレを出すか・・・
まさかこんな所で出す事になるとは・・』

『ジン様!流石に雑魚と言えど強いですね!手応えを感じます!』

ジンの口元が緩む。
『あぁ、師匠の力が無かったら危なかったかもしれないな!
さすが師匠だ!先見の目が違う!』

『同感だ!俺達魔族にも力をくれたハヤトには感謝しかないぞ!!』
デンバーが笑顔で残りの魔物を殲滅している。

『さあ!まだ来るぞ!!油断するなよ!!』
ジンが檄を飛ばす!!

『ジン達はレベル5000の魔物達を倒し続けレベルも爆発的に上がっていた。』

『ジン様!粗方片付きましたね!!
レベルが上がったお陰で楽になりました!』

セルナが話し掛けるがデンバーもジンと同じ事を考えているらしく警戒している。

(こんなものか・・・ダンジョンには驚いたが・・・いや・・ダンジョンにはボスが付き物のはずだが・・・)

すると突然3人の【危機感知】が鳴り響く!!
『セルナ!!そこから離れろ!!!』
ジンが叫ぶが早いかセルナは飛び退く!!

『よっとぉぉぉ!!!分かってますよ!!』

砂を吹き飛ばし現れたのは身長3m程の人型の黒い塊だった。

ジンは嫌な予感がして【鑑定】をする。
『レベル・・・35788・・・今の俺達とほぼ同じ・・・いや・・上だ・・ステータスは・・・ん?』
ジンは警戒を最大に上げると同時に首を傾げる。

『そ、そんな・・・私達よりも・・上?!』
セルナが動揺する。

デンバーも【鑑定】をするとニヤリと笑う。
『ほほう。中々面白い趣向だな!
セルナよ!何か忘れては居ないか?!俺達は〈英雄ハヤト〉の弟子だぞ!!
レベルだけを見るな!!』

『そ、そうだよね!デンバーさん!ありがとう!!
そうよ!私は〈英雄ハヤト〉の弟子よ!!
鍛え方が違うわ!!行くわよ!!』

するとどこからともなく声が聞こえる。

『ふははは!そのゴーレムを倒せたらこのダンジョンは攻略だ!
ただしそのゴーレムは相手のレベルに合わせて強くなるぞ!
さあ!抗ってみよ!傷の1つでも付けれたら褒めてやるぞ!!』

ジンは槍を一振りしてゴーレムに突きつける!
『ふん!〈英雄ハヤト〉の弟子を舐め過ぎだな・・・レベルに合わせて強くなる?
それで強くなったつもりか?
見せてやるぞ!〈英雄の弟子達〉の力を!』
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