騎士とお嬢様。

奏 -sou-

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第一章

01

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ぽかぽか陽気の午後

目的を果たして
長旅の帰り道を少し変えて帰る途中

草むらをかき分けて歩いている最中に見つけた、水底が見えるほど澄んだ湖の太陽の光で照らされキラキラと輝いている水面に吸い込まれるように惹かれて時が少し止まる。

ここ数ヶ月の旅の疲れを癒したくて、湖へと1枚、1枚服を脱ぎ捨てながら、周りを気にすることも頭の中には無くてただただ湖を求めて足先から周りの温度より低くい湖の中へとつけて行く。

初めは温度差に身震いをしてしまったけど

一度頭の先まで浸かって、
ザッパーンと勢いよく上半身を水上に出す

その頃にはあまりの気持ちよさに、「んーー!」と腕を広げて大きく息を吸ってはくと、体が水の温度に慣れて周りの鳥のさえずりや自然界の音に耳を傾けることが出来た。

『やっぱり小鳥達の冴えずりは心地いいものね』

今までの旅路で絶望的に疲れて気持ちも低下を漂ってたというのが嘘のように、心踊るような楽しい気持ちに塗りわかっていた。

そこでやっと、一緒にこの旅を付き添ってくれた旅の友が何処にいるのか探す。



やっと見つけた旅の友は、私が歩いてきた道沿いにある何千年と生き続けていることが想定できる大木に背を預けて座っていた。

何も言わず勝手な行動に出た私に、『呆れてないのかしら?』と湖からゆっくりと1度出て、少し近寄って表情を確認するがその横顔は置物みたいな無表情で剣先をみていた。

彼が無表情なのは出会った頃からだから今更、私は気にも停めないけど『きっと、喜怒哀楽がもう少し分かりやすければ顔立ちも良いし友好関係も、もっと広がると思うんだけどな、もったいない』と思ってしまう。


ふと逸れた気を取り直して、旅の友である『騎士きしも湖に浸かって私みたいに自然のエネルギーを貰ったらきっと疲れが吹き飛ぶはず』と陽気な声で湖へと誘う

「ねぇ騎士、貴方は浴びないの?」
「…上がったら入る」

使いこなされた剣の刃先から目を離して私の方を横目で見て少し考えてから発せられた騎士の言葉を聞いて、この湖を広々と独り占めできる自由にワクワクする。

「そう、わかったわ」

ニコニコ返事で来た道にくるりと体を向けて湖に戻ると、つま先からゆっくり水につけて透き通ってみえる水底の砂を見つめながら足跡を残すように歩く

足裏から伝わる砂と水の触感が何だか気持ちよくて自然と鼻歌がこぼれる。

湖を一通り奥の方まで観察してみたり、髪の毛を丹念に洗ってみたり、小さな魚が見えて少し湖の奥の方に行ってみようとウキウキ気分で潜る


そのまま泳いで進もうとしたら、急に黒い影が目の前に現れたことに気づいて驚いて顔を水上に出す。


「ぷはぁっ」と、息をして真上にある黒い影の正体を目を開けて見てみれば、そこには…

「げほっ、き、騎士…あ、後で入るんじゃなかったの?」

驚いてむせかけてる上に『驚き過ぎてどもっちゃったじゃない、恥ずかしいわ!』と一人内心焦りまくっているが『私の真後ろにいるなんて驚くに決まってるでしょう!落ち着け、落ち着くのよ』と自分を宥めながら、驚いてなんかないんだからねという平常心の様な態度で話しかけてみる。

澄んだ青色の瞳が頭上から慌てているのを見透かすように見つめていた。 

顔を真上に上げていることに首が疲れて背後にいた騎士の方へ向き直す。


「遅いから来た」

その言葉に後でと言ったものの、だいぶ騎士を待たせてしまっていたのだと理解して、久々にはしゃぎすぎてしまったのだと少し反省をする。

「ごめんなさい、待たせてしまったのね。…私は上がるからどうぞゆっくりしてね。」

しっかりと筋肉がついた騎士の胸板に軽く手を添えて少しの反省を言動で示して横を通り過ぎようと動けば、腕を掴まれてしまった。

その行動に『えっ?』と騎士の顔を見上げれば
「謝ることは無い、一緒に入ればいい。」と、相変わらずの無表情で引き戻される。

至近距離で見つめてくる騎士が何を言いたいのかイマイチ読めなくて先程中断された興味を再度追うことにした。

「んー、そうね!そしたら少し奥まで泳いでくるわ」

そう言って騎士に握られていた腕をそっと離してUターンする。

「サフィ、あまり奥に行くな」

静かに、落ち着いた声で注意をされて「えぇ、分かったわ」と返事を返しをしたものの心踊る気持ちが抑えきれず、ワクワクしながら潜って泳ぐ

湖の神秘的な世界に酔い、胸いっぱいになりながら水上に顔をあげれば先程とは違った表情をする空。

どんより雲に、『そろそろ上がった方がいいわね。』とくるりと方向転換して騎士の存在を探す。

右を見ても左を見ても、姿が見えず

騎士が190を越える身長で、体型もしっかりと筋肉がついてムキムキマッチョではなくとも存在を消すなんて難しいはずなのに、どこに行ったのかしら?と自然と首を傾げながら、自分がいる位置から陸地までの距離をはかってみた。

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