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第一章
08
しおりを挟む宿のドアを開ければ、雨は止んでおり真っ暗な夜空が広がっていた。
「サフィ、どうかしたか?」
「いえ、何もないの。まだ身体が
起きてないだけかもしれないわ。」
ドアを開けた時に軋んで擦れ出た音よりも小さくため息をついたつもりが、騎士にはしっかり聞こえていた上にスルーせずに心配そうに声を掛けてくる。
『はやく、騎士に唯一の女性が現れたらいいのに。
貴方の将来が心配だわ。』
なんて言えるはずもなくわざと言葉のキャッチボールになっていない返事をする。
要らぬ検索をされたくなくて騎士の手を取り
「ねぇ騎士、はやく行きましょう!お腹空いちゃったわ。」
その言葉に、まだ腑に落ちてないようだけど
「あぁ、そうだな。」
それ以上は何も言わずに、前で引っ張っていた私の身体をそっと包むようにマントに覆われたかと思えば、離した手で私の肩を抱き、私の歩幅に合わせて歩いてくれる。
そんな騎士の姿は、前から見ない限りこんな暗い所で縦にも横にも大きな黒マントの得体の知れない大男が歩いてるように見えて街の人たちを驚かせてしまんうんじゃないかと少し不安になる。
「騎士、前から私たちを見ない限り黒マントの奇妙な大男に見えるんじゃないかしら」
「…あぁ、二人で歩いているからな。」
「えぇ、そうねー、でもこんな暗い時間に驚かせてしまっては可哀想だわ。」
「こんな暗い時間に男どもが何処からサフィを狙ってるか分からないだろ。驚かせることよりも何かあった時の方が怖い。」
『貴方が隣にいる上に、私はこれでも剣術をしっかり貴方から習ったし、何も出来ないお姫様じゃないわよ!』なんて、言えそうにない雰囲気。
「……分かったわ。」
そっと肩に回っていた手に手を重ねる。
少し震えていることに気がついて
「騎士、わるい夢よ。本当になんてならないわ」
「森の中より街の中の方が数十倍危険だ。」
いつの頃か忘れたけれど、お城にいた頃に騎士が見た夢で私が目の前で何人かの男達に串刺しを四方八方からされるけど騎士は何故か足枷がついており、もがいても、もがいても、助けれず私が血まみれで死にゆく姿を見たったそうで
真夜中に目を覚まし一目散に私の安否を確認しに来た騎士に叩き起された時、寝起きにドアップで見たカーテンの隙間からさす明かりで軽く照らされた青白く小刻みに震えながら汗をかいてる彼の方が余程死にそうに見えて、落ち着いて。と緊張を解す言葉を伝えようと口を開けば、私と目があったことで生きてると理解したみたい。
大きく目を開いて、「サフィ…」と消え入りそうな声を出しながら力いっぱい抱きしめられ苦しさで『今、死にそうよ。』と騎士の背中を力いっぱい叩いたのは私の中でいい迷惑な苦い思い出となってる。
その後、騎士が落ち着いてから叩き起された理由を聞いたら私にとって最悪気回りない夢だし、それをあの日からことある事にずっと引きずってる辺り症状がでた時の騎士の豹変してしまう態度に私もどうしたら落ち着いてくれるのか手探り状態
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