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第六章 ゲームにはない日々
土曜日の約束
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授業のある日は修練場の上でキスをし、週末の予定を確認する。
お互いの時間が合うと決まったら、アレンの部屋で落ち合った。
合鍵を渡すとも言われていたが、さすがに師匠が借りてくれた部屋の鍵をもらうわけにはいかない。
ただでさえ、その部屋を使わせてもらっていることに罪悪感がある。
その上、我が物顔で出入りするなんてやっぱりおかしい。
土曜日の午前中に部屋に行き、何度も身体を重ねた。
疲れ切って眠り、起きるとまた抱き合った。
ただ欲望のままに貪り合うだけじゃない。
ベッドの上で過ごしながら、たくさん話もした。
アレン自身の話、預けられていた師匠の話。
そして、これまで誰にも言わなかった、俺の家族の話も。
この世界での俺の両親は、早くに離婚した。
平民社会でも一度結婚したら別れないのが常識だ。
だが、両親は呆気なく離婚し、母親は俺を置いて出て行った。
近所では噂でもちきりになり、俺の家は孤立した。
父親は気に留めた様子もなく、どこからか風変わりな女性を家に連れてきていた。
あまりに短期間で相手が変わるため、もういちいち覚えていない。
ただ、そのうちの一人だけは深く印象に残っている。
父がいない時にも現れて、俺の世話をしてくれていた。
俺にとっては唯一といってもいいほどに尽くしてくれた人だ。
ある日、俺の母親になりたいと言い出した。
俺も、この人が母親なら嬉しいと思った。
だが、俺に圧し掛かってキスをしようとしたことで状況は一変した。
父親は、烈火のごとく怒りだし、俺を何度も殴った。
そして、何日も経たないうちに、俺を全寮制の年少舎に入れた。
父親には、それっきり会ったことはない。
このセツァーレン学園には奨学金で入ったため、今は金銭的な援助すらも受けていない。
要するに、父親は俺を捨てたのだ。
最後に顔を見てから、もう10年だ。さすがに諦めもつく。
子供の頃には、いつか理由がわかると思っていた。
母親が俺を捨てた理由も、父親が俺を殴った気持ちも。
だが、16になった今も、両方の気持ちが俺にはわからないしわかりたくもない。
そのせいだろうか。
気付けば両親の気持ちだけではなく、誰の気持ちもわからなくなってしまっていた。
こんなに鈍感になっていたことに、アレンに告白される瞬間まで気付けなかったほどに。
「俺の世界を変えたのは、お前だ。アレン」
隣でじっと俺の話を聞いていたアレンに言うと、しばらく沈黙した後に訊ねてきた。
「後悔しているのか?」
「どうしてそうなる」
人の気持ちがわかるようになった方がいいに決まっている。
「アレンに出会えて良かった」
俺は、身を起こしてアレンに覆い被さり、唇にキスをした。
「セルジュ……」
すぐに俺のキスに応え、背中を抱き返してくる。
さっきまで身体を重ねていたせいか、それだけで再び欲望が昂った。
互いの身体を触り、くすぐったくて笑い合う。
だが、やがてその笑いもなくなっていき、息遣いが荒くなる。
身体を開き、夢中で貪っていたところで、俺はアレンと上下を入れ替えた。
「な……に……?」
ぼんやりと潤んだ目で問われて、俺はアレンの尻を掴む。
「上に乗ってみてくれないか?」
「……っ」
それだけで、俺が何を望んでいるのか理解したようだ。
「やり方が……わからない」
「自分で入れて、好きに動くだけだ」
「……それが、わからないんだ」
「まずは、俺の身体を跨いで」
アレンは頷き、全裸のままで俺の身体を跨いだ。
「俺のを掴んで、あてがうんだ」
今までアレンが俺のモノに触ったことはない。
だからなのか、顔を赤くしている。
「こんなに、大きい……のか」
「アレンとそう変わらないだろう」
「僕のは、こんなにここが張っていない」
そう言って、俺のカリの部分を指で辿る。
「アレンの指、気持ちがいい」
俺の言葉を聞くと、アレンは何度か手で擦ってきた。
そして、ヘソに付くほどに反り返ったところで、自分の後ろにあてがう。
俺のモノに添えた指先が震えている。
「ゆっくり腰を下ろしてみてくれ」
「……っう……く」
先端部分が少しずつ入り込み、あまりにゆっくりなため、焦らされている気分になった。ずぶずぶと一気に入れるかと思いきや、そうは上手くできないらしい。
中ほどまで入ったところで膝の角度を変えたため、繋がり部分が丸見えになった。あまりにじっくり見ていたせいで、アレンも気付いたらしく、慌てて膝を閉じようとする。俺は、膝頭に手を置いてそれを阻止し、下から突き上げた。
「あう……っあ……は……っ待って、……セルジュ」
逃げようとした身体を腰骨を掴んで引き戻すと、アレンは慌てたように俺の脇に両手を突く。
「いきなり、そんな……無理、だ」
「そんなことはない。もっと、腰を落として大丈夫だ」
アレンは息を乱し、俺のモノをすべて受け入れる。
もっと顔がよく見たくて頬に触れると、俺の方へと身体を倒してきた。
「……ん……っセル、ジュ……」
キスを強請られて、俺は頭を抱き寄せて唇を重ねた。
中の角度が変わり、アレンがくぐもった声を上げた。
「……んくっ……は……ふっ」
やがて、アレンの腰が揺れ、肉を打つ音がし始める。
前後に緩やかに身体を動かしながらキスを続けるアレンは、未だかつて見たことがないほどに淫らだった。
ぞくぞくと背中を快感が駆け上がり、堪らず尻を掴んでアレンの動きに合わせて突き上げる。
「んんーっ……ん……は……っきもち、いい……それ……っ」
「俺もいい。アレン。もっと上下にも動いてみてくれ」
アレンは頷き、上半身を起こして膝を使う。
手を差し出すと俺の手を掴んでバランスを取り、激しく抽送をし始めた。
交わる箇所が目の前にあり、擦られて赤くなったそこがよく見える。
俺の形に広がり、ぐぷぐぷと卑猥な音を立てていた。
俺は、アレンの動きに合わせて揺れるモノを握った。
びくりと身体が跳ねて、アレンが俺を見下ろしてくる。
「すごいな。こんなに先走りが溢れ出ている」
「あ……っそんなに、弄らないで……くれ……あっ……は」
きゅっと先っぽを潰すと、ぽたりと雫が垂れた。
「本当に、だめ……だっ……イく、から……っ」
「イっていい」
アレンはふるふると頭を振り、熱い眼差しで俺を見てくる。
「一緒に、イきたい……セル、ジュ」
感じすぎているせいなのか、いつもよりも舌ったらずな言い方に、余計に煽られた。
俺は上半身を起こして、膝の上にアレンを座らせ、向かい合った形を取った。
「アレン……もっと、動いていい」
「もう……でき、な……」
本当に感じて動けないのだとわかり、俺はそのままアレンを背中からベッドに倒した。
そして、膝裏を掬って身体を二つ折りにするようにし、深々と穿つ。
「あう……っああ……あ……は……っんう……あっ」
動きを速め、同じ体勢で出し入れを繰り返す。
アレンの好きな場所を突くと、顎を上げて一際高い声で啼く。
こんなに感じているアレンを見るのは初めてで、俺の方がおかしくなりそうだ。
「好き……だ……セルジュ……もっと、来て……ほし……」
両手を伸ばして言われて、俺はアレンの上へと倒れ込む。
「んんっ……セルジュ……は……っふ……んん」
アレンの方からキスをせがみ、唇を合わせたまま律動する。
「アレン……もう、出るっ……」
「出して……僕の、中に……っ」
切羽詰まった声で言われて、俺はアレンの中を激しく搔き乱した。
「あっ……イく……セルジュ……っ!」
「う……はっ……く」
ほぼ同時に達し、俺はアレンの中に出した。
「は……う……あ……っ」
中に注がれた俺の精液にすらもアレンは感じるらしく、びくんと身体を跳ねさせる。
鼓膜が揺すぶられるような激しい息遣いの中、俺たちはまたキスをした。
「んん……っは」
「ん……ふ……っ」
互いに夢中で貪り、身体の熱が引くまで重なったままでいた。
ゆっくりと引き抜くと、どろりと俺の出したものが零れる。
その眺めにすら昂ぶり、危うくまた繋がりたくなった。
「もう、無理……だ」
俺の気持ちに気付いたのか、アレンが息も絶え絶えに言う。
「わかっている。心配しなくていい」
俺は、起き上がってアレンの身体を拭いてやり、先にシャワーを浴びに行った。
アレンは、俺がシャワーを浴びている間、眠ってしまっていたらしい。
俺が戻ると薄っすらと目を開けて、柔らかく微笑んだ。
「僕も、浴びてくる」
「一人で大丈夫か? 手伝うが」
「……恥ずかしいから、一人にして欲しい」
アレンは顔を赤くして、ふらつきながら中に入り、しばらく出てこなかった。
俺はその間に遅い昼食の準備をした。
裸のままタオルだけ身に着けて、ベッドの上で持ち寄ったものを食べる。
「僕が口に入れようか?」
俺が口を開けると、くすくすと笑いながら果物の実を食べさせてくれた。
土曜日はあっという間に終わり、俺たちはベッドを出て服を身に着け、いつも通り部屋中を片付ける。洗い物をし、シーツを干して、きれいにしてから部屋を出た。
部屋の扉の中でもう一度キスをし、名残惜しく思いながら身体を離して、別々に寮に帰る。
学園に向かう道を一人で歩いているうちに、寂しさが募っていく。
それでも、また明後日になれば、修練場の屋上で会える。
俺は、さっきまでの幸せな時間を反芻しながら、寮の中へと入った。
「最近、忙しそうだな」
部屋に戻ったところで、ベッドにいたオルリアンに言われた。
何と答えるのが正解かわからずに、「そう見えるか?」と訊き返した。
すると、俺の方を見ることもなく一動作で立ち上がり、ポンとベッドに本を置いて部屋を出て行こうとする。
すれ違いざまに足を止め、オルリアンは小声で言った。
「うまくやれよ」
横目で俺を見てくるその様子に、どこまで知っているのかと、恐ろしくなった。
この学園は、恋愛を認めてはいない。
禁止するまではいかないが、目立てば呼び出されて注意を受ける。
場合によっては、罰を受けたり処分されることもあり得る。
だから、生徒たちはこっそり陰で付き合って、大っぴらにしない。
それは、異性であれ同性であれ変わらない。
だが、やはり同性同士の方が厳しい目を向けられるのは確かだ。
オルリアンの言葉を聞いて、もっと注意深くしようと感じた。
傷つくのは、俺だけでは済まない。
そこだけは、忘れてはならない。
お互いの時間が合うと決まったら、アレンの部屋で落ち合った。
合鍵を渡すとも言われていたが、さすがに師匠が借りてくれた部屋の鍵をもらうわけにはいかない。
ただでさえ、その部屋を使わせてもらっていることに罪悪感がある。
その上、我が物顔で出入りするなんてやっぱりおかしい。
土曜日の午前中に部屋に行き、何度も身体を重ねた。
疲れ切って眠り、起きるとまた抱き合った。
ただ欲望のままに貪り合うだけじゃない。
ベッドの上で過ごしながら、たくさん話もした。
アレン自身の話、預けられていた師匠の話。
そして、これまで誰にも言わなかった、俺の家族の話も。
この世界での俺の両親は、早くに離婚した。
平民社会でも一度結婚したら別れないのが常識だ。
だが、両親は呆気なく離婚し、母親は俺を置いて出て行った。
近所では噂でもちきりになり、俺の家は孤立した。
父親は気に留めた様子もなく、どこからか風変わりな女性を家に連れてきていた。
あまりに短期間で相手が変わるため、もういちいち覚えていない。
ただ、そのうちの一人だけは深く印象に残っている。
父がいない時にも現れて、俺の世話をしてくれていた。
俺にとっては唯一といってもいいほどに尽くしてくれた人だ。
ある日、俺の母親になりたいと言い出した。
俺も、この人が母親なら嬉しいと思った。
だが、俺に圧し掛かってキスをしようとしたことで状況は一変した。
父親は、烈火のごとく怒りだし、俺を何度も殴った。
そして、何日も経たないうちに、俺を全寮制の年少舎に入れた。
父親には、それっきり会ったことはない。
このセツァーレン学園には奨学金で入ったため、今は金銭的な援助すらも受けていない。
要するに、父親は俺を捨てたのだ。
最後に顔を見てから、もう10年だ。さすがに諦めもつく。
子供の頃には、いつか理由がわかると思っていた。
母親が俺を捨てた理由も、父親が俺を殴った気持ちも。
だが、16になった今も、両方の気持ちが俺にはわからないしわかりたくもない。
そのせいだろうか。
気付けば両親の気持ちだけではなく、誰の気持ちもわからなくなってしまっていた。
こんなに鈍感になっていたことに、アレンに告白される瞬間まで気付けなかったほどに。
「俺の世界を変えたのは、お前だ。アレン」
隣でじっと俺の話を聞いていたアレンに言うと、しばらく沈黙した後に訊ねてきた。
「後悔しているのか?」
「どうしてそうなる」
人の気持ちがわかるようになった方がいいに決まっている。
「アレンに出会えて良かった」
俺は、身を起こしてアレンに覆い被さり、唇にキスをした。
「セルジュ……」
すぐに俺のキスに応え、背中を抱き返してくる。
さっきまで身体を重ねていたせいか、それだけで再び欲望が昂った。
互いの身体を触り、くすぐったくて笑い合う。
だが、やがてその笑いもなくなっていき、息遣いが荒くなる。
身体を開き、夢中で貪っていたところで、俺はアレンと上下を入れ替えた。
「な……に……?」
ぼんやりと潤んだ目で問われて、俺はアレンの尻を掴む。
「上に乗ってみてくれないか?」
「……っ」
それだけで、俺が何を望んでいるのか理解したようだ。
「やり方が……わからない」
「自分で入れて、好きに動くだけだ」
「……それが、わからないんだ」
「まずは、俺の身体を跨いで」
アレンは頷き、全裸のままで俺の身体を跨いだ。
「俺のを掴んで、あてがうんだ」
今までアレンが俺のモノに触ったことはない。
だからなのか、顔を赤くしている。
「こんなに、大きい……のか」
「アレンとそう変わらないだろう」
「僕のは、こんなにここが張っていない」
そう言って、俺のカリの部分を指で辿る。
「アレンの指、気持ちがいい」
俺の言葉を聞くと、アレンは何度か手で擦ってきた。
そして、ヘソに付くほどに反り返ったところで、自分の後ろにあてがう。
俺のモノに添えた指先が震えている。
「ゆっくり腰を下ろしてみてくれ」
「……っう……く」
先端部分が少しずつ入り込み、あまりにゆっくりなため、焦らされている気分になった。ずぶずぶと一気に入れるかと思いきや、そうは上手くできないらしい。
中ほどまで入ったところで膝の角度を変えたため、繋がり部分が丸見えになった。あまりにじっくり見ていたせいで、アレンも気付いたらしく、慌てて膝を閉じようとする。俺は、膝頭に手を置いてそれを阻止し、下から突き上げた。
「あう……っあ……は……っ待って、……セルジュ」
逃げようとした身体を腰骨を掴んで引き戻すと、アレンは慌てたように俺の脇に両手を突く。
「いきなり、そんな……無理、だ」
「そんなことはない。もっと、腰を落として大丈夫だ」
アレンは息を乱し、俺のモノをすべて受け入れる。
もっと顔がよく見たくて頬に触れると、俺の方へと身体を倒してきた。
「……ん……っセル、ジュ……」
キスを強請られて、俺は頭を抱き寄せて唇を重ねた。
中の角度が変わり、アレンがくぐもった声を上げた。
「……んくっ……は……ふっ」
やがて、アレンの腰が揺れ、肉を打つ音がし始める。
前後に緩やかに身体を動かしながらキスを続けるアレンは、未だかつて見たことがないほどに淫らだった。
ぞくぞくと背中を快感が駆け上がり、堪らず尻を掴んでアレンの動きに合わせて突き上げる。
「んんーっ……ん……は……っきもち、いい……それ……っ」
「俺もいい。アレン。もっと上下にも動いてみてくれ」
アレンは頷き、上半身を起こして膝を使う。
手を差し出すと俺の手を掴んでバランスを取り、激しく抽送をし始めた。
交わる箇所が目の前にあり、擦られて赤くなったそこがよく見える。
俺の形に広がり、ぐぷぐぷと卑猥な音を立てていた。
俺は、アレンの動きに合わせて揺れるモノを握った。
びくりと身体が跳ねて、アレンが俺を見下ろしてくる。
「すごいな。こんなに先走りが溢れ出ている」
「あ……っそんなに、弄らないで……くれ……あっ……は」
きゅっと先っぽを潰すと、ぽたりと雫が垂れた。
「本当に、だめ……だっ……イく、から……っ」
「イっていい」
アレンはふるふると頭を振り、熱い眼差しで俺を見てくる。
「一緒に、イきたい……セル、ジュ」
感じすぎているせいなのか、いつもよりも舌ったらずな言い方に、余計に煽られた。
俺は上半身を起こして、膝の上にアレンを座らせ、向かい合った形を取った。
「アレン……もっと、動いていい」
「もう……でき、な……」
本当に感じて動けないのだとわかり、俺はそのままアレンを背中からベッドに倒した。
そして、膝裏を掬って身体を二つ折りにするようにし、深々と穿つ。
「あう……っああ……あ……は……っんう……あっ」
動きを速め、同じ体勢で出し入れを繰り返す。
アレンの好きな場所を突くと、顎を上げて一際高い声で啼く。
こんなに感じているアレンを見るのは初めてで、俺の方がおかしくなりそうだ。
「好き……だ……セルジュ……もっと、来て……ほし……」
両手を伸ばして言われて、俺はアレンの上へと倒れ込む。
「んんっ……セルジュ……は……っふ……んん」
アレンの方からキスをせがみ、唇を合わせたまま律動する。
「アレン……もう、出るっ……」
「出して……僕の、中に……っ」
切羽詰まった声で言われて、俺はアレンの中を激しく搔き乱した。
「あっ……イく……セルジュ……っ!」
「う……はっ……く」
ほぼ同時に達し、俺はアレンの中に出した。
「は……う……あ……っ」
中に注がれた俺の精液にすらもアレンは感じるらしく、びくんと身体を跳ねさせる。
鼓膜が揺すぶられるような激しい息遣いの中、俺たちはまたキスをした。
「んん……っは」
「ん……ふ……っ」
互いに夢中で貪り、身体の熱が引くまで重なったままでいた。
ゆっくりと引き抜くと、どろりと俺の出したものが零れる。
その眺めにすら昂ぶり、危うくまた繋がりたくなった。
「もう、無理……だ」
俺の気持ちに気付いたのか、アレンが息も絶え絶えに言う。
「わかっている。心配しなくていい」
俺は、起き上がってアレンの身体を拭いてやり、先にシャワーを浴びに行った。
アレンは、俺がシャワーを浴びている間、眠ってしまっていたらしい。
俺が戻ると薄っすらと目を開けて、柔らかく微笑んだ。
「僕も、浴びてくる」
「一人で大丈夫か? 手伝うが」
「……恥ずかしいから、一人にして欲しい」
アレンは顔を赤くして、ふらつきながら中に入り、しばらく出てこなかった。
俺はその間に遅い昼食の準備をした。
裸のままタオルだけ身に着けて、ベッドの上で持ち寄ったものを食べる。
「僕が口に入れようか?」
俺が口を開けると、くすくすと笑いながら果物の実を食べさせてくれた。
土曜日はあっという間に終わり、俺たちはベッドを出て服を身に着け、いつも通り部屋中を片付ける。洗い物をし、シーツを干して、きれいにしてから部屋を出た。
部屋の扉の中でもう一度キスをし、名残惜しく思いながら身体を離して、別々に寮に帰る。
学園に向かう道を一人で歩いているうちに、寂しさが募っていく。
それでも、また明後日になれば、修練場の屋上で会える。
俺は、さっきまでの幸せな時間を反芻しながら、寮の中へと入った。
「最近、忙しそうだな」
部屋に戻ったところで、ベッドにいたオルリアンに言われた。
何と答えるのが正解かわからずに、「そう見えるか?」と訊き返した。
すると、俺の方を見ることもなく一動作で立ち上がり、ポンとベッドに本を置いて部屋を出て行こうとする。
すれ違いざまに足を止め、オルリアンは小声で言った。
「うまくやれよ」
横目で俺を見てくるその様子に、どこまで知っているのかと、恐ろしくなった。
この学園は、恋愛を認めてはいない。
禁止するまではいかないが、目立てば呼び出されて注意を受ける。
場合によっては、罰を受けたり処分されることもあり得る。
だから、生徒たちはこっそり陰で付き合って、大っぴらにしない。
それは、異性であれ同性であれ変わらない。
だが、やはり同性同士の方が厳しい目を向けられるのは確かだ。
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