神の手違い転生。悪と理不尽と運命を無双します!

yoshikazu

文字の大きさ
154 / 201

第154話 戦争

しおりを挟む
「ま、間に合ったか・・・」

どさっ・・・

リーゲルトは全身の力が抜け椅子に身体を預け天井を見上げた。

側で一部始終を見ていたマーレン村の村長ロギルが半笑いで引き攣っていた・・・

「はは・・・ガ、ガイン殿・・・メルト村とは一体どんな村なんだ・・・メルト村を敵に回せば、特級帝国騎士団500人を全滅?!ドルビナ帝国が滅亡?!物凄く恐ろしい村に聞こえるのだが・・・」

ガイン達は顔を見合わせながどう説明して良いのか思案するがガインが口を開く。

「ロギル殿。難しく考えないでくれ。俺の村は他の村と変わらない。皆が笑って楽しく過ごしている。ただ・・・相手が何であろうと仲間を護る為なら全力で立ち向かう。そういう村だ。もちろんその仲間にはロギル殿の村も入っている。何かあったら力になる!遠慮なく尋ねて来てくれ!」

ガインがロギルに向かって手を出すとロギルがその手をガッチリと握る。

「うむ・・少し考えすぎたようだ。ガイン殿が村長である村が恐ろしい訳が無い!何か事情があるのだろう。ならば!これからよろしく頼む!」

「あぁ!こちらこそ頼む!」

ガインとロギルの姿を見てマーレン村の人達も緊張が解けて表情が緩むのであった。



そしてここに思惑が外れて途方に暮れる者達が居た・・・

「おい!!ドランゴ!!どういう事だ!!」

山賊の頭ガルドが詰め寄るが負けじと盗賊の頭ドランゴも額をぶつける!

「し、仕方ないだろう!!奴等が命欲しさに退却したんだ!!とにかく!メルト村はドルビナ帝国すら手を出せない村って事なんだよ!!」

「ぬぐぐ・・・くそっ・・俺達の生業もメルト村次第って事か・・・忌々しいぜ・・・」

「か、頭!!駄目ですぜ!メルト村を悪く言ったら・・・」

山賊団の下っ端が言った瞬間、山賊団の頭ガルドの足に木の蔓が巻き付いた・・・

「ぬおぉぉぉ!!メルト大好きぃぃぃぃ!!メルト村万歳ぃぃぃぃぃ!!!!!」

ガルドが一瞬抱いた悪意を振り払うように必死で声を上げる!すると木の蔓がスルスルと床に消えて行った・・・

「はぁ、はぁ・・・危なかったぁぁぁ・・・俺達・・縄張りを変えた方が良いかも・・」

ガルドは肩で息をしながら頭を抱えるのであった。



そしてドルビナ帝国に朝が訪れ皇帝陛下との決戦にガイン達の表情が引き締まる。しかし・・・ガイン達が宿を出ると剣を抜き殺気を纏った数百人の兵士に取り囲まれた・・・

「メルト村の一行だな!!俺は近衛兵隊長バルバスだ!!皇帝陛下がお呼びだ!!大人しくしろ!!」

隊長バルバスがガインの鼻先に剣を突き付けた。

「あらら・・・大勢でお出迎えよ。気が早いわね・・・」

「まるで癇癪を起こした子供ですね・・・」

「はぁ・・・出迎えご苦労さん。俺達は逃げも隠れもしないぞ。それに・・そんな物騒な物を突き付けていると大変な事になるぞ?」

バルバスはニヤリと口元を歪める。

「黙れ!!大人しくしろと言っている!!いいか?!貴様達が助けた奴等に追手をかけた。言う通りにしなければ皆殺しだ!!分かったか?!・・・っ?!」

「あ゛っ?!」

ビキッ・・・
パキッ・・・
ピキッ・・・

その瞬間ガイン、アンリル、サリアの魔力が溢れ出し周りの建物の窓ガラスが震えひびが走った・・・

そしてガインが静かに動く・・

スヒュンッ・・・

キンッ・・・

バルバスの目には何をされたのかも分からず鍔鳴りだけが耳に響いた。

「な、何だ?!動くな・・・」

そしてバルバスの目には自分が突き出していた剣が肩からゆっくりと落ちて行くのが見えた・・・

「うえっ?!腕が・・・俺の・・・う、うぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!俺の腕ぇぇぇぇ!!!!」

バルバスがその場で崩れ落ちのたうち回る姿をガインが冷たい目で見下ろす。

「貴様等は俺達を怒らせるスキルでも持っているのかぁぁぁ?!ふん!さあ・・・隊長がやられたぞ?!貴様等はどうする?」

ガインが闘気を纏い取り囲んだ兵士達を見据えるとのたうち回っていたバルバスが苦悶の表情で叫ぶ!!

「お前等ぁぁぁぁ!!!こいつ等をぶち殺せぇぇぇぇ!!!帝国に逆らったらどうなるか後悔させろぉぉぉぉぉ!!!クックック・・もちろんお前等が助けた奴らも皆殺しだぁぁぁ!!残念だったなぁぁぁぁぁ!!!」

バルバスの号令に兵士達が襲い掛かる!ガインが剣を抜こうとした瞬間!背後で魔力の高まりを感じ剣から手を離した・・・

「ふっ・・・任せた。」

「・・・〈アイスエッジ〉・・」

一瞬であった・・・襲い掛かって来た兵士約200人がその場で氷の彫刻となった。そして魔力を垂れ流したアンリルは冷たい目で下半身のみを凍結させたバルバスに近寄り顔面を踏み躙った。

びきびきっ!!

「あぐっ!!や、やべろぉぉ!!」

「・・・さっきから五月蝿いわ・・・要するにドルビナ帝国は私達に・・メルト村に生き死にの喧嘩を・・・戦争を仕掛けて来た!!ふん!やろうじゃないの!!徹底的ににやってやるわ!!」

アンリルの足に力が入りバルバスの顔の形が変わる!

「や、やべろぉぉぉ!!やぶらがどぶなっべもびいのがぁぁ!!」

(や、やめろぉぉぉ!!奴らがどうなってもいいのかぁぁ!!)

「・・・はぁ。もしかしてあなたの言ってる追手ってこれの事?」

サリアが軽く手を挙げると虚空に全身の骨を砕かれ白目をむいた十人の男達が折り重なって浮いていた・・・

「なっ?!」

そしてジンがサリアの前に降り立つ。

「主様。エントに頼まれてゴミを持って参りました。いかが致しましょうか。」

サリアは既にエントからロギル達の馬車に悪意を持って迫る男達がいると報告を受けていた。そこで動けなくして証拠として連れて来るように頼んでいたのだった。

「そうね。その辺に捨てて良いわ。」

「はい。かしこまりました。」

ジンがゴミを捨てるように手を振ると宙に浮いた男達の浮力が無くなり一気に落下する。

どさどさどさどさっ・・・

「ぐえっ・・」「うぐっ・・」「うぅぅぅ・・」

男達は動く事も出来ずにただ呻く事しか出来なかった・・・

「さぁ。これでロギルさん達は無事よ。次の手は何かな?無ければぁ・・・」

サリアはチラリとジンを見上げるとバルバスがアンリルの足の下で慌ててもがく。

「ま、待て!!わ、分かった!お前等の勝ちだ!!も、もう行っていい!!だ、だから・・・腕を治してくれ・・・な・・・」

「〈フローズン〉!・・・馬鹿なの?図々しいにも程があるわ!!」

「ぐっ・・が・・」

バルバスはアンリルの足の下で完全に凍りつくのであった・・・


「さあ。行くわよ!もう遠慮する事なんて無いわ!気が済むまで暴れるわよ!!」

「おう!王宮に殴り込みだ!!」

「私も久しぶりに頭に来てるからね!きっちりお仕置きしてあげるわ!!」

アンリル達は氷の彫刻の間をすり抜け王宮へと向かった。そしてその後ろ姿を見送るリーゲルトがいた。

リーゲルトはドルビナ皇帝陛下に特級帝国騎士団の敗北とレバイト団長の末路を報告していたのだ。

「あぁ・・やはりな・・馬鹿な事を・・・もう誰も止められまい・・・私も身の振り方を考えねば・・・」


バァァァン!!

謁見の間の扉が勢いよく開かれ偵察隊の男が飛び込んで来た。

「ほ、報告致します!!!」

「何だ!騒がしいぞ!!」

「も、申し訳ありません!!ほ、報告致します!!さ、先程メルト村一行を捕らえに行ったバルバス隊長率いる近衛隊が・・・全滅しました!!」

「な、何だとぉぉ!!」

「ぜ、全員治療中です。辛うじて命には別状は無いとの事ですが・・・再起は難しいとの事です・・・」

皇帝が鬼の形相で立ち上がりこめかみを震わす・・・

「おのれぇぇぇ!!!我がドルビナ帝国に楯突きおってぇぇぇ!!!奴等を追え!!そして村ごと焼き払えぇぇぇぇ!!!」

ドルビナ皇帝の怒声が部屋中に響き渡る・・

「へ、陛下!」

「何だぁ!!早く行けぇぇぇ!!」

「陛下!!お聞きください!!メルト村一行は真っ直ぐここへ向かって来ております!!」

「な、何ぃぃぃ・・・」

どごぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!

ドルビナ皇帝が声を上げたその時!爆音と共に王宮が大きく揺れるのであった・・・・
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!

yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。 だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。  創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。  そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。

封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう
ファンタジー
「魔王を押さえつけている今のうちに、俺ごとやれ!」と自ら犠牲になり、自分ごと魔王を封印した英雄ゼノン・ウェンライト。 突然目が覚めたと思ったら五百年後の世界だった。 しかもそこには弱体化して少女になっていた魔王もいた。 魔王を監視しつつ、とりあえず生活の金を稼ごうと、冒険者協会の門を叩くゼノン。 英雄ゼノンこと冒険者トントンは、おじさんだと馬鹿にされても気にせず、時代が変わってもその強さで無双し伝説を次々と作っていく。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

神様の人選ミスで死んじゃった!? 異世界で授けられた万能ボックスでいざスローライフ冒険!

さかき原枝都は
ファンタジー
光と影が交錯する世界で、希望と調和を求めて進む冒険者たちの物語 会社員として平凡な日々を送っていた七樹陽介は、神様のミスによって突然の死を迎える。そして異世界で新たな人生を送ることを提案された彼は、万能アイテムボックスという特別な力を手に冒険を始める。 平穏な村で新たな絆を築きながら、自分の居場所を見つける陽介。しかし、彼の前には隠された力や使命、そして未知なる冒険が待ち受ける! 「万能ボックス」の謎と仲間たちとの絆が交差するこの物語は、笑いあり、感動ありの異世界スローライフファンタジー。陽介が紡ぐ第二の人生、その行く先には何が待っているのか——?

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...