騎士とお嬢様。

奏 -sou-

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第二章

08

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「にいさま、もういいじゃない。」

エドウィー王子が何かを発する前に兄さんに抱きついて身長差が故の見上げるように言う

「サファリーア、」

騎士でもなく、エドウィー王子でもない護ろうとしている私からの一言に、困惑の表情でみてくる兄さん

でもこのままだと騎士のした事は到底許されるようなことではないし、どういう罰が下されるかも分からない。それも嫌だけど、何より誕生日の日に嫌なことがこれ以上続くのが何より嫌よ。

「戯れが過ぎたってことで許して頂戴」

兄さんに助けを求めたけど、そんな顔をさせたかった訳じゃない。という、申し訳ない気持ちで謝る。

そんな私に向き合うようにして

「…怖かったんじゃないのか?」

優しく頭を撫でながら聞いてくる兄さんに今日の騎士は何処かおかしいと訴えたくなったけど、慣れない知らない人たちの目や、婚約者と顔合わせ出来たと思ったら急な展開で、私の脳の情報処理が何も追いついてない。

「今日は、もう…疲れたわ。」
「…サファリーア」

兄さんから視線を外して抱きついていた手を離し兄さんより少し前に出る。そして騎士とエドウィー王子の方を見て

「本日は、わたくしサファリーアの17の誕生日パーティーにお越し頂き誠にありがとうございます。申し訳ございませんが、体調が優れませんので本日は、このままおいとまさせて頂きます。エドウィー王子、遠い所から遥々お越し頂きましたこと心より感謝申し上げます、この後もお楽しみ頂ければ幸いです。」

エドウィー王子に一礼して、騎士に体を向ける

「騎士、久々に会えて嬉しかったけれど今日はもう部屋に戻るわ。この後もどうか楽しんで頂戴ね」

騎士にも一礼して、兄さんを見る。

「兄さま、申し訳ないのだけどもう部屋に戻りたいから、後のことをお願いしてもいいかしら?」

「……あぁ、ただでさえ知らない者達に囲まれて祝われることなど慣れてもいない上に、この様なことがあったんだ今日はもう部屋でゆっくりするといい。」

「兄さま、ありがとう」

ドレスの端をつまんで、エドウィー王子、騎士、兄さんへと軽く礼をしてから何事も無かったかのよう屋内へ入り父の元へと向かう。

戻った途端に、チラチラと見てくる視線に気持ち悪さが倍増してお手洗いに早く行きたい気持ちで、他国の見知らぬ方と楽しそうに話をしている父に

「お父様、失礼します」

ぎこちない笑みで話しかける。

「…サファリーア、どうしたんだ。とても体調が悪そうじゃないか。」
「申し訳ございませんが体調が宜しくなくて、おいとまさせて頂きたいです。」

その言葉に、エドウィー王子が何処にいるか辺りを見回す父に

「エドウィー王子なら、お兄様と騎士といるわ。先程三人には断りを入れてきたの。」
「エドウィー王子が了承済みなんだな。」
「えぇ」
「なら、初めてのことでもあるからな負担が大きかったんだろう。部屋に戻ることを許可しよう、だがサファリーア、次回はこんなことの無いよう気をしっかり引き締めて挑むようにな。」
「かしこまりました。」

厳しい言葉と裏腹に瞳は優しく、ポンポンと頭を撫でてくれた。

「それでは、申し訳ございませんが失礼致します。」

そう言って、パーティー会場を後にする。
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