炎 - En -

奏 -sou-

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出来損ないなりの見栄(完)

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「ワタクシは納得がいきません!森の主様、なぜ、ワタクシでも、狛犬でもなく、そのようなみすぼらしい狐を選ぶのですか!」
「ナンバー2、口には気をつけなさい!」

司会の人がすかさず注意をするものの僕のことをキッと睨んでくる目には涙が溜まっていた。

引き返しかけた足を止めあるじ様は

「なぜ、自分が選ばれると思ったのですか?」

静かに鴉に問いかけた、んだ。

そしたら、

「そ、それは…貴女の様な偉大な方の影となり、また何かあれば身代わりとなり忠誠を誓い守るに、今回初めてトップに入ったからという理由だけで、この神聖な場所に来れた、ただそれだけ、どんだけ己をよく見せようと着飾ってたところでこの有り様のようなその者が、森の主様の期待に応えれるはずなど…「ナンバー2!もうよしなさい。」

いつの間にか人の姿に戻っていた鴉の手はグーになっていて口もへの字になっていて小さく震えながらあるじ様を大粒の涙を零しながら見ていた。

「私のことを偉大だといいながら、そんな偉大な私が選んだ者を貶しまくるとは、面白いですね。」

面白いって言ってるけど無表情なあるじ様を見つめてると目が合う

「なぁ、炎。あの者はこのままではお前を殺しかねないような顔をして、こっちを見てきていますが、どうしますか?」

ニッコリと恐ろしい質問をされて僕はあるじ様の手の中で一瞬でパニックになりかけた。

「サラ様、そのような物騒な言い方をな…「炎、ティが怖いですね。どうしましょう。」」
「サ、サラ様!!!!」

司会の人をからかうような口調でいいながら、あるじ様は僕の頭に顔を擦り付けてきた。

それをみた司会の人が

「サラ様!ナンバー5は愛玩動物ではございません!」

とても怒っているみたいだ。

そんな司会の人を全く気にせず、あっ、て思い出したかのように僕の目を見ながら

「炎、彼女は貴方が私の守護神になることが違うといいますが、炎の意見を聞かせてはいただけませんか。」

その言葉に少しの間考えた僕は一度あるじ様の手から降りて人型になってあるじ様と向かい合う

「僕は、鴉が言うとおり、あるじ様に相応しくないのかも、知れませ、ん。でも、こんな僕を選んでくれたあるじ様に僕は自分の一生を捧げるんだって決めました、親からも貰えなかった名をくれた時に僕は誓い、ました。影になれるように、あるじ様の足を引っ張らないようにもっと、もっと、勉強します。頑張るから、僕を捨てないで、くだ、さい。」

あるじ様の目を見つめて震えそうな声を抑えてこの気持ち伝われって出した言葉を聞いたあるじ様が、優しく指で僕の目の下を触れられて泣いていたことに気がついた。

「炎はどうやら男の子だというのに泣き虫のようですね、学園生活ではずっと泣いていたのでしょうか?、これから貴方を肉体だけでなく精神面も鍛えなくては、なりませんね。」

そのあと、顔を軽く上に向けられて

「あるじ様、ではなくサラと呼びなさい。」
「はい」

真剣な表情にボクは素直に返事することしか出来なかった。

後ろから黙ってこっちをみていた鴉の方に向く

「…鴉のきみ、学園でいつもトップに入っていて、雲の上のような存在だった、僕も選んで貰えるなんて思ってなかったし、きっと役不足だって言われても仕方ないけど、こんな僕をあるじ…サラは守護神として迎え入れてくれた、んだ。なのに、サラの守護神を譲ることなんてできない、よ。ごめんね。」

「あやまりなど聞きたくない!」

「僕は君に恨まれたって、何言われたって命を狙われたっていい。だけど、そんな僕を選んでくれたサラに何かあったり、悪くいうんなら、僕は君を許さない。その時は、その羽ちぎって飛べなくして、やるから。」

鴉の目を見ながら静かに僕の気持ちを伝えたら伝わったみたいで静かに下を向いて
 
「わかった」とだけ言葉がかえってきた。

「それでは、サラ様席へお戻りください。」

司会の人が促してる言葉を背にサラは椅子に戻ってボケっと突っ立っていた僕を呼ぶ。

そのあとそんな鴉を風神様がえらんで、狛犬も平池神社の神にえらばれていた。

あの後、サラが
「炎、よくできましたね。」
僕の頭をポンポンって撫でて褒めてくれた。

僕はエッヘンと言わんばかりに
どうだ!僕にだってやればできるだぞ!
と、まだ何もしてないけど胸をはってみた。

鴉がまた何かいった気がしたけど

気にしないんだ、、

だって、生まれて初めての幸せを
味わってる途中なんだ。


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