修復魔術士の孫

立菓

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故郷へ(3)

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 ドロシーは自分の実家で十分に休憩をした後、ルルと一緒に外に出た。
 実家の前で、ドロシーたちがしばらく爽やかで涼しい風に当たっていると、二羽の鳥がこちらに向かって来ているのが分かったようだ。

「ドロシーさんたち~っ! お迎えに来ましたよ~」

 近づいてきたチョウゲンボウのロニーが、人語でドロシーたちに声をかけた。ロニーの少し斜め前には、シロハヤブサのライサスが飛んでいる。


 ドロシーたちのそばに来たライサスが「お待たせ致しました」と言った時、ドロシーとルルは、サイモンと少し顔が似ている少女が歩いて来たことに気が付いた。

 その少女がグローブを付けた左手を前に出すと、グローブの上にロニーが乗ったのだった。

 サイモンと同じ紫色の真っ直ぐな髪を下ろして、カチューシャをつけている美しい少女だ。体型もサイモンと似ていて、細身である。
 小柄なドロシーとあまり背丈が変わらない彼女は、微笑みながらコバルトブルーのでドロシーを見つめた。

「はじめまして。私は、サイモンお兄様の妹のクララです。……お兄様が大変お世話になっております」

 クララがドロシーたちに初対面の挨拶あいさつをすると、ライサスが彼女の右肩に乗ったようだ。
 ライサスは「ご挨拶が遅くなりました、ライサスと申します!」と話すと、ドロシーも言葉を返した。

「クララさん、ライサスさん。はじめましてっ! 迎えに来て頂いて、ありがとうございます。
 ……あ。そういえば、サイモンさんは……?」

「ドロシーッ!!」

 その時、クララの後ろから、サイモンが手を振りながら大声を出して、こちらに小走りして来たようだ。
 ドロシーとルルの傍に行ったサイモンは、呼吸が落ち着いてくると、「……これから案内するよっ」と小声で言った。



 サイモンを先頭にして、ドロシーたちはセイホク村を背にして、ゆっくりと歩き始めた。ドロシーとルルの後ろに、クララとロニーとライサスがついていく。

「オレたちの家は、セイナン町の境にある森にあるんだ。馬車に乗らないといけねー程遠くは無いけど、少し歩くことになる」

 サイモンたちは、民家沿いのみ固められた広い土の道を進んでいく。
 セイホク村の民家を通り抜けると、あちらこちらに背の高いモミの木が見えてきた。一行の視線の先には、石畳いしだたみの道の端とセイナン町の建物が見えるようだ。


 石畳の道のすぐ近くまで進むと、向かって広大な左側に森が現れた。
 サイモンは「こっちに曲がるよ~」と言い、一行は森がある方へ曲がって歩き続けたのだった。

「……ドロシーもルルも、疲れていないか? こっからは私道だし、途中に数脚すうきゃくベンチがあるから、歩くのがしんどくなった時は遠慮無く言ってちょ」

「分かりました、ありがとうございます。あっ……、今のところは大丈夫かな」

「わたしも、まだまだ歩けるよ~」

 森の中に入ると、ひたすら一本道のようだ。
 長い緑のトンネルを歩いていると、まるで異世界に来たようなワクワクとした気持ちになるな、とドロシーは思った。

 時々そよ風で木の枝が揺れたり、小川が流れる音が聞こえてくる。猫らしく耳の良いルルはそれらの音に反応し、音のする方に自然と視線が行った。


 き出しの土の道を途中まで進むと、地面は木の道に変わった。隙間すきま無く木材が敷かれているので、ドロシーたちは多少は歩きやすくなった、と感じたのだった。

「もうすぐ着くよ~」

 ……と、サイモンが行った時、ドロシーとルルは森の小道の先に、開かれた明るい場所があるのが分かったようだ。
 ウォード家までは、あと少しだ。



 そしてドロシーたちは、ようやくウォード家の敷地内に着いたのだ。
 敷地の奥には、古い井戸があるようだ。

 サイモンたちが住む家は、ドロシーが想像していたものとは違ったらしい。家の主が宰相さいしょうまで昇格したというエリート一家なら、広くて大きな屋敷に住んでいるのかな、と彼女は思っていたのだ。

 二階建ての建物ではあるが、セイナン町の町長の住まいよりも小さい。
 ウォード家は、よく見かける民家とあまり変わらないようだ。全く屋敷ではない。


「ようこそウォード家へ。ドロシーお姉様とサビ猫ちゃん、どうぞ中に入って♪」

 サイモンが玄関を開けようとした時、クララはドロシーとルルに声をかけた。
 ライサスとロニーはクララから離れて、つばさばたかせながら空中に居るようだ。

「お疲れさん。先に入ってて~」

「案内して頂いてありがとうございます、サイモンさん。……では、失礼します」
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