騎士とお嬢様。

奏 -sou-

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第一章

09

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そうこう思い返してるうちに陽気な音楽がドアの隙間から漏れてる雰囲気の良さげなバーについた。

思わず、騎士から離れて身を乗り出し出入口のドアに手をかけて中へ入る。

陽気な音楽が大きくなり、バーの中心部で真っ赤なドレスを身にまとった女性とタキシードを着た男性が音楽に合わせてタップを踏みながら踊っていた。

ワクワクした気持ちで、ゆっくり近づいて彼らを見ていたら騎士に彼らを見れる二人席へと誘導される。

「サフィ、ここからゆっくり鑑賞すればいい」
「えぇ、ありがとう。よく見えるわ」

対面して座らず、私の横にピッタリと座った騎士は腰に手を回したまま店員さんがいつの間にか持ってきたメニューに目を通していた。

「サフィ、何が食べたい」
「そうね、んー、ポテトフライとタコライスかしら?」

軽くメニュー表をみて、目に付いた名前を言ってみる。

「飲み物は、オレンジジュースが飲みたいわ。」
「あぁ、わかった。」

注文だけ騎士に伝えて、陽気な音楽のリズムに乗りながら鑑賞していれば終盤には目の前に食べ物が運ばれてきた様で、騎士が取り分けてくれていた。

「騎士、ありがとう。」
ちょうどダンスが終了して大きな拍手が沸き起こり、私も一緒に拍手をしながら騎士にお礼を伝える。

「サフィ、食べよう。」
「そうね!いただきます。」

パクパクとポテトフライに手を出して頬張る。

森で食べたのは、騎士が捌いてくれた野生動物たちの焼いた肉や、食べても害の無さそうな山菜など後はたまに池や川にいる魚たち。

久々に加工された食べ物を口にして、陽気な音楽で高まってる気持ちがさらに美味しいと感動で自然と頬が緩み、ニコニコと食べる。

「サフィ、そんなに美味しいのか?」
「えぇ、音楽も最高だし久々のポテトフライはとても美味しいわ!」

満面の笑みで騎士を見れば、指で摘み持っていたポテトフライをパクリとそのまま食べられる。

「騎士!貴方もその手に持ってるじゃない。そっちを食べてちょうだい。」

私とは違い、フォークに刺してポテトフライを食べてる騎士に、もう!と言いながら、またお皿の上のポテトフライを手に取って食べる。

「すまない、あまりにも美味しそうだったから我慢できなかった。」
「同じポテトフライのはずなのに、不思議ね。」

すまない。という割に反省している雰囲気ではないしどちらかと言えば、真剣に私の顔を見てくるのでもうどうでも良くなってる私は会話を終わらせて次の音楽とパフォーマンスがあることを期待しながら周りを見渡す。

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