騎士とお嬢様。

奏 -sou-

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第二章

06

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「さぁな、会ったばっかりで何とも言えない」

「ふふふ、のようなサファリーアさんのことが心配で心配で仕方ないんですね。安心してください、サファリーアさんの周りには気に入った女性がいれば手当り次第手を出す紳士らしからぬ、本能に生きてる男性もいると風の噂でお聞きしていますが、私は恋をしてしまった相手には一途ですので、悲しませるようなことはしませんよ。」

二人の空気がピリピリしていて、正直この場から逃げたい気持ちにかられる。

「サフィの周りでそんなことが起こっているとは物騒な世の中で、今以上にそんな男の目に止まらないように目を光らせないといけないみたいだな。あぁ、サフィのことをだと思ったことなど一度もない。一人の女性として見ていることだけ訂正させてもらおう。」

「一人の女性、ですか。サファリーアさんには一人の男性と思われていないようですが、今後妻になる女性に何か起こらないように貴方には是非頑張って目を光らせていただきたいですね。」

私より、身長も歳も上の男性二人に間に挟まれてどうしろと言うのよ!というか、誰か止めて頂戴よ!と室内に兄たちが居ないか見渡せば、お父様に挨拶をしているヘンリー兄さんを目にする。

この流れで私の居場所を聞くはず!そうすれば、このピリピリした空気から開放される。

全神経を集中させてヘンリー兄さんへこっちを向くように睨みという名の電波を送る。

「サフィ、どこを見ている」

そう言って私の腕をつかんで騎士が引っ張っるので自然と騎士の腕の中へとダイブする。

その勢いでヴッという声が出たのは気の所為じゃない

その上、柔らかくもない筋肉の胸板付近に顔をぶつけて、軽く鼻が痛いことにも少々イラッとする。

「サファリーアさん!」

騎士に抱きしめられたことにより、エドウィー王子に少し強めな声で名を呼ばれ顔をそちらに向ける。

「サファリーアさんを離せ。」
「断る。」

私が念を兄に送ってる間にどういう流れになったらこうなるのよ!と絶望的な気持ちに至る。

「サフィ、誰を見ていたんだ?」

とても機嫌の悪い声で騎士に問われ、ヘンリー兄さんの方を再度見て、『兄様こっちに来なさいよ』と再び念を送りながら答える。

「…兄様が到着したから見ていただけよ。」

その言葉に、抱きしめる力を緩めながらも一緒にヘンリー兄さんの姿を確認する騎士

ついでに、エドウィー王子も兄さんを確認したようで、2人の視線がまた私に戻ってくる。

「サフィ、こっちを見ろ。」

その言葉に、騎士を見上げれば至近距離で久々に目と目が合う。

そのまま騎士の顔がどんどん近づいてくる

それに伴って、私の体も磁石の反発の様に反って自然と離れるが腰を抱きしめている騎士の力によりこれ以上逃げれないと固まっていれば

「サファリーアさん!」

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